NHK・クローズアップ現代「シリーズ沖縄復帰40年①基地負担は減るか」書き起こし・ほぼ完全版 #nhk

5月14日に放送されたものを文字起こししています。 進行:国谷裕子アナ ゲスト:我部政明(琉球大学教授)
2
とし @toshihiro36

国谷:基地の集中と経済格差という復帰当時の問題が残されたままの沖縄。今日・明日は復帰40年を迎えて変わる沖縄の人々の意識に迫ります。

2012-05-14 21:00:42

VTRが流れます

とし @toshihiro36

<ナレーション> 戦後、アメリカによる統治が続き、日本の急速な発展から取り残された沖縄。復帰すれば、基地や経済格差のない豊かな暮らしが手に入ると多くの県民は期待を寄せました。基地負担の軽減を何度となく約束してきた日本政府。しかし沖縄の願いは裏切られ続けました。

2012-05-14 21:05:16
とし @toshihiro36

<ナレーション> 基地が集中する現実はいまも変わりません。復帰から40年、沖縄はどこへ向かっていくのか。シリーズ一話目は基地負担の実態を見つめます。いまも後を絶たないアメリカ兵による犯罪。捜査が制限され、深刻な被害に遭う県民を救えない現実。

2012-05-14 21:10:58
とし @toshihiro36

<ナレーション> 依然、アメリカ軍の重要拠点と位置づけられ、住宅地のそばで激しい訓練が続けられています。人々が求めてきた平穏な暮らしは見えないままです。沖縄に重くのしかかる基地負担をどう軽減していくのか。考えます。

2012-05-14 21:15:35

VTR終わり

とし @toshihiro36

国谷:日米両政府が返還に合意してから16年経つ普天間基地です。毎日のようにヘリコプターなど軍用機の訓練が行われ、軍用機が住宅街の真上を低空で飛行していきます。本土に復帰すれば基地が減り、騒音や事故の危険性から解放されると沖縄の人は期待しました。

2012-05-14 21:20:42
とし @toshihiro36

国谷:この40年間で減った基地の面積はわずか2割。現在も日本にあるアメリカ軍の専用施設の実に74%が沖縄に集中しています。変わらない基地の負担。復帰に思いを託した沖縄の人々は、日本の安全保障のためにアメリカ軍の駐留が必要であれば、その負担は日本国民が平等に負担すべきでないか。

2012-05-14 21:26:18
とし @toshihiro36

国谷:沖縄ばかりに基地が集中するのは不公平。差別ではないかといった声が公然と上がるようになっています。NHKが復帰以来、沖縄で行ってきた世論調査では「本土の人は沖縄の人の気持ちを理解しているか?」という問いを続けています。

2012-05-14 21:31:16
とし @toshihiro36

国谷:今年3月行った調査でまったく理解していない・あまり理解していないと答えた人の割合は71%と、この40年間で最も多くなっています。この10年で実に14ポイントの上昇。本土と沖縄の溝が深まっています。沖縄の人の心に影を落とす、基地負担の現実からご覧ください。

2012-05-14 21:36:11

VTRが流れます

とし @toshihiro36

<ナレーション>嘉手納基地に隣接する町、ラジオから流れてくるのはアメリカ兵向けの英語放送です。この町をパトロールする沖縄県警の渉外機動警ら隊、通称「渉警隊」です。アメリカ軍関係者による犯罪の初動捜査にあたる、全国唯一の組織です。

2012-05-14 21:45:40
とし @toshihiro36

<ナレーション> 渉警隊が活動するのは、アメリカ軍関係者が基地から外に出てくる夜。多いときには一晩で30回以上出動します。復帰に合わせて設置された渉警隊の最大の狙いは、基地に逃げ込まれる前に容疑者を確保することです。

2012-05-14 21:49:34
とし @toshihiro36

<ナレーション> 容疑者の身柄がアメリカ側に渡ってしまうと、日米地位協定によって警察の捜査が大きく制限されてしまうためです。週末の午前1時、酒に酔ったアメリカ兵がトラブルを起こしていると通報を受け、渉警隊は現場に急行しました。

2012-05-14 21:53:40
とし @toshihiro36

<ナレーション> しかし、そこにはすでにアメリカ軍の警察・MPが到着していました。兵士は渉警隊の目の前で、基地に連れ戻されていきました。復帰からの40年間で沖縄で起きたアメリカ軍関係者の事件や事故は8500件以上。1年間に200件を超えるペースです。

2012-05-14 21:57:18
とし @toshihiro36

<ナレーション> なかでも県民の怒りが爆発したのが、平成7年アメリカ兵3人による少女暴行事件でした。この事件の捜査の最前線にいた沖縄県警の元刑事が初めて取材に応じました。容疑者を割り出したとき、3人はすでに基地の中でした。警察は容疑者を逮捕できず、捜査は難航しました。

2012-05-14 22:02:49
とし @toshihiro36

<ナレーション> 再三にわたって身柄の引き渡しを求めた警察。ようやくアメリカが応じたのは、事件発生から25日も後のことでした。

2012-05-14 22:05:52
とし @toshihiro36

元刑事:指をくわえてみているだけの状況でしたね。時間が経ってしまうと、ややもすると事実が曲げられてしまうところもあるんじゃないかと。日本人が被害者で日本の地域で発生していて、いざそれが軍人であると分かった場合に…逮捕できないというのは、そんな不条理な問題はないんじゃないかな。

2012-05-14 22:11:02
とし @toshihiro36

<ナレーション> この事件を受け、日米両政府は凶悪事件を起こした容疑者の身柄の引き渡しについて、地位協定の運用を見直しました。しかし、引き渡すかどうかの判断はアメリカ側の裁量に委ねられたままでした。

2012-05-14 22:15:09
とし @toshihiro36

<ナレーション> その後も繰り返される犯罪。今も住民に不安を与え続けています。 去年4月、16歳の息子がアメリカ軍関係者による強盗の被害に遭った母親です。自宅近くを歩いていた息子は、突然背後からアメリカ人の少年グループに襲われました。

2012-05-14 22:21:00
とし @toshihiro36

<ナレーション> 羽交い絞めにされた上ナイフで脅され、携帯電話などを奪われました。脱法ドラッグを買う金欲しさの犯行でした。少年グループは逃走、逃げ込んだ先は日本の捜査権が及ばない基地の中でした。警察は逮捕状をとって少年グループの引き渡しをアメリカ軍に要求。

2012-05-14 22:25:49
とし @toshihiro36

<ナレーション> しかし、軍は応じようとしませんでした。身柄が日本側に引き渡されたのは、事件からおよそ4週間後。裁判所は少年たちを基地の中で生活しながら更生していく、保護観察処分にしました。ところが少年のうち1人は、すぐに軍の判断で帰国してしまいました。

2012-05-14 22:30:00
とし @toshihiro36

被害者の母親:ホントに逃げられちゃった感じです。これから先もまだまだ事件が起きる可能性はあるので、安心して暮らせる生活は(基地と)隣り合わせで生活している以上は無いなと思いますね。

2012-05-14 22:34:12
とし @toshihiro36

<ナレーション> 復帰から40年、アメリカ軍関係者による事件・事故の被害者や遺族に対し、日米両政府は基地を安定的に運用するためだとして補償金や慰謝料を支払ってきました。総額は少なくとも47億円に上っています。

2012-05-14 22:38:41