「君に私の気持ちがわかるかね？」

雨傘 @damegane99

｢君に私の気持ちがわかるかね？」マーベリックは忌々しげに言い放った。「手塩にかけて蝶よ花よと育てた子が下世話な物に染められゆくこの怒りと哀しみが、君にはわかるかね!?」ロトワングは心底どうでも良いと思った。｢テレビで塩辛とさきいか好きだって言ったくらいで」＜いか＞ #同題ssTB

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「君に私の気持ちがわかるかね？」マーベリックは世界中の不幸を背負ったように呟いた。「過ちを犯しやしないかと心配で後をつけたら能力使ってまでまかれたこのやるせなさが、君にはわかるかね？」そりゃまくよなぁとエージェントは思った。デートで尾行されちゃあ誰だって。＜まく＞ #同題ssTB

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「君に私の気持ちがわかるかね？」マーベリックは喜悦に満ちていた。「新たな世界へ歩み出したつもりでいるあの子をいつでも絶望の淵へ誘えるこの興奮が、君にはわかるかね!?｣エージェントはテレビを見ながら言った。｢そんな事よりタイガーと別世界行っちゃってませんか彼｣/世界 #同題ssTB

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「君に私の気持ちがわかるかね？」マーベリックはデスクを叩いた。「汚れなき天使だと信じていた子の部屋から見覚えのない男物の下着が出てきたこの衝撃が、君にはわかるかね!?」男物しかない下着の中でそれ特定できるって凄いですねという言葉をエージェントは飲み込んだ。/パンツ #同題ssTB

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「君に私の気持ちがわかるかね？」マーベリックはグラスを置いた。「肩を抱こうとしたら逃げられたこの哀しみが君にはわかるかね？」虎徹は頷いた。「わかりますよ！俺なんかパンツ割り箸でつままれるんじゃないかって心配で！」「君もか！」「娘は難しいですよ」「全くだ」＜パンツ＞ #同題ssTB

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「君に私の気持ちがわかるかね？」マーベリックは目頭を押さえた。「あの子に『彼の側にいると息が苦しいんです』と泣かれた私の苦痛が君にはわかるかね!?」この涙は悔し泣きだなとエージェントは思った。「だからって呼吸器系の精密検査勧めますか。アレ恋のや」「黙れ！」＜いき＞ #同題ssTB

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「君に私の気持ちがわかるかね？」マーベリックは受話器を握り締めた。「最高級の牛肉がラーメンに負けたこの私の敗北感が君にはわかるかね？」まぁわかるとエージェントは頷いた。本人知らないとはいえ１ヶ月前から予約してたレストランの誘いをラーメンで断られちゃそりゃあ。＜肉＞ #同題ssTB

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「君に私の気持ちがわかるかね？」マーベリックは憔悴していた。「あの子のＰＣの検索履歴に性的な単語を発見したこの衝撃が、君にはわかるかね？」エージェントは言った。「なんで売ってる卵は雛にならないの？って訊かれた時に天使がキスし忘れたからだなんて言うからですよ」＜卵＞ #同題ssTB

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「君に私の気持ちがわかるかね？」マーベリックは絶叫した。「ようやく決着がつくと思ったら『バニーちゃん』の一言で全部持って行かれた私のやるせなさが君にはわかるかね！」笑みを浮かべて二人の抹殺を指示するマーベリックの背中は泣いている、ロトワングはそう思った。＜着＞ #同題ssTB

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「君に私の気持ちがわかるかね？」マーベリックは上機嫌だった。「長年育ててきたあの子が着実にスターの階段を上っていくこの喜びが君にはわかるかね？」「それは我々にとって手段であって目的じゃないですよね？」「……勿論だ」返答までの間にエージェントは転職を考えた。＜星＞ #同題ssTB

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「君に私の気持ちがわかるかね？」マーベリックは歯軋りした。「仇を討つ為なら清濁併せ呑む覚悟ですと言ったあの子が、彼のような正義のヒーローになりたいなどと子供じみた事を言い出したこのショックが君にはわかるかね？」「嫉妬ですか？」エージェントが一人解雇された。＜清濁＞ #同題ssTB

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「君に私の気持ちがわかるかね？」マーベリックは俯いた。「真実がそこにあるというのに愛する者の手によって隠蔽されたこの痛みが君にはわかるかね？」自分もやったくせにとエージェントは思いつつ言った。「部屋訪ねたら頑なに寝室のドア開けなかったなんて明らかクロでしょ」/しん #同題ssTB

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「君に私の気持ちがわかるかね？」マーベリックは机を叩いた。「お願いがありますなんて可愛く言ったかと思えば、彼の器物損壊は自分の責任もあるから半額回してくれと言われた私の憤りが君にはわかるかね！」経費決済のサインがされた書類を見てエージェントは目頭を押さえた。/願い #同題ssTB

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「君に私の気持ちがわかるかね？」マーベリックの拳は震えていた。「汚れなく幼い色香を手折りたい衝動を耐え忍び、大切に育ててきた美しき果実がさぁ食べ頃となった時に横から泥棒猫に浚われた私の怒りが君にはわかるかね！」病院が来い。ロトワングはその言葉を噛み締めた。＜こい＞ #同題ssTB

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「君に私の気持ちがわかるかね？」マーベリックは椅子を蹴り倒した。「お払い箱になるところを拾ってやった恩も忘れて、私の天使の腰を抱いて見せつけ挑発してくるあの男への滾る怒りが君にはわかるかね！」それならまだ良いとエージェントは思った。「あれ、無意識ですよ……」＜無＞ #同題ssTB

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「君に私の気持ちがわかるかね？」マーベリックは写真を破り捨てた。「ただの噂だと信じていたのに、純粋な想いが踏みにじられたこの哀しみが君にはわかるかね!?」路地裏のキスシーンを偶然撮影したエージェントは俯いた。「そんな事より俺はタイガーの視線が怖いです」/カメラ目線 #同題ssTB

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「君に私の気持ちがわかるかね？」マーベリックは空を見上げた。「昼はメディア王、夜は帝王と呼ばれた私がたった一人に献身するようになったこの奇跡の愛が君にはわかるかね？」エージェントは沈黙した。理解できない、部屋に盗聴器仕掛けるような愛も、その二つ名も。＜解/帝王＞ #同題ssTB

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「君に私の気持ちがわかるかね？」マーベリックは目を閉じた。「真っ白なあの子の首筋に悪魔の刻印の如き赤い痕を見付けてしまい、あれは虫さされだと必死で自分に言い聞かせているこの苦悩が君にはわかるかね？」この不況下だ、クビを恐れたエージェントはただ黙って頷いた。＜首＞ #同題ssTB