unpeu_k #twnovel 2011/12 「夜の砂漠を飛んでいる」他

twnovelまとめ:その①
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二月大笑 @unpeu_G

夜の砂漠を飛んでいる。エンジンだけが暖かい。何回飛んでもこの時には、もう世界には自分だけで二度と誰にも会えない気がする。下を向いたら闇に呼ばれる。空の事だけを考える。動かない北の星を見て飛び続ければ朝に帰れる。 #twnovel

2011-12-25 22:04:43
二月大笑 @unpeu_G

私は髪が伸びる人形。この長い髪は元々は若い女の髪である。美しかったがそれ故に幸せではない人だった。願掛けのように髪を切りその後の事はわからない。ただ髪だけが愛しい人を思い出すように伸びるのだ。そういう夜は私も辛い。私は髪が伸びる人形。 #twnovel

2011-12-26 13:24:25
二月大笑 @unpeu_G

好きな人に好きと言われた。最低、死ねばいいのに、と思ったけれど言えなかった。そしてそれを言えない限り私は彼の二番目なのだ。知らなくて可哀想なんて嘘。ほんとこの思い、死ねばいいのに #twnovel

2011-12-27 01:58:48
二月大笑 @unpeu_G

男が絵を描いている。誰かが楽しいか?と尋ねた。男はぼんやり驚いて考えてからいや、と言った。世界の終わりと逃げる人。この絵が描きたかったのか?男は再びいや、と言った。それじゃあ何の為に描くんだ?小さくわからないと答えた。気付けば誰もいなかったので男は再び描き続けた。#twnovel

2011-12-28 01:24:52
二月大笑 @unpeu_G

世界の終わりが始まった。黒いアスファルトが大きく割れて数百メートルの谷になり地鳴りに瓦礫が降り注ぐ。崩れたビルの間から傾いだ東京タワーが見えた。意外に近くにあったんだ。まだ妙なことに感心できた。なんとしてでも生き延びる。私は最後まで見とどける #twnovel

2011-12-28 01:38:15
二月大笑 @unpeu_G

「今日デートなのに黒目がナイよ!」妹が大騒ぎしている。「落ち着けお前の目はまだ黒い」そう答えたら笑われた。「コンタクトだよお兄ちゃん。黒目を大きく黒く見せるの。」そう言ってじっと見てくる瞳は確かに明るいブラウンだ。そういえば何故「お茶目」なんだろう #twnovel

2011-12-28 02:46:13
二月大笑 @unpeu_G

その命令を下した翌日世界中から記事を集めた。数ヵ国語で書かれていたが記事を読むくらいならできる。そうでなくては勤まらない。「彼はなぜ攻撃に踏み切ったか」分析記事全部に目を通す。これだけあれば一つくらいは正しい理由があるだろう。私にはまだわらないけど。 #twnovel

2011-12-28 07:54:54
二月大笑 @unpeu_G

幼い恋のおまじない「彼の髪の毛を一本用意、それは心に繋がっていて…」友達のみかちゃんと笑った。「もらえるくらいなかがいいならおまじないなんていらないよね?」 大人になった私の部屋には彼の髪の毛も落ちている。心はもらえたのかわからない。 #twnovel

2011-12-29 21:33:57
二月大笑 @unpeu_G

深い水路が街中を巡る湧水の街で宿を取った。澄んだ水面に鴨が二羽、浮かんでいるのが部屋から見えた。不意に水中から手が延びて鴨をとらえて抱き寄せる…戯れるようにすぐに放した。驚いていたら仲居が言った。「ああ旦那それは川人魚です。水路の下に街があるんで。」 #twnovel

2011-12-30 20:34:43