飛田給（とびたきゅう）を語る

The Shisho @utamarushisho

①飛田給の話をしよう。地名であるが、おそらく調布市民や京王線沿線民、サッカーファンしか、この地名を聞き慣れないだろう。「とびたきゅう」と読む。別に驚くほどの珍名でもない。断っておくが、吾輩は飛田給にも調布にも全く地縁がない。また飛田給の関係者でもない。

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②飛田給の話を聞いたところで、諸君にとってまったく教養の足しになるようなことはない。ましてや、人生を啓発されるような事態には絶対ならない。そして飛田給について語ったところで、吾輩にとっていささかもメリットはない。このレベルの話ではトリビアにさえならない。

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③何で飛田給か、などというチープな疑問にも一切答える積もりはない。登山家は山があるから登山するというが、飛田給がそこにあったから語りたい。テーマは飛田給ではなく、及位でも、尼崎センタープール前でも、雑餉隈でも構わない。でも飛田給について語ってみたい。

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④飛田給は、新宿から京王線で30分以内の位置にある。ちょうど中央自動車道と国道20号線に挟まれたところにある。このあたりは閑静な住宅地であって、自然も比較的豊富で、いかにも住みやすそうな地域ではある。だからと言って、飛田給へ引っ越せとまでは言う積もりは毛頭ない。

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⑤言い忘れたが、飛田給駅には各駅停車しか止まらない。だからといって飛田給の価値が下がる訳でもない。付近には調布飛行場がある。伊豆七島に旅客機が飛んでいるのだが、遺憾ながら利用したことはない。さらに警察大学校や榊原記念病院があるが、別に大したことではない。

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⑥飛田給は、近年付近に味の素スタジアムが出来たことから、生意気にもサッカーファンの間では有名になった。しかも駅名に「味の素スタジアム前」という副駅名が付く。味の素と3回書いたところで、味の素から中元が届く訳ではない。だからもう書かない。サッカー開催日には駅は賑わう。

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⑦飛田給駅はいつの間にか、京王線では珍しく近未来的な建物に変わった。それが武蔵野の風景に合うかどうかは、ここでは吟味しない。しかし調布良いとこ一度はおいで、とで宣伝しておけば飛田給観光大使として小銭が稼げるかもしれないので、せいぜい持ち上げておく。

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⑧飛田給にはユニクロがある。ユニクロ位で大騒ぎするなと諸君は思う筈だが、他に大したものがないから特筆せざるを得ない。これが大人の世界と言うものだ。またまた言い忘れたが、この話には一切オチはない。だからといってスルーする行為は早急であると申しておく。

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⑨飛田給駅前には、海鮮居酒屋・魚亥子（うおいね）がある。新鮮な魚が自慢である。と言っても店長が自慢しているのを聞いた訳ではない。ランチもやっている。あたかも常連のように書いたが、一度も行ったことはない。若干書いていて心苦しさはある。

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⑩今更であるが「飛田給」の地名のいわれを書いておく。荘園制度のころ、この地は「飛田なにがし」という領主から給された「給田地」であった。だから飛田給。別説では、悲田院の給田地であり、悲田給となり、それが転じて飛田給になったとも言われている。

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⑪偉そうに飛田給の地名の由来を書いたが、ウィキペディアを参考にしただけなので、別に吾輩が偉いとまでは言えない。でも飛田給という地味な地名について、これほどの文字数を費やしたのであるから、その労をねぎらってもらってもバチは当たらない。

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⑫そろそろ結びなのだが、「飛田給へ行こう」というような月並みの結論にする積もりはない。大体、諸君が飛田給に行こうが行くまいが、吾輩は一切関知しない。とはいえ、諸君を突き放すような不人情はしない。地名に魅かれる旅があってもいいじゃないか、とだけ申しておく。