twnovelのまとめ(2012/6/9-16)自分用

@zeniqui が書き散らした #twnovel (620-629くらい)と #書き出し のまとめです。 書き出しをご提供いただいた方、ご利用いただいた方、皆さんに感謝、感謝です。 なお、これらの全てお話はフィクションです。
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銭喰 @zeniqui

#twnovel 後頭部にこぶがあることに気がついたので、掌でくりくりと押してみる。暫くくりくりやっていると突然ぺこん、と引っ込んだ。掌で後頭部をなぞる。えもいわれぬ不安に襲われて鏡を見ると、後頭部にぽっかり凹みが出来ていた。それからずっと側頭を押しているが、直らない。直らない。

2012-06-09 11:13:23
銭喰 @zeniqui

#twnovel 激しい雨に打たれて独り佇む勇者に、魔王が黒い傘を差し出した。「お前に、世界の半分をやろう」曇天に傘を開くと、どしゃ降り世界の上半分が、傘の闇に覆われた。こうして、世界は二人のものになった。

2012-06-09 12:01:37
銭喰 @zeniqui

#twnovel 果汁100%でなければパッケージに果物の断面を掲載してはいけない。これは他の食品もそうで、肉屋の店頭には牛や豚の断面図があるし、スーパーに並ぶ野菜もカットされて断面が見えるようになっている。おばあちゃんのぽたぽた焼には描かれていないので、100%ではないらしい。

2012-06-09 19:50:57
銭喰 @zeniqui

#twnovel 「たいそうなものじゃないのに、たいそうなものより価値があるものって知ってるか?」「さあ」「答えは福袋。体操(たいそう)服袋よりずっと高価だろ?」「…何が入っているか分からない福袋より体操服袋の方が夢が詰まってますよ、刑事さん」「だから盗もうとしたのか」「…はい」

2012-06-10 01:05:25
銭喰 @zeniqui

#twnovel 二人三脚と二人三脚を足すと四人五脚。脚一本あまる。さらに二人三脚を足しても六人七脚。また、脚一本あまる。あまった脚はリサイクル。身体に付ければ、速く走れるかな? 腰と、お腹と胸と顔と。身体中に付けて徒競走。速い速い。君も、走るの速いね。僕が勝ったら脚をちょうだい

2012-06-11 07:16:28
銭喰 @zeniqui

#twnovel 「ふふふ、七を質にしちまった」笑う悪友は、六でなしの五九つぶし。親の一三などとうに使い果たして、もはや「二二二」か「八八八」と笑うことしか出来ない。彼が笑いすら手放した先にあるのは、四、のみだ。

2012-06-12 07:38:06
銭喰 @zeniqui

#twnovel 年季のいった立て看板には達筆なのか悪筆なのか、『まかひもの売ります』の文字。ブルーシートに列べられた宝箱、水晶玉、古びた洋書、陶器の小瓶、猿の手。それらの前でこくりこくりと舟を漕ぐ老婆に、声を掛けるか否か逡巡する。果たしてこれらは紛いものなのか、魔界ものなのか。

2012-06-14 07:44:14
銭喰 @zeniqui

#twnovel 少女が夜中トイレに起きると苦手な野菜のオバケたちが現れ、自分たちを食べろと迫った。「人参、ピーマン…あれ、おナスと胡瓜は?」「彼らはお母さんと話をしている」「ふ~ん? おかあさ…」「割り込んでははいけない。さ、我らを食べるのだ」少女はその夜、人参を食べさせられた

2012-06-15 07:47:09
銭喰 @zeniqui

#twnvday 「アヤ、貸しにしといてやるよ」そそっかしい私が忘れ物をしないのは、名も知らない彼のお蔭。今日も家に忘れた給食着を届けてくれた。「貸し」は彼の口癖だけど、一度も返せと言われない。きっといい人なんだろう。でもどうやって家に入ったんだろ? 今日は誰も、いないはずなのに

2012-06-14 07:25:32
銭喰 @zeniqui

本のページの間から溢れそうになっている栞に指をかけたところで、短冊に細やかな文字が書かれていることに気づいた。それは読みさしの本の不満点を解消する内容で、思わず夢中になり手に取ると、不思議と文字は消えてしまった。もうどこまで読んだかも、分からなくなった。 #書き出し

2012-06-13 07:26:00
七歩 @naholograph

古道具屋で父を見つけた。僕に気づくと手を挙げる。少し痩せたみたいだな。最近の話を少しする。「母さん元気か?」ぽつり聞く父。「元気だよ」答える僕。そうかそうかと頷く父。「また会いに来るね」そう言う僕に父は値札を指さした。最終処分80%オフ。手を振る父の顔が忘れられない。#書き出し

2012-06-12 09:20:23
@sakutukixxx

古道具屋で父を見つけた。正確には育ての父だ。僕は彼を買い取り、家に持ち帰る。磨いて、欠けた部分を丁寧に補修する。「父さん?」呼び掛けると古い招き猫はぱちりと目を開けた。「久しぶりじゃの。助かったぞ」僕の父さんは招き猫の付喪神なのだ。 #書き出し #Chrys #twnovel

2012-06-12 21:19:26
楠樹 暖 @kusunokidan

#twnovel 古道具屋で父を見つけた。むかし、母さんが使っていた鏡台をジッと見ている。「大丈夫、きっといい人に買われていくよ」仕方ないことだ。家にはもう置く場所が無いんだから。「さぁ帰ろう。義母さんが待っている」 #書き出し @zeniqui

2012-06-13 21:10:55
七歩 @naholograph

妖怪「うつくし」は鏡を覗いた人を三割り増しで美人に映す。無論それは偽物の美。けれど「私が美しいと思えればいい」そんな自己愛風潮とマッチし、乱獲され、次々鏡に閉じこめられた。囚われのうつくしは溜息をつく。みせかけの美を得た所で、心は「みにくさ」に取り憑かれるだけなのに。#書き出し

2012-06-15 17:20:19
@sakutukixxx

妖怪「うつくし」は何もしない。ただ風が吹き抜ける高い場所に座って、艶やかな黒髪を風に遊ばせ小さな声で歌っている。笑みすら浮かべずただそうしているだけなのに、男たちは彼女に近づこうと、彼女を手に入れようとあがいて勝手に死ぬのだ。 #書き出し #あやかし草紙 #twnovel

2012-06-15 19:52:12
ひらばるまなぶ(平原学)@もの書き @chocolatesity

妖怪「うつくし」は櫛の形をしている。それで髪をとかせば、美味いご馳走を食べた後も、甘美な言葉を恋人から囁かれた後も、一気に気持ちが塞ぎ込み、自殺したくなると言う。 #書き出し その恐ろしい櫛が、近年ネットで高額売買されている。ヤンデレフェチと呼ばれる人々の間で。 @zeniqui

2012-06-15 20:01:09
水木ナオ @nayotaf

#twnovel 妖怪「うつくし」との長きに渡る因縁に、決着をつけよう。妖怪「みにくし」は決意した。うつくしは美しいものを食う。みにくしは醜いものを食う。それは、己がそうでないから。互いに、相手こそが極上の獲物。食うか食われるか、今こそ、決着のとき。 @zeniqui #書き出し

2012-06-15 21:25:28