茂木健一郎氏 @kenichiromogi 【新しい公共は、新しい私のあり方】連続ツイート

2012.6/29 茂木健一郎氏:連続ツイート639回 【新しい公共は、新しい私のあり方】 …ぼくが素朴に疑問に思っていたのは、従来の家族や友人による寄り沿いと、パーソナル・サポートの方々のアプローチの違いはどこにあるのかということ。考えるためのヒントが、現在生活保護を申請しているというある相談者のお話を伺っているうちに、見えてきたように思う…
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茂木健一郎 @kenichiromogi

連続ツイート第689回をお届けします。文章はその場で即興で書いています。今日は、きのう沖縄を歩きながら考えていたこと。

2012-06-29 08:43:06
茂木健一郎 @kenichiromogi

ああ(1)沖縄の、パーソナル・サポートセンターを訪問した。パーソナル・サポートとは、従来の福祉の枠組みではとりこぼれてしまう方々の人生に寄り沿って、いっしょに考え、生活や就労の支援をする。センターは、那覇市内の、沖縄県庁の裏にあった。少し出て散歩すると、落ち着いた住宅街がある。

2012-06-29 08:44:14
茂木健一郎 @kenichiromogi

ああ(2)湯浅誠さんは、「パーソナル・サポート」(PS)という概念を広めてきた方だから、センターの方々とのやりとりも専門的になる。ぼくはあくまでも素人だから、素朴な疑問を聞いたりする。そんな中で、異なる角度から、見えてくることもある。いろいろなことに気づかされた。

2012-06-29 08:45:18
茂木健一郎 @kenichiromogi

ああ(3)パーソナル・サポートの方々は、一人ひとりの相談者の人生に寄り沿って考え、支えていく。そのような役割は、従来は家族や友人、地域の人々が担ってきたのだと思う。それが、社会が変わり、コミュニティのあり方が変質するに従って充たされなくなってきた。新たな枠組みが必要となった。

2012-06-29 08:48:21
茂木健一郎 @kenichiromogi

ああ(4)ぼくが素朴に疑問に思っていたのは、従来の家族や友人による寄り沿いと、パーソナル・サポートの方々のアプローチの違いはどこにあるのかということ。考えるためのヒントが、現在生活保護を申請しているというある相談者のお話を伺っているうちに、見えてきたように思う。

2012-06-29 08:49:20
茂木健一郎 @kenichiromogi

ああ(5)その方は、体力的に仕事ができず、ついついお酒をのんでしまう。それで、娘さんにしかられる。しかられるのがいやだから、つい電話に出なくなる。ところが、パーソナル・サポートの方々からの電話には出るのだという。娘が増えた感じ。なにしろ、「しかられる」ということがないから。

2012-06-29 08:50:18
茂木健一郎 @kenichiromogi

ああ(6)しかられないから、パーソナル・サポートの方の電話には出る。ここに、新しい「寄り沿い」の可能性があるように思う。ところが、そのパーソナル・サポートの係の女性にうかがうと、もし自分の実の父親が仕事ができずにお酒をのんでいたら、やっぱりしかってしまうだろうという。

2012-06-29 08:51:15
茂木健一郎 @kenichiromogi

ああ(7)つまり、家族や友人のように、距離が近すぎないから、できることがある。ここに、新しい「寄り沿い」のかたち、専門性の可能性があるように思えた。家族や友人といった関係の歴史は深いが、文明が転換しつつある中で私たちは新しい社会のあり方の可能性を手にしようとしているのではないか。

2012-06-29 08:52:17
茂木健一郎 @kenichiromogi

ああ(8)「新しい公共」という言葉がある。従来の公共のあり方よりも、より水平的で、つながりやネットワークを重視して。そのような新しい公共が生まれるとき、同時に、私たちは新しい「私」のあり方をも模索しているのではないか。私的な領域が、新しいつながりによって更新されていくのだ。

2012-06-29 08:53:19
茂木健一郎 @kenichiromogi

ああ(9)実の娘や親とは違ったかたちで、お互いに寄り沿うことができる関係性。そのことが、社会全体の強靱性を高め、私たちの人生に、新たな「安全基地」を持ってきてくれる。パーソナル・サポートが示している新しい社会のあり方の可能性は、どうやらそのあたりにあるように思える。

2012-06-29 08:54:21
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、連続ツイート639回「新しい公共は、新しい私のあり方」でした。NHKのクルーが撮影する中、お届けしました!

2012-06-29 08:56:02