第十七回お題

@140_plan

【第十七回お題配信】@lovedrughgさんより『明日』『爪』『繋ぐ』を使って土銀140字作品を書いてください。http://t.co/s7e7A3no　※提出期限は５/１７(木)20:00までです。参加お待ちしております

フェレットとハリネズミ、ときどきnika @Nika_and_Mig

「ここでするんスか」「嫌なの？」鍵を閉めた準備室で、強引に押し倒された俺。「明日休みだし、家に行くまで」「待てねえな」爪先でズボンが蹴り飛ばされる。淫らに微笑んで眼鏡を外す姿に、ぞくりと刺激が駆け抜けた。身体を繋ぐようになって知った、先生の性癖。『食われるみてェだ』――襲い受け。

@ui_laugh

人前で鼻糞ほじって爪で飛ばす男に惚れるなど、誰が思う。「何、まじまじと。惚れ直した？」「人生最大の汚点だな」「そりゃ光栄」万事屋の居間、テレビ横目のだらけた会話。明日の天気を告げる女子アナ。布団行くか、との欠伸。「手ぇ繋ぐ？」「洗ってから言え」こんな日々が当たり前になると、誰が。

@umb140

アゴ美に爪を赤く塗られた。俺だって不本意だけど、あのバイトも明日からを食い繋ぐ貴重な仕事で、断り切れねェこともあるわけよ。なのに「こんなもんで隠すな」と、指先にやわらかく歯を立てられた。一糸纏わぬこの状況で、これっぽっちの覆いが許せないなんて。お前って男は、ホント、欲張りだねぇ。

苅乃スガタ @karino140

爪でついと引っ張れば今にも千切れてしまいそうな銀糸。隣で寝ている男の小指にそっと繋ぐ。己の髪を絡ませるだなんて何だかサイコ染みてるけれど、それを見て漸く息を吐ける。明日になって夜が明けて男の目が覚める前には解くつもりのそれは、今現在何よりも愛しい近しい目に見える確かな絆だった。

浮名恵 @ukinamegumi

爪を切る。二週に一度くらいか。土方は毎週土曜の朝に切るらしい。俺は夜でも切る。人さし指の血豆の跡が、今、ぱちんと落とされた。便所のドアに挟んだのだ。あの時、土方が腫れた指をぱくりと咥えた。口の中が冷たかったので、熱くなるまでキスをした。代謝されない記憶。それこそが明日に俺を繋ぐ。

@mieux_2

見慣れない器具の用途を訊けば、爪の甘皮処理と言われた。身嗜みらしい。明日に備えてか？処理を終えた指先は綺麗に整えられていた。良いな、この手。繫ぐの勿体ねぇなあ。「ダサいもん触ったら赦さねぞ」言えば笑われた。「だったら選べよ。客の飾る隙もないくらい、お前好みの物で埋め尽くされてぇ」

雪村みなみ @sv_373

「銀ちゃん銀ちゃん！ マニキュア塗ってもらったアル！」「……だ、誰に？」「それは女の子の秘密ネ」キラリと光る爪を見遣り、銀時が不機嫌そうに言った。落ち着きなく動く指先に触れ、優しく手を繋ぐ。「明日、どっか行くか？」お洒落な子連れデートでもしようぜ、と言うと銀髪が微かに縦に揺れた。

佑依 @silversilver15

依頼帰りに寄った団子屋の店先で視線が絡む。｢偉く男前になったな｣傷痕を覗く瞳に反論する。｢そっちの傷はもういいのかよ｣｢…わざとか、中々やんちゃでな…生傷が絶えねぇよ｣ワシワシと髪を撫でながら眼を細めて紡ぐ言葉は心に沁みて、その爪痕は明日に繋がる道標、治ったらまたやんちゃするよ。

みん @totuki777

久しぶり過ぎる逢瀬、激しく求め合いお互い何度も熱を吐き出す。野郎同志の情事じゃなんも残らねぇ、だから俺は思いっきり爪をたて背中に痕を残してやる。くっきり残った爪痕は俺に繋いでおくための鎖、痕が深ければ深いほど執着が解るだろ？明日にでもお前の裸を見るかもしれない誰かへの密かな牽制

壱月 @Pucchink

これはあくまで俺とアイツを繋ぐ手段であり能動的にならねば約束に成らない。白いメール作成画面にさて何を書こうと頭を悩まし一日睨めっこしてた俺に、新八は働けと急かし土方を見習えと続ける。そこで閃いた。「爪の垢でも煎じて呑みたいので、明日会いましょう！」デートの誘い文句はこれで決まり。

ハル@ぬまのそこ @blacxweet_140

「じゃあな」朝を待たず閨を後にする万事屋。そこに未来を示す言葉は無い。後腐れのない関係が、後引く想いを生むようになったのは何時からか。身体にいくら跡を残そうと、お前の心に付く爪痕など無くて。焦りが身体ばかりを繋ぐ。本当はお前と迎える明日が欲しいのだと言ったら、お前は笑うのだろう。

汀 @tw_nagisa

ぱちんぱちんという、軽やかな音が耳に楽しい。無防備に利き手を差し出すのも、土方の色々を知っている今だからできることだ。爪を丸く仕上げていく几帳面さとか、さ。昨日の敵が今日の友なら、明日は何になるんだろう。「これ、手ぇ繋いでるみてぇ」土方の汗ばんだ手が、こんなに心地良いなんて。

@lovedrughg

背中に食い込む爪。坂田が掠れた声を上げた時、それはさらに深く皮膚に刺さる。痛みに思わず顔をしかめても、やめろと言う気にはならなかった。血が出ても構わない。痕が残っても構わない。この爪痕が俺たちの明日を繋ぐ証になるのなら、もう一生消えなくてもいい。体に刻むのは後悔か、それとも愛か。

轍 @wadachiii

「先生、また明日」その声に、銀八はさっき触れた手をひらと柔らかく振った。その残像を目に焼き付けて、走り出す。心臓も足も急いて回る。自室に駆け込んで手を開いたら、自分の爪でくっきりとついた跡。証拠みたいに消えなければいい。一瞬繋いだだけの手が、国語準備室を開ける、秘密の鍵になる。

くろみや @9638mmng

「明日ファミレスデートな」ギラギラした店内。化け物かと思わせるオカマ達が踊るステージを横目に、ソファーの陰でこっそり、絡まるように小指を繋ぐ。「パフェ奢れ」爪とにんまり歪む唇に乗った紅、人工のツインテールから香る甘さに、くらりときたんだろう。赤く染まる優男の頬が面白くて仕方ない。

@140_plan

〔第十七回お題〕『明日』『爪』『繋ぐ』を使って土銀140字作品を書いてください。 参加者１５名。 ありがとうございました。