東京海洋大学2012.4.16講座「いつまで続くの? 放射能汚染」

東京海洋大学で4月16日に開かれた講座「いつまで続くの? 放射能汚染」の概要をツイートしたものです。
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黒犬興業舎 @honeywave3

東京海洋大学フィッシングカレッジ http://t.co/spFZECLf 。本講座は水産資源の活用、漁業振興と密接に関わる東京海洋大学の主催のため、必ずしも被曝を最小限にするという立場のものでは無いが、釣人、消費者にとって水産物への有効な知見も多く見受けられたので、レポります。

2012-04-17 03:14:54
黒犬興業舎 @honeywave3

第一部 海や川へ広がる放射性物質 講師 石丸隆(東京海洋大学教授)より。1.海水魚は海水との浸透圧の関係で、鰓、排泄等で水分、塩分やミネラルを多く排出するため、生体半減期は概ね50日である。一方、淡水魚は水分排出が少なく、カリウムも保持しようとするため生体半減期は長くなる。

2012-04-17 03:19:21
黒犬興業舎 @honeywave3

2.事故当初降下、汚染水流出で発生した海洋汚染は、プランクトン→食物連鎖上位と移行する一方、生物の排泄や死により、デトリタスとして沈降し→底生の餌生物→食物連鎖上位→デトリタスという形で循環する。

2012-04-17 03:24:15
黒犬興業舎 @honeywave3

3.短期的な放出で終わったチェルノではスズキの汚染ピークを事故6ヵ月後、マダラのピークを事故9ヶ月後に迎え減少したが、海洋放出や山野に降下した汚染も多い今回の事例でどう推移するかは今のところ分からない。

2012-04-17 03:26:23
黒犬興業舎 @honeywave3

4.1Fから海洋に放出された汚染水は、当初かなりのスピードで希釈され、環境影響は大きくないと想定されたが、思った程拡散せず沈降して海底土壌を汚染した。原発前10万Bq/m2、海岸20km地点平均2000Bq/m2。

2012-04-17 03:34:57
黒犬興業舎 @honeywave3

5.汚染の傾向としては1Fから親潮で南に流れたもの、黒潮とぶつかって東方に流れたもの、黒潮の分流で親潮の内側を北上したものがあり、汚染度合としては南>北の傾向。

2012-04-17 03:36:53
黒犬興業舎 @honeywave3

6.魚種別汚染状況としては、シラス9月以降は低い値(直接降下、大規模海洋放出が止まったため)。カツオ昨年夏20Bq/kg→減少傾向。サンマ7月12Bq/kg→減少傾向。アイナメ2000で汚染度安定。餌生物からの移行。ヒラメ1F北300南500~600汚染度安定。

2012-04-17 03:41:14
黒犬興業舎 @honeywave3

7.概ね安定か減少傾向にあるが、マダラは11月頃からどんどん上昇傾向に推移している。淡水魚はいったん出ると下がらない傾向。宮城でも淡水魚は出ている。

2012-04-17 03:43:44
黒犬興業舎 @honeywave3

8.河川の河床の汚染は強いのだが、荒川河口のヤマトシジミはCsがNDであり、もともと軟体系がCsを蓄積しにくいのに加え、海底の粘土鉱物と付いたものは生体移行しにくいようだ。

2012-04-17 03:45:31
黒犬興業舎 @honeywave3

9.4月上旬(汚染漏水停止時)の動物性プランクトンの汚染は5Bq/kg程度で、3.11以前のプランクトンの汚染度0.05Bq/kgとは2ケタ違っていた。

2012-04-17 03:51:17
黒犬興業舎 @honeywave3

10.質疑:海底土の汚染状況も変化する、魚もじっとしてはいないという状況において、土壌からの移行傾向をどのようにとらえていくか?現状はまだよく分かっていない。海底、水産物のモニタリングを継続していくしかない。

2012-04-17 03:55:14
黒犬興業舎 @honeywave3

昨夜書き漏れたもの。11.近海の魚の放射性Cs汚染状況は1970年代は核実験由来で平均1Bq/kg位あった。時系列の推移は物理的半減期と似ており、30年位かかってこ半分くらいに減っている(このグラフではチェルノ事故による有為なピークは無い。昨年今年のプロットはこれから)。

2012-04-17 10:32:12
黒犬興業舎 @honeywave3

東京海洋大学フィッシングカレッジ http://t.co/spFZECLf 。第二部 「それでもサケは帰ってきたが、、、。」  講師 鈴木謙太郎(木戸川漁協サケ孵化場長) 鈴木師が直面した震災、原発事故被害と、その後。内水面漁協の今後について。一部に比べ汚染知見などは少ない。

2012-04-18 01:24:40
黒犬興業舎 @honeywave3

1.木戸川漁協はサケの遡上時のヤナ漁。サケ採卵養殖放流、アユ稚魚の養殖放流。遊漁券販売などを主な事業としている。拠点は比較的河口に近く、事務所、作業場等を津波により壊滅的被害を受けた。作業場、放流場所は瓦礫で埋まった。鈴木氏は間一髪高台に避難「1時間ほどして原発が心配になった」。

2012-04-18 01:30:34
黒犬興業舎 @honeywave3

2.木戸川漁協は1F20Km圏内のため、養殖槽には、サケ稚魚150万尾、アユ70稚魚万尾が健在であったが、避難放置せざるを得なかった。16日後に許可を得て様子を確認、アユは全滅。水面に腹を見せて浮いていた。

2012-04-18 01:33:20
黒犬興業舎 @honeywave3

3.サケ稚魚は奇跡的に一部が生存、喜んだが、放流場が瓦礫で埋まっており、結局はこの稚魚もあきらめることになる。漁協周辺の空間線量は0.37μSv/h津波被災の海岸部は周辺に比べて線量が低い傾向にあるらしい。低くてこの値ではあるが・・・

2012-04-18 01:37:17
黒犬興業舎 @honeywave3

4.昨年秋にはそれでもサケは木戸川に戻ってきた。ヤナが無いので漁や採卵は出来ないが、橋の上から見て、川の一部は魚で真黒になるほどの遡上があり、鈴木師は感慨深かった。

2012-04-18 01:40:14
黒犬興業舎 @honeywave3

5.平年で6~7万尾、多い年では10~17万尾のサケが木戸川を遡上するが、昨年は全国的にサケが不漁で、遡上を助けるための河口の養生も出来なかったため、遡上数は平年以下だった。

2012-04-18 01:43:55
黒犬興業舎 @honeywave3

6.サケは遡上を開始するとエサを取らないため、ほとんど放射能汚染の危惧の無い魚種である。木戸川漁協は20km 圏内のため、昨年は一切操漁できなかった。他河川では一部漁獲されたが、福島でも誰も買ってくれなかった。

2012-04-18 01:47:07
黒犬興業舎 @honeywave3

7.休漁、稚魚損害等の補償を東電と交渉中であるが、やっと一時金が支払われた。しかし、びっくりするほど少ない金額だった。内水面漁協は遊漁券販売の収入比率が高いため、どうしても余暇遊興ととられ、損害扱いが難しい面もあるらしい。しかし、損害であることは変わらない。

2012-04-18 01:49:44
黒犬興業舎 @honeywave3

8.サケは暫定基準値以下で収まっているし、サケ釣りを解禁して観光資源にしたいと思っているが、まだまだ「皆さん安心して木戸川にどんどん来てください」とは言えない。一つ一つのことをコツコツ頑張っていくしかない。

2012-04-18 01:52:29
黒犬興業舎 @honeywave3

9.釣り観光資源(遊漁券事業)としては、アユは食べる前提の釣りなので、当面復興は困難と見ている。サケは汚染度低いが、安全・安心を重視し、キャッチアンドリリース中心の釣りとして、今後軌道に乗せて行きたいと考えている。木戸川はサケを解禁している数少ない川である。情報発信して行きたい。

2012-04-18 01:55:58
黒犬興業舎 @honeywave3

10.個人的感想。第二部は放射能汚染講座というより、震災と原発事故が与えた、内水面漁協へのインパクトと、今後の報告。原発事故さえなければ、鈴木師の復興構想は順調に推移した可能性も高い。渓流魚は淡水魚故汚染度が高止まりしていて、釣りに来る人はいない。福島の内水面漁協の苦悩は続く。

2012-04-18 02:01:34
黒犬興業舎 @honeywave3

11.感想2.さて、北方の海水汚染、オキアミ汚染が無くなりサケが完全に安全な状況になったら、木戸川産のサケを食べるだろうか?私自信は積極的に選ぼうとは思わない。0.3~それ以上の線量で空間が汚れている場所に釣りだけの目的で行くだろうか?自分は躊躇するように思う。福島の苦悩は続く。

2012-04-18 02:23:28