自宅パイプオルガンは楽器のフライトシミュレーターや!
ちょっと前置き
まとめに採録したつぶやきが指している「自宅パイプオルガン」は、サンプリングや物理モデル音源などデジタル音源によるヴァーチャルオルガンを一貫して指しています(ふいごやエアコンプレッサーで笛の束を鳴らす本来のパイプオルガンに個人家屋向けサイズのものが無いわけではない)。
またパイプオルガンの本来的な設置場所であるホールや教会がヴァーチャルパイプオルガンを導入しているケースもあるようで、それも本項における「自宅パイプオルガン」がカバーするところです(さらには演奏家としての訓練にも、こうした装置が本物のパイプオルガンの代わりに活用されてきているようです)。
つまり本項では「ヴァーチャルパイプオルガン」を即ち「自宅パイプオルガン」と書いているわけで、混乱を与える懸念については予めお詫びします。突然こんな濃い世界に触れて動揺した中での臨場感を伴ったつぶやきとしてご容赦願います。
ボクの知ってるDTMじゃない!
1) @h_minoさんのスピネットの件で未明に書きかけた「隣の編集部で真夜中にバロックを弾く怪人」の話、いまどうしてるだろうと思って検索したら、ソフト音源で「自宅パイプオルガニスト」ライフを愉しんでるらしい。お元気で何より。 http://t.co/BngMxDK9
2012-05-04 00:53:562) さてあの製品はフォーマットとしては普通のサンプリング音源なので1万円台のUSBキーボードを繋げば音は出る。ところが、ちっとも知らなかったのだが「自宅パイプオルガニスト」という称号はそういうユーザーとは別世界の人々のものらしい。
2012-05-04 00:54:023) もういきなり見てもらおう。あのソフトをフルに駆動するため、二段・三段・四段鍵盤(当然ストップ栓付き!)やら足鍵盤やらそれらを統合するスイッチボックスやらのハードウェアインタフェイスが製造されていて、その専門店まである! http://t.co/MWA0WDYd
2012-05-04 00:54:11教会・ホール用パイプオルガンの代替楽器としては、馴染みの深い足踏みリードオルガンやハモンドオルガンなど実に様々なものが開発されてきました。それら現在も製造されているものは今となってはむしろパイプオルガンと関係なくその独特の音色やコストパフォーマンス、利便性を評価されたことで新たなオリジナル楽器として存続しています。
一方ヴァーチャルパイプオルガンは基本的にホンモノのパイプオルガンの音色を忠実に再現することを目指しています(もっとも、電子楽器のメリットとして「ある段の鍵盤のある音域だけはグランドピアノの音色+5度上の音程のとある音色のパイプの音が一緒に鳴る」などというセッティングができたりする)。
パイプオルガンの音色を追求した一体型の電子オルガンもあるわけですが、本項での関心はPCベースの音源+任意のハードウェアコントローラーのセット、になります。パーツレベルで組み合わせられていて、レディメイドとセルフメイドの中間ぐらい。本当の意味での手作りとは違うとはいえオーナーの選択が構成や仕様に強く反映している。ここ結構大事。
4) ハードウェア単品でも高いのは1万ドル以上してるから揃えると結構な値段になる。代理店もないから個人輸入で、航空便では載らないらしい。云うまでもなく本物のパイプオルガンの数百分の1の値段だろうが、そもそもそんな比較は意味が無い。なんたる深き業よ、自宅パイプオルガニスト!
2012-05-04 00:54:18お恥ずかしい、桁を高い方に読み間違えてる。が、それにしても安いのから高いのまでかなり幅広く商品があって、上を見れば青天井の世界のようだ。
5) キーボード同士連携させたり簡単に自動演奏させたり、鍵盤以外で電子音源を鳴らす狙いで策定されたMIDI規格は、DTMやカラオケ、さらにはステージ照明等にまで展開されたが、一個の楽器を内部的に完結統御する目的だけに使われる例は絶無だろう。パイプオルガンは楽器の巨大怪獣だ。
2012-05-04 00:54:33あ、上記の「パイプオルガン」はリアルのパイプオルガンです。PCでシミュレートするにしても対象として複雑でスケール大きいよねぇ、と。詰め込まずに丁寧に説明すべきでした。
実例をいくつか見てみましょう
足鍵盤自作しちゃった人。↓
↑サードパーティのシアターオルガン音源とスタインウェイ・ピアノのサンプル音源をHauptwerkでコントロールしてる。ジンジャー&フレッド時代のいにしえのミュージカル映画ナンバーとはいえ、これを独りで演奏できるのは21世紀のテクノロジーの賜物だ。
この人のセッティングはnovation LAUNCHPAD(上側に5つ?並べられた自照式ボタンマトリックスの正方形の機材)が特徴的ですね。リズムループ系音楽でDJが使うことを念頭にデザインされた機材ですが、音栓の切り替えなどのMIDIコントロールを緻密に割り当てていて参考になる。60年代SFテイストにも見える機材なのに、こうして並べられるとスチームパンク的にも近未来的にも見える。LCDパネルの存在感とも違う、オリジナルでユニークな抜群のヴィジュアルインパクト!