「つぶすつもりで来て」篠田麻里子のスピーチを『アッコにおまかせ』のために解説してみた
- communisjp
- 5549
- 0
- 1
- 0
①『アッコにおまかせ』に向けに篠田麻里子の総選挙でのスピーチを解説したんだけど、使われなかったよ^^; ので、ツイッターでまとめました。篠田麻里子のスピーチ動画はここ。http://t.co/as2ewyY5 全文はここ。http://t.co/z9wtyntx
2012-06-11 23:24:00②「つぶすつもりで来て下さい。私はいつでも待ってます。」AKB48篠田麻里子が、後輩に向けて檄を飛ばした総選挙での決めゼリフだ。総選挙での順位が5位と昨年の4位よりも順位を下げたにもかかわらず、最も心に残ったスピーチに選ばれた。なぜ彼女のスピーチがここまで評価されたのだろうか?
2012-06-11 23:24:28③それを一言で言えば、「カッコ良かった」のだと思う。AKBファンでない僕にも十分熱いものが伝わってきたのだから、ファンにとっては心から感動するスピーチだっただろう。では、篠田麻里子の「カッコ良さ」とは何か?ここがスピーチの専門家として解説のしどころだと思うのでがんばってみる。
2012-06-11 23:25:09④スピーチで心動かすための条件の1つに、「心からの言葉かどうか」というのが一般に上げられる。心から思いを込めて話した言葉が、人の心を突き動かすというわけだ。それは間違いない。しかし、心からの言葉という意味だけなら、他のAKBメンバーのスピーチも、同じく心からの言葉だったはずだ。
2012-06-11 23:25:42⑤篠田麻里子のスピーチは彼女たち上を行っている。何が違うのか?それは、「最年長」であることの誇り高さではないかと思う。彼女のスピーチのセリフ、表情、声の抑揚などを分析すると、このスピーチの中心にある動機は、順位を下げたことへの「悔しさ」だ。
2012-06-11 23:26:18⑥スピーチの中で「少し悔しいです。」と語っているが、本音は「悔しくて悔しくて仕方がない」という所だろう。しかし、「最年長」という立場上、その「悔しさ」を爆発させるわけにはいかない。そこで「悔しさ」のエネルギーを使って、先輩としてカッコ良く振る舞うという選択をしているように見える。
2012-06-11 23:27:09⑦スピーチの極意は「心からの言葉」であることは当然のこととして、その心の慟哭を、「見栄」とも呼べるその人の美意識に沿ってハンドリングすることだったりする。彼女の本音は「悔しい」の一点に尽きるのだけど、表層は「つぶすつもりで来て」という年長者として後輩を意識した言葉になっている。
2012-06-11 23:28:18⑧どうしてそれがわかるのかというと、「少し悔しいです」という表現では、すごく控えめに悔しさをアピールしていて、一方で「つぶすつもりで来て」は、非常に大げさな表現になっている。表層を大げさにすることで、本音を隠そうとする意図が働いているように見えるのだ。
2012-06-11 23:28:50⑨「つぶすつもり」は実は演技だ。演技だから心に余裕を持って大げさに表現することが出来る。しかし、この演技の部分がたまらなくしびれるのだ!本音を叫ぶのではなく、見栄を張って後輩を煽る先輩の姿の、なんとカッコイイことだろう。「カッコイイ」は「格好が良い」、つまり表層的な見栄のことだ。
2012-06-11 23:29:15⑩彼女のちっぽけな実存が(誰しもちっぽけだが)、懸命に「最年長」として見栄を張る姿に、多くの人が自分と重ね合わせ、深く共感を呼ぶことになったのではないだろうか?
2012-06-11 23:29:38⑪ちなみにここでいう実存とは、殴られたら痛いと思う心の事だ。彼女は、間違いなく実存でAKBの中で勝負している。誰しも傷つきたくない。だから、本気になって努力することを避けがちだ。本気なのに出来なければ、自分を責めるしかなく傷つくからだ。
2012-06-11 23:29:58⑫彼女は総選挙を「成長できる日」と言い、自分が傷つくことを肯定的に受け入れようと懸命だ。そんなけなげな姿に、多くの人が共感し励まされたのだと思う。彼女のスピーチのカッコ良さは、そんな実存むき出しの本気の戦いの中、懸命に「最年長」として見栄を張ったことで生まれた名演説なのだと思う。
2012-06-11 23:30:26