140字のまとめ

裏垢に投稿してた140文字SSのまとめ。普通にえっちいのもあるのでかなり背後注意。
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なが(発酵済) @ugng

「元長様」「ねえ、様なんてつけないでよ」いつも通りの朝。平和な日常。遥か昔、血腥いあの世の事などを覚えていない筈の経家はいつも自分をそう呼ぶ。(覚えてなくていい)あんな事など。腹を切った記憶など。今の世は、自分達は幸せなのだ。再び巡り会えただけで。「元長って呼んでよ、経家」

2011-10-09 18:58:56
なが(発酵済) @ugng

自分の後孔を犯す絡繰りに何度も腰を跳ねる。無機質なモノに犯されている気色の悪い快感と、その姿を見られているという羞恥に元春は身を捩って喘いだ。「た、隆、兄っ…」無機質な笑顔で、まるで隆元の主が浮かべるそれと同じ顔で、隆元は絡繰りをぐいと押し込んだ。「ふふ、元春、淫らな子」

2011-10-10 11:37:52
なが(発酵済) @ugng

ぱぁん、と乾いた音が辺りに響く。じんじんと熱を発する頬を押さえながら、呆然と経家は元長を見た。「何で…何でそういう事言うの…?」俯いた元長が顔を上げる。その瞳からはぼろぼろと大粒の涙が零れていた。「経家の事、大事に思ってるのに…どうしてどうやって自分を貶めようとするの!?」

2011-10-12 20:06:29
なが(発酵済) @ugng

大きく、暖かな掌に小さく口付けを落とす。唇越しに掌が慄いたのが分かった。「元長様…?」困惑しきったような、しかし、微かに嬉しさを帯びたような声。失いたくない。お願い。「経家」「何です?」「いなくならないで」僕の前から。

2011-10-13 20:54:47
なが(発酵済) @ugng

頬を掠めた暖かさに、虎徹は目を丸くした。「親愛の証に、キスをするんでしょう?」そう言ってバーナビーは含みのある笑顔を浮かべる。こいつ。虎徹もにやりと笑うと、バーナビーの白く整った顔を引き寄せて頬に唇を寄せた。「そう、親愛の証にな」

2011-10-13 21:09:09
なが(発酵済) @ugng

墨を流したような夜空に、幾つもの星が瞬いている。夜明けが近付いた、引き締まった空気は凛と寒く、吐いた息は白かった。「寒くありませんか、元長様」「うん、大丈夫」かじかんだ手を握りながら元長は笑った。「やってみたかったんだ。夜が明けるまで経家とずっと喋ってるの」白々と、夜が明ける。

2011-10-15 17:07:47
なが(発酵済) @ugng

あの鉢坊主が、切腹もせずに首を竦めて逃げ回ったと聞いた。そしてそのまま捕縛されたという。「馬鹿な奴だ、腹を切る度胸もなく逃げ回って捕まったとは、はは、馬鹿、馬鹿め」乾いた笑いが広家の口から洩れた。捕まったのならば殺されるだろう。首を晒されるだろう。ざまあ見ろ。――俺のせいで。

2011-10-19 19:06:12
なが(発酵済) @ugng

(ごめんなさい、元長様)小刀を握り締め、経家は項垂れた。最初から分かっていた事だった。自分がこの城を出れるのは勝った時だけだと。況して敵の情けを受けて命を許されるなど、自分の武士道にあってはならない事だった。(私は、やはり貴方にはもう会えない)

2011-10-29 20:39:06
なが(発酵済) @ugng

「は、…うっ…」欲に洩れそうになる声を寸での所で飲み込むと、頭上からせせら笑う声が降った。「あまり大きな声を出されると、此処で何をしているのか輝元様に気取られてしまいますぞ?」ずぷずぷと体内を犯す音さえ部屋の外に洩れてるのではと慄く。屈辱に噛み締めた広家の唇からは血が滲んだ。

2011-10-31 17:40:52
なが(発酵済) @ugng

「元澄」己に圧し掛かった影が、冷たい手を喉元に滑らせる。「元就、どういう事じゃ」「お前の事が、好きだと言ったら?」扇情的に頬を撫でられ、ぞわりと元澄の肌が粟立った。冷たい双眸に射抜かれて声も出ない。呆然としていると元就は笑って元澄の頬を軽く叩いた。「嘘だ」

2011-11-05 12:13:42
なが(発酵済) @ugng

脇差を強く握り締めながら、経家は瞼を閉じた。(元長様、申し訳御座いません)袷を寛げた腹に、刀の切っ先をひたりと宛がう。浅く息を呑み、それから逆手に持った脇差を勢いよく腹に刺した。(私は)くらり、と視界が歪む。歪んだ視界に見慣れた笑顔が滲む。(貴方が好きだと、最後まで言えなかった)

2011-11-06 12:56:12
なが(発酵済) @ugng

もう何度目になるか分からない書き損じの手紙を丸めて投げる。小机に突っ伏して元長はつかえる息を吐いた。こんな気持ちになるくらいならいっそ、この思いもくしゃりと丸めて捨てられたらいいのに。出来る訳がない。だから苦しい。「会いたいよ、経家」そうしてまた、筆を取る。

2011-11-10 10:26:48
なが(発酵済) @ugng

「いい夫婦の日らしいぞ、久」そう言って甘えるように抱き着いてきた元就を、久はくすくすと笑って迎えた。「あら、初耳でした」「俺とお前ほど模範になれる夫婦もそうおるまい」「元就さまったら」余裕そうな口調とは裏腹に垣間見えた元就の顔は赤い。「そういう事は顔を見て仰るものですよ」

2011-11-22 12:34:32
なが(発酵済) @ugng

「行ってらっしゃい」その声に太郎は振り返った。屋敷の門を背景に立つ元就、悲しみを笑顔で堪える妙、何かも分からず立ち尽くす次郎、妙の腕に抱かれている徳寿。「はい、行って参ります、父上」 次に郡山に帰って来れるのはいつだろう。その時私に居場所はあるのだろうか。全て飲み込んで歩き出す。

2011-12-01 22:59:13
なが(発酵済) @ugng

「全く、何とやらは風邪を引かぬ筈ですのに」熱に魘される元春を見やりながら隆景は軽口を叩く。どうせ聞こえてなどいないのだ。心配と共に魘される次兄を眺めていると一言。「隆景…好きだ」熱に何を見たのだろうか。「…馬鹿ですか貴方」そう言って、熱い額に唇を寄せる。口吸いはまだしてやらない。

2011-12-01 23:08:06
なが(発酵済) @ugng

父さんが好きだったと言うこの叔父が、俺は好きではなかった。「広家…ごめん、少しだけこうさせて」そう言って抱き着いてくる細い体を抱き締めながら苦い思いを奥歯で噛み締める。俺の姿形がどれだけ父さんに似ていようとも、俺は父さんの代わりになどなれはしないのに。「(可哀想な人だ、叔父上)」

2011-12-03 10:48:45
なが(発酵済) @ugng

「兄上、兄上」すがるように伸ばされた細い腕をそっと握り返し、広家は顔を歪めた。朝鮮の気候は日の本のそれより厳しい。熱に魘される叔父は驚く程小さく見えた。「兄上…」「隆景、御休み」己の手で隆景の視界を遮りながら真似た声は、驚く程よく父に似ていた。

2011-12-07 10:54:02
なが(発酵済) @ugng

「本当に、本ッ当に俺なんかでいいのかよ?」「何度も言わせないで下さい、虎徹さん」逃げるように彷徨う虎徹の目を凝視しながらバーナビーは何度目かも分からぬ念を押す。「だって、俺、オジサンだし。バニーちゃんといつまで一緒にいられるか分かんないし」「それでも虎徹さんが好きなんです、僕は」

2011-12-18 18:51:36
なが(発酵済) @ugng

「ですから」「…分かった、俺も腹ァ括る」掴んでいた腕を逆に掴まれて、横のソファに投げ込まれる。抵抗する間もなく虎徹が覆い被さる。「後悔すんなよ?」「しませんとも」「多分、お前が思ってるより俺は面倒だぜ?」「好きだからいいんです」どちらからともなく唇を寄せる。「好きだ」「好きです」

2011-12-18 18:54:41
なが(発酵済) @ugng

夜の闇に陣幕が翻り、何かと思う間もなく何かに体を突き飛ばされる。松明に浮かび上がった、誰のものかも分からぬ血に染まった兄の姿を見て隆景は全てを察した。「兄上」獰猛に光る瞳が自分を射抜く。「…分かりました」壊れそうな程に抱かれる自分の姿を想像しながら、隆景は元春に身を委ねる。

2011-12-22 00:12:29
なが(発酵済) @ugng

視界の儘ならないそこで元春と隆景はお互いに見えない手を絡め合う。見られていると知りながら互いの舌を交わらせ、雄を扱き合う。「兄上…」「ごめん、隆景…」目隠しで見えない不安を拭うように名前を何度も呼び合いながら行う情事はいっそ滑稽だった。見えない筈の兄は、きっと布の下で泣いている。

2011-12-22 00:25:31
なが(発酵済) @ugng

「どうされたのです」冷えた兄の体を強く抱く。元春が何をされたかなど大体の予想はついた。答えは期待していなかった。抱いた体がふるふると震える。「隆景」「はい」「抱いて、くれ」肩に顔を埋めるように、元春は隆景の腕の中で泣いていた。いつもは大きい兄の背が、これ程小さく見えるとは。

2011-12-22 00:42:05
なが(発酵済) @ugng

「バニーちゃん」ベッドから起き上がろうとすると、甘えるような声と共に引き戻される。「虎徹さん、もう起きたいんですが」「もうちょっとこうさせてくれよ」お互い裸のままでぎゅうぎゅうと抱き着かれ、バーナビーは呆れたように溜息を洩らした。「分かりましたよ。貴方のバニーだ、どうぞご自由に」

2011-12-22 18:52:23
なが(発酵済) @ugng

勢いに任せ、元長は経家を畳の上に押し倒す。ぽかんとしたような表情が元長へ向けられる。「どうされたのです、元長様?」自分が押し倒された意味をまるで理解していないようだった。ならば分からせてやらなければ。元長の口には何時の間にか妖艶な笑みが浮かんでいた。「今、教えてあげるよ、経家」

2011-12-23 21:27:44
なが(発酵済) @ugng

「隆兄、やだ、やめろ」腕の中でもがく元春を抑えつけるのも煩わしくて、隆元は手を伸ばして元春の口元を抑えた。「大人しくしないと、犯すよ?」密やかに耳元で呟くと、抑えた体がびくりと慄いて止まる。「(どうせされる事に変わりはないのに)」手を離し、代わりに己の唇を押し付けながら笑った。

2011-12-23 21:53:06