明ジュ妄想

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ぷに子 @trkhngn

窓を開けると朝のさわやかな風が部屋に入ってきた。ジュダルは窓を開け、光を遮断していた部屋にどんどんと光を入れていく。依然としてこの部屋の主は寝台から出てこない。ぺたぺたとそちらに近づけば頭の先まですっぽりと潜り込んでおり、まだ起きるつもりはないようだ。

2012-05-10 10:05:22
ぷに子 @trkhngn

布団を捲ればボサボサ頭がもぞりと動いた。「やめてください…私朝弱いんですよ…」弱弱しく呻くそれを軽く蹴って昨日自分がつけたものを確認する。どうもこの男は情事の時は外界との扉全てを遮断したいらしく部屋が暗闇になってろくに顔も見れないのだ。

2012-05-10 10:11:13
ぷに子 @trkhngn

未だに朝の光に呻いている紅毛虫にジュダルは軽くため息をついた。モゾモゾと未練たらしく布団にしがみついているそれに苛立ちを覚え、強引にこちらを振り向かせて肩を噛んだ。抗議の声が聞こえてきたがそれもまた弱々しく、朝に襲撃されたらどうするつもりなのだろうと毛虫の背に座り込んだ。

2012-05-10 10:19:32
ぷに子 @trkhngn

尻に敷いている身体には噛み跡がいくつかあった。吸い跡は青みがかっていてキスマークというよりも小さな鬱血といったほうが正しそうだ。しかし自分の身体には何もない。それがジュダルにとっては何故か不満だった。誰かに縛られるのが嫌なクセに縛られたいと思っているのだろうか。

2012-05-10 10:52:05
ぷに子 @trkhngn

縛られるのが嫌で、最初は跡をひどく嫌っていた気がする。この男のことだ、昔の言葉を義理堅くも覚えているのかもしれない。それか自分の服装が原因なのだろう。異国の踊り子を連想されるその服は露出が高く跡をつける場所を選ぶ。情事の名残すら見せることを好しとしないこの男ならばありえるだろう。

2012-05-10 11:01:31
ぷに子 @trkhngn

そんなことを考えていたら視界がグラついた。どうやら椅子がようやく起床するようだ。「…どいてください」相変わらず声は弱弱しいままだったが。背から腰をおろせば珍しく長い腕が現れて自分を攫った。黒髪を掻き分けて首に柔らかなものがあたったと思ったらすぐに小さな痛みを感じた。

2012-05-10 11:06:22
ぷに子 @trkhngn

怪訝そうに振り向けば未だぼんやりとした目の紅明。今にも寝そうだった。頭を数回掻いた後、これまた珍しくジュダルの身体を更に引き寄せた。あまり密着しようとしない男なだけに今の状態はかなりのレア物だった。そして非常にむず痒い。「なに、べったりすんの嫌いじゃなかったのかよ」

2012-05-10 11:13:55
ぷに子 @trkhngn

普段と違うことをされてはどうも調子が狂う。普段の調子を取り戻したくて言ったのがだ、帰ってきた言葉で更に驚くこととなる。「それは貴方がべたべたするのは嫌だと言ったからでしょう…」そもそもジュダル自身そう言ったことを覚えていない。だがこの男が言うのなら過去に言ったことがあるのだろう。

2012-05-10 11:26:39
ぷに子 @trkhngn

どうでもいいようなことをいつまでも覚えている男なのだ。練紅明という男は。「私はわりと好きですよ、こういうの」肩にかかる重みに熱が顔に集まるのを感じた。だんだんと肩に重みが加わってくる。顔のほてりが冷め始めた頃、ジュダルは確信した。「寝るなよ…」

2012-05-10 11:50:09
ぷに子 @trkhngn

顔を軽く払えばその体はシーツへと崩れ落ちた。「んだよ…」転がる頭を蹴ればようやく起きるつもりになったらしく、頭を掻いて立ち上がった。「格好つけるなら最後までしろよ。ダセーやつ」毛虫頭にそう言葉を投げて、おまけにと背中を蹴ってやった。毛虫は少しよろめいたがマイペースに服を着始める。

2012-05-10 12:08:55
ぷに子 @trkhngn

「今言ったほうがいい気がしたので」服を通すと多少気力がでるようで、丸かった背筋もピンと伸びていた。帯をきゅっと締めると陰気ながらも凛々しい顔を見せる。一方ジュダルは自分は不機嫌だといわんばかりに眉間に皺をよせていた。相手に自分の腹を見られたようで悔しかったのだ。

2012-05-10 12:17:16
ぷに子 @trkhngn

この男はよく人を視ている。それでいてとぼけた顔をしてそれを行動に移すところが気に入らない。ジュダルは差し出された服をひったくるように取った。服を着れば首元の紅は何もなかったかのように隠れてしまう。そういうところも、気に食わない。

2012-05-10 12:31:52
ぷに子 @trkhngn

ジュダルは紅明を睨みあげるが当の紅明は口元に笑みを浮かべて扉へと向かっていた。「湯浴みをするなら私の方へ行けば湯が張ってありますから。では私は朝議に行ってまいります」ジュダルは手元にあった枕を投げつけてみたが、時遅くそれは扉にあたっただけだった。

2012-05-10 12:38:00