茂木健一郎(@kenichiromogi)さんの連続ツイート第616回「イワンのばか、エメリヤンのタイコ」

脳科学者・茂木健一郎さんの6月5日の連続ツイート。 本日は、このところふっと思うこと。
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茂木健一郎 @kenichiromogi

しゅりんくっ! ぷれいりーどっぐくん、おはよう!

2012-06-05 06:48:20
茂木健一郎 @kenichiromogi

連続ツイート第616回をお届けします。文章は、その場で即興で書いています。本日は、このところふっと思うこと。

2012-06-05 07:16:12
茂木健一郎 @kenichiromogi

いえ(1)人間は、なんかのときにふっと我に還って、人生のバランスをとろうとするのではないだろうか。このところ、いろいろ揺れ動いていて、それで昨日は有吉伸人さんに会って、昨夜へんな夢を見て、それで、ふっと思い出したいくつかのことがある。

2012-06-05 07:17:41
茂木健一郎 @kenichiromogi

いえ(2)子どもの頃、家にトルストイの童話がいくつかあった。そのうち鮮明の覚えているのが、まずは『イワンのばか』。イワンがばか正直で、悪魔が出てきてもだまされない。それで、そこに、確か悪魔がばけたか何かの紳士がやってきて、「まじめに働く必要はない。あたまを仕え」か何か言う。

2012-06-05 07:24:54
茂木健一郎 @kenichiromogi

いえ(3)でも、イワンはばかだから、紳士の「頭を使え」という意味がわからない。紳士は「頭を使って働く」方法をずっと演説しているけど、そのうち疲れてふらふらしはじめる。それで、頭がかなづちになったように柱に打ち付ける。イワンや村の人はいう「おっ、頭を使って働きはじめたぞ。」

2012-06-05 07:26:17
茂木健一郎 @kenichiromogi

いえ(4)あと、なんとかのタイコというのもあった。今検索したら、「エメリヤンのタイコ」らしい。エメリヤンが、一夜にして城をつくれとか、むちゃくちゃなことを言われる。その度に、妻か何かが、「だいじょうぶ。わきめをふらずにやっていれば、朝になればできていますよ」とか言う。

2012-06-05 07:27:30
茂木健一郎 @kenichiromogi

いえ(5)それで、一晩中一心不乱に働いていると、ふしぎなことに朝までにお堀に水ができて、お城ができてしまう。それで、王様がくやしがって、また無理難題をふっかける。たしかそんなストーリーだったように記憶する。子どもの頃読んで、そのふしぎな「クオリア」がずっと残っている。

2012-06-05 07:29:02
茂木健一郎 @kenichiromogi

いえ(6)トルストイが言いたかったのは、何が裏切らないか、ということだと思う。わきめをふらずに集中した時間は、自分を裏切らない。それは一つの倫理観でもあるし、実践哲学でもある。それで、今朝そんなことを思い出したのは、人生の潮目の中でバランスをとろうとしているんじゃないか。

2012-06-05 07:30:23
茂木健一郎 @kenichiromogi

いえ(7)どうも、時代が落ち着かなさすぎる。社会的なことについて何か提言したり、批判したり、オルタナティヴを提示したりということは大切だとは思うが、一方で裏切られることも多い。社会は巨大な岩で、うんうん押してもなかなか動かない。ならば、自分にかかわることに専念する道もあるはずだ。

2012-06-05 07:31:40
茂木健一郎 @kenichiromogi

いえ(8)私のプロフィールに、「脳科学者。クオリアを研究。アンチからオルターナティヴへ。社会の前に自分を革命せよ。」とあるのは、ほんたうの気持ちで。社会を変える前に、自分自身に関わることでいくつか変えたいことがあるから、そちらに専念したい、というような思いである。

2012-06-05 07:33:03
茂木健一郎 @kenichiromogi

いえ(9)人はらせんを上るように変わっていくものだと思う。誰の中にも、イワンやエメリヤンがいると思う。予想ができず、落ち着かない世の中だが、時にバランスをとる精神の働きは大切。なんだか、ちょっと引きこもってみたい気分に、今朝はなっている。わきめをふらずにやるっていいね。

2012-06-05 07:34:27
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、連続ツイート第616回「イワンのばか、エメリヤンのタイコ」でした。

2012-06-05 07:35:40