【ゾンサバで】 7日目 【リレーSS】
- inui_nosuke
- 685
- 0
- 0
- 0
【結果】
今日のinui_nosuke:【アクシデント】食事に妙な味。食糧が一部痛んでいた! ゾンビの悪臭に満ちた世界だ、気付きにくいのも無理はない。「現在食糧の1割」点の食糧を失う(端数切り捨て)。 http://t.co/7CVELqBa
2012-07-01 00:06:49今日の吾妻巧:【探索】廃屋に転がった死体のそばに手紙を見つけた。『彼の研究……家族を……だが何かが狂った……人類のため……「館」の中に残され……』かすれてよく読めない。食糧:-3 http://t.co/noLUWnfV 父親の死体の横に、こんな手紙があったらしい。
2012-07-01 00:04:51【本文】
「ニナ、ちゃん」「セラ」おずおずと名前を呼び合って、二人で膝を抱えて隣り合う。少し離れた場所では、タクミとカナメが今後の話し合いをしているようだ。ニナのもつれていたアッシュブロンドは、カナメに丁寧に梳いてもらい切り揃えられた肩口でキラキラと陽光を反射している。
2012-07-01 14:26:57昨夜、少女の家から戻った後で、四人は再び廃棄されたコンビニの前で一夜を明かした。ニナと名乗る少女もセラたち一行も、体がというより心が疲弊していた。本来なら同じ場所での連泊は避けるべきだったかもしれないが、移動する気力もこの先を決める気力も残ってはいなかった。
2012-07-01 14:27:03先に見張りに立ったタクミを置いて、カナメとニナと三人で横になった。「寝ることも義務よ」そう言い置いたカナメは目を閉じた後身動きもせず、真似て目を閉じた隣からは殺しきれない嗚咽が絶え間なく聞こえた。当たり前だと思う。自分だって、父があのような目に遭ったら泣かずにいられないだろう。
2012-07-01 14:27:12(お父さんとお母さん、大丈夫かな…)これまで、自分の失敗を悔いはしても、父母の安否を思ったことはなかった。彼らに連絡さえとれればこの悪夢は終わるのだと勝手にそう思い込んでいた。(どうしよう、お父さんやお母さんも、あんな風に……)恐ろしい想像が脳裡を駆ける。
2012-07-01 14:27:19今夜ほど思い知ったことはない。街を徘徊するクリーチャーが、まったく異次元の、自分たちと関わりのない存在ではなかったという事を。これまで何度となく遭遇した《彼ら》が、元は誰かの父であり、母であり、友人であり、隣人であったのだと。(もしかしたら私だって……っ)
2012-07-01 14:27:27思えば恐ろしさに胸が締め付けられる。大声でわめいて誰かに助けを求めたくなる。けれど──「……っ、……ぉさ……」泣きながら眠ってしまったのだろう、目を閉じたニナは、なのにまだ父を呼び涙を流し続けている。苦しそうに胸元を掴む指にそっと手を伸ばす。いつもタクミがセラにしてくれるように。
2012-07-01 14:27:35手を繋ぎあって過ごした一夜のあとで、二人は互いに不思議な親近感を持った。年の近さや──二つばかりニナが年上だったが──口数の少なさ、両親と離れている事など共通点は色々あるが、そんな物を越えてどこか似たもの同士だ、と思える部分がお互いにあった。
2012-07-01 14:27:45そのまま少ない口数同士、ぽつり、ぽつりと互いの話をする。ニナの視力は生来のものだが、足の怪我は家を出されたあと、捻ったのが悪化した結果だという事。カナメの応急処置で痛みは減ったが、いわく「走って逃げるのは無理でしょうね」という状態らしい事。父の事はあれでよかったと思っている事。
2012-07-01 14:27:53泣き出しそうな彼女の横で、黙ったまま寄る辺無い気持ちを分け合っていると、話し合いを終えた二人がこちらに近づいてきた。厳しい表情で腕組みしたカナメが「さて、と。今後のことだけど」と口を開く。が、続きを聞くより前に急いで立ち上がり、セラは懸命に二人に訴える。
2012-07-01 14:28:01「一緒に、行きたいです」震えてはいたがはっきりと言えた。どうしても気後れがあるカナメを相手に、目を逸らさず懇願した。「私が、ちゃんと手をつなぎます。遅れたり、迷ったりしないようにします……だからっ」伝えるとカナメの細い眉があがった。意外そうにもおかしそうにも見える。
2012-07-01 14:28:08「大丈夫。置いて行こうなんて、僕もカナメさんも思っちゃいないよ」横からなだめるようなタクミの声がする。「怖がらせすぎちゃったかしらね」カナメも苦笑しながら首をかしげた。「あの…それじゃあ…」そういうこと、と頷くタクミに、思わずニナの手を握り喜びを分け合う。
2012-07-01 14:28:19「とにかく、同じ所にいるのは危険だろうから今日は少し移動するよ。二人ともちゃんと食事をとって──」そう言って手渡された食糧におのおの口をつける。と、「ちょっと、なによこれ…っ」悲鳴のように言ってカナメが口から食べた物を吐き出した。見るとタクミもニナも同様に顔をしかめている。
2012-07-01 14:28:26「腐ってる…鼻がバカになってるのね、全然気づかなかったわ」言いながら急いで荷物の確認を始めるカナメと、手伝おうというのかそれに近づくニナ。「私、人より臭いは分かるから…」タクミは黙って腐った食糧の後始末を始めた。
2012-07-01 14:28:34そんな三人の反応を、セラは不思議そうに見る。自分には異変が分からなかった。変な味と彼らは言うが、セラが口にした食べ物には、まったく味というものがしなかったのだ。(おかしいな、こんなにおなかすいてるのに…味、わかんない)それどころかこれよりもっと、食べたい物がある気がする。
2012-07-01 14:28:43(もっと、弾力があって、甘くて、温かい……)「セラちゃん」ぼんやりと座り込んでいると、なぜか真剣な顔をしたタクミと目が合った。お兄さんにこんな顔を向けられたのは初めての事だ。どきり、と心臓が悲鳴をあげた。自分は何かしてしまっただろうか。優しいこの人を怒らせてしまうようななにか。
2012-07-01 14:29:00「セラちゃん……少し、話があるんだ」タクミはセラに声をかける。だが、セラの目は虚ろで、目は合っているがその目が自分を見ていない。(……)タクミは下唇を噛んだ。イヤな予感は現実になりつつある。(……いや、もう現実になってるのか)タクミは、セラの肩を掴んだ。 #ゾンビサバイバル
2012-07-01 20:00:31「――」ショットガンの銃声がまだ耳に残る、廃屋となった家の中。立ち尽くすタクミへフードの人物は手を差し出す。その手には、一枚の手紙が握られていた。「関わったのなら、最後まで進め」それが物言わぬ彼のものだと理解できた。「……はい」受け取った手紙は、重かった。 #ゾンビサバイバル
2012-07-01 20:00:39二枚目『――ニナへ。これをお前が手にしている時は、私はもはや私でなくなっているだろう。すまない。こうするしか、お前を守る方法が見つからなかった。いや、最善の方法はまだあるのかもしれない、だが、もう、何も考えることが出来ない。一緒にいてやれず、申し訳ない……』 #ゾンビサバイバル
2012-07-01 20:00:46三枚目『いや、分かっていたことだ。いつか、こうなることは分かっていた。だが、見ないようにした、考えないようにした、その結果がこうなってしまったのだ。彼が(血がにじんで読めない)……分かっていた。ああ、意識が薄れる。最後にこれだけは……(かすれている)』 #ゾンビサバイバル
2012-07-01 20:00:55四枚目『熱を……症候……肉体の……薄くなる……意識が……発熱……彼の研究……家族を……だが何かが狂った……人類のため……「館」の中に残され……後悔……すまな……私も……妻を……して……ナも……愛し………………(ここで途切れている)』 #ゾンビサバイバル
2012-07-01 20:01:04