ツイッター小説 お気に入りセレクト 2012/07/07

今日読んだついのべの中から個人的にお気に入りの作品を選んでみました。 ついのべ #twnovel とはツイッター小説、つまり140文字以内で書かれた短いお話です。
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ちゃーち @churchdevil

五円玉の穴に小人がハマって抜けなくなっていたことに気付かず、普通にレジで使ってしまった。慌ててレジに戻るも「お釣りで渡してしまいました」とのこと。参ったなあ、頭を抱える僕の肩が、とんとんと叩れて。「この小人あなたのですか?」五円玉と小人が美人さんを連れてきた。 #twnovel

2012-07-07 01:47:24
七歩 @naholograph

「元気で」「貴方も」年に一度の逢瀬も今年で何度目か。あの人も私も今ではそれぞれ結婚し、家族と共に暮らしてる。もう会わないとは言い出せないまま気づけばこんなに年をとる。#twnovel 今年も7月7日。橋の向こうから来たのは少年。「父は死にました」私の長い恋は終わった。

2012-07-07 06:55:46
工房径(koubou-kei) @pleaseinuplease

#twnovel 15年前の七夕祭り。初めてのデートだったのに、偶然出会った悪友達に冷やかされ、俺を置いて逃げ帰ってしまった浴衣の君。「よう、相変わらず仲いいじゃん」15年振りにまた奴らに絡まれ、君は俺の浴衣の袖をきゅっと引く。もう逃げたってだめだよ? 帰る家が一緒なんだからさ。

2012-07-07 08:16:53
銭喰 @zeniqui

#twnovel ミルキーウェイには天の川太郎という名の河童が住んでいる。彼は彦星の尻子玉を虎視眈々と狙っていて、彦星もそれに気づき牛を使うなど抵抗しているが、最後はいつも白濁した川水に濡れ、くんずほぐれつの格闘になる。それを対岸から眺める織姫の短冊が川を伝い貴女の元に届きます。

2012-07-07 11:14:58
K @kei1008

織姫は美しい女性だった。彦星は働き者の男性だった。七夕の日に雨が降るのは会えない二人が泣いているからじゃない。その二人が結婚してしまい、恋破れた者達が流している涙。いつまでもいつまでも…。毎年様子を見に来るカササギは溜息。「早く新しい恋を見つければいいのに」#twnovel

2012-07-07 14:25:09
ナコ@文学フリマ東京Q-01 @nakotic

帰宅したら自宅が笹林だったので、シイナさんは呆然とした。「笹の葉にゃあ!さらさらにゃあ!」笹林の奥からコネコの声が聞こえてくる。「お願いを書くにゃあ。食べちゃだめにゃー!」誰か、いるのだろうか。大きな生き物の気配もする。笹は軒端に揺れるから風情があるのだ。 #twnovel

2012-07-07 14:37:26
@mimimdr

察しの悪い鮭は、どうも自分は川を遡らねばならないらしいと思ったが、既に仲間とはぐれ、どの川をどう上れば良いのか判らず、とりあえず大きく眩しい川を泳いだ。上空を幸せそうなカップルを乗せた鳥が飛んでいる。通行人に声をかけられた。「随分遠くまで来たね。ここは天の川だよ」#twnovel

2012-07-07 14:43:12
紺屋 @ysga1002

「ねえ夏彦さま」星合いの日、織姫は彦星の袖を引く。「下界では私たちが一年に一度しか逢えないと、悲しい恋物語になっているようですよ」彦星は快活に笑う。「そうか、下界ではそんな話になっているのか」「数千年に渡るこの逢瀬、一年前など昨日のことのように思い出せますのに」 #twnovel

2012-07-07 15:13:45
N.T.Works/凪司工房@介護生活中 @nagi_tter

#twnovel 今日子さんは短冊を書く。「何を書いたの?」「内緒」「どうせ飾る時に見えるでしょ」「じゃあ」渋々見せてくれたのは「す」だけ書かれた短冊。「何これ?」「一年に一文字ずつ書いてそれが完成すると叶うの」僕は去年の短冊を思い出す。去年も確か「す」だったような。

2012-07-07 16:54:10
いでゆのまち @ideimachi

#twnovel 待合せを間違えた。横断歩道の反対で手を振る彼女。大通りを流れる車は、僕らを隔てる川みたいだ。長い何十秒かが過ぎ、信号が変わった。走って道の中央、笑顔を合わせる。一分でも待てないのに、彼女が抱きついた。「一年なんて私には無理」夜空を仰ぐ。今ごろ、天の信号も青だね。

2012-07-07 17:43:24
浅葉積木 @tsumiki_a

#twnovel 先々代の彦星(61)は悩んでいた。一昨年襲名した当代(16)に伝えられずにいるのだ。織姫が自分の時から代替わりしていないことを。去年は担当地区が雨だった。このままでは若者の夢を砕いてしまう。既に伝えるタイミングは逸している。今降るこの雨が止まぬことを願うべきか。

2012-07-07 19:35:04
夕凪奏恵 @k_you_nagi

#twnovel 雨雲の上は月光に照らされた雲海が広がる。地上の光は遮られ、空には満点の星が輝く。年に一度の逢瀬ぐらい、目一杯ロマンチックにしたっていいでしょ。銀色の船の上で愛しい人に寄り添う。でも少し申し訳ないから、叶えてあげる。見えなくても星はそこにあるから、願いをかけてね。

2012-07-07 20:01:53
みお @miobott

#twnovel 力なく項垂れる女を俺は背に載せ運ぶ。「今年も会えない」広がる厚い雲を憎々しげに見つめて女は嘆く。年に一度、愛する男に通じる星の道は雲に隠された。しかし気付いてくれ俺は、ここだ。ここだ。本来なら今宵一日人間に戻れる俺はいまだ牛の成り。愛しい女を背に載せ歩くのだ。

2012-07-07 22:14:48
ショウ @SHO_Y

目の前に金色の短冊が一枚。何を書くべきか、私は真剣に悩んでいた。「書かないなら貰うぜ」と近所に住む男の子が金色の短冊を持っていってしまった。私は一晩中泣き続けた。次の日、男の子とその父親が謝りに来た。手元に戻った金色の短冊。願い事は、まだ浮かばない。 #twnovel

2012-07-07 22:25:22
帆月 @hozuki_1173s

デパートの中に設けられた笹に、彼が短冊を吊しているのを見かけたのは、七夕当日の事だった。高校で同じクラスの彼。その姿に、鼓動が速くなる。彼の願いは、叶いそうな気がした。なぜなら昨日書いた私の願いは、叶ったからだ。『彼に話しかけるチャンスができますように』が。 #twnovel

2012-07-07 22:33:38
日向日影🍊📖@文化系物書きVtuber(HUB) @hyuugahikage

#twnovel 神様は一つだけ願いを叶えることにした。世界中の短冊を一つずつ読んでいく。ほとんどは俗的な願いか非現実な願い。しかし神様はある一つの短冊に口元を緩める。負けたよ。神様はこの短冊を手に取った。拙い字で短冊に書かれていたのは「みんなのおねがいがかないますように」

2012-07-07 22:59:34
悪鷹 @akutaka

貴方といると幸せなのよ。ずっとずっと一緒にいてね。私、機織を壊してやったわ。牛も殺したの。貴方と一緒に居たいのよ。…あゝうるさい。皆が私達を引き裂こうとする。貴方と離れ離れなんて耐えられない!それならいっそ…!…私もすぐに逝くわ…ねぇ、一緒に星になりましょう? #twnovel

2012-07-07 23:53:31