祖母の家に着いた男の子は、早速大はしゃぎで兄と共に外に遊びにでかけました。都会とは違い空気が断然うまいと、爽やかな涼し気な風を浴びながら、兄と田んぼの周りを駆け回っていました #cg百物語
2012-07-09 22:39:30「ただでさえ暑いのにこんな気持ち悪い風が吹くなんて!」爽快感を奪われ不機嫌になった男の子は『もう帰ろう』と言おうとして兄のほうを見ました #cg百物語
2012-07-09 22:42:22すると、兄は、さっきから別な方向を見ています。何を見ているのかと視線を追うと、その方向には案山子(かかし)がひとつ、あるだけでした。『案山子がどうしたの?』兄に聞くと、兄は『いや、その向こうだ』と言って、ますます目を凝らして見ています。 #cg百物語
2012-07-09 22:43:39男の子も気になり、田んぼのずっと向こうをさらにジーッと目を凝らします。すると確かに、遠くに何か見えるのに気づきました #cg百物語
2012-07-09 22:44:49『何だ…あれは?』遠くでよく分からないが、人ぐらいの大きさの白い物体が、くねくねと動いているのが分かりました。周りには田んぼがあるだけで他には何もなく、近くに人は誰一人いません #cg百物語
2012-07-09 22:46:30男の子は一瞬奇妙に感じましたが、ひとまずこう解釈しました。『あれ、新種の案山子(かかし)じゃない?きっと!農家の人か誰かが考えたんだ!多分さっきから吹いてる風で動いてるんだよ!』 #cg百物語
2012-07-09 22:47:06兄は最初、男の子の言葉に納得した表情でしたが、その表情は一瞬で消えました。ちょうどそのとき、風がピタリと止んだのです。しかし例の白い物体は相変わらずくねくねと動き続けています #cg百物語
2012-07-09 22:48:25気になってしょうがなかったのか、家に戻り双眼鏡を持って戻ってきた兄は、少々ワクワクした様子で、双眼鏡を覗きました。すると、次の瞬間。急に兄の顔に変化が生じました #cg百物語
2012-07-09 22:49:18兄の変貌ぶりに驚きながらも、『何だったの?』と、男の子は兄に聞いてみました。すると兄は、ゆっくり男の子の方を見てこう答えました #cg百物語
2012-07-09 22:51:14驚き戸惑う男の子を置いて、兄はそのままヒタヒタと家に戻っていってしまいました。男の子は、すぐさま兄を真っ青にしたあの白い物体を見てやろうと、落ちてる双眼鏡を取り、覗こうとしました #cg百物語
2012-07-09 22:54:09遠くから見たら、ただ白い物体が奇妙にくねくねと動いているだけにしか見えません。少し奇妙ではあるけど、それ以上の恐怖感は起こりません。しかし、あれを見た瞬間兄は…。よし、見るしかない! 男の子は決心し、双眼鏡を覗こうとしました #cg百物語
2012-07-09 22:57:27と、その時。祖父がひどく取り乱した様子でこっちに走ってきました。『どうしたの?』と尋ねようとすると、すごい勢いで祖父が『あの白い物体を見てはならん!見たのか!お前、その双眼鏡で見たのか!』と迫ってきました #cg百物語
2012-07-09 22:58:39『いや…まだ…』と答えると、祖父は『よかった…』と言い、安心した様子でその場に泣き崩れてしまいました。男の子はわけが分からないまま、祖父に家に連れ戻されてしまいました #cg百物語
2012-07-09 22:59:39いったい何事かと見ると、兄だけが狂ったように笑いながら、まるであの白い物体のようにくねくね、くねくねと乱舞していました #cg百物語
2012-07-09 23:01:22