【ゾンサバで】 １６日目 【リレーSS】

吾妻巧 @ESTakumi

今日の吾妻巧：【探索】無数のカラスが舞う沼地で、銃を握った死体を発見。ライフル（【戦闘】で受けるダメージ常に－２。最低１点は受ける）を得た！　食糧：－３ http://t.co/noLUWnfV　ついに武器を……！　だが持つ余裕がない！

may/皐めい @kingsfrog

今日のmay：【アクシデント】首だけになったゾンビに噛まれてしまう！　十日以内（あと１０行動）に治療できないとゾンビ化しゲームオーバーだ！　皮肉なことに肉体が活性化し、ＨＰ：＋６。 http://t.co/KrfCBqva　あうあ…

犬居　のすけ @inui_nosuke

今日のinui_nosuke：【アクシデント】窓際に追い詰められた！　隣の建物に飛び移るしかない！　今が２２時～１０時ならダメージなし。それ以外なら９のダメージ！　いずれにせよ食糧：－３ http://t.co/7CVELqBa おおお、危うく50切るところだったね

吾妻巧 @ESTakumi

――16days. 炊き出しの広場を離れ、タクミ達は閑散とする街を歩いていた。広場はもう見えないほど遠くになっている。途中までちらほら見えていた人影も、今はその気配すらない。「カナメさん」「……ん」それだけで意図が伝わったのか、カナメは方向を指し示した。 #ゾンビサバイバル

吾妻巧 @ESTakumi

「……」それ以上は何も言葉を交わさず、三人は足を進める。胸が焦燥でちりちりと熱くなる。あの広場で生存者に触れたことがタクミを無意識に急かしていた。当たり前のこと。生者に触れ、死が恐ろしくなっただけだ。だがタクミ自身はまだそれを自覚はしていない。 #ゾンビサバイバル

吾妻巧 @ESTakumi

（セラちゃん……無事で）心の中で呟く。今、タクミの胸の中ではっきりとしていたものは、それだけだった。「ここを抜けた方が早いわ」カナメが前を指して言う。その先にはタクミも見覚えのある広々とした、公園があった。「分かりました」短く答え、タクミは公園に足を踏み入れた。#ゾンビサバイバル

吾妻巧 @ESTakumi

ガァ、ガァ、とカラスの鳴き声が公園には響いていた。どこか不吉なものを感じさせ、タクミの足は自ずと速くなっていく。公園の中は、タクミの記憶にあるそれとはまったく違っていた。綺麗に整えられていた花壇や植木、自動販売機やベンチなど、それらは見る影もなく、荒れていた。 #ゾンビサバイバル

吾妻巧 @ESTakumi

自販機に至っては理解の範疇を超える光景を晒していた。ディスプレイは粉々に砕かれ、無理やりこじ開けられたのか、扉はだらりと開かれている。商品を映すモニターは完全に沈黙し真っ黒だ。そしてその周囲には、中のものを飲んだ後だろう、無数の空き缶が放置されていた。 #ゾンビサバイバル

吾妻巧 @ESTakumi

その光景に、タクミはどこか嫌悪感を覚える。（なんだか、イヤだな……。こんな、ことをしないといけなくなるなんて）行動自体は理解できる。こうなってしまった以上、四の五の言っている場合じゃない。自販機の中に飲み物がある、というのは誰もが知る常識なのだ。 #ゾンビサバイバル

吾妻巧 @ESTakumi

（でも、それでも……）それは小さなプライドなのかもしれない。それでも、とその先の言葉をタクミは心の中で噛み締める。――それでも、当たり前でいられないことが何よりも悔しかった。そして、遠くになってしまった日常が、とても恋しく思えていた。 #ゾンビサバイバル

吾妻巧 @ESTakumi

「飲めそうなのは残ってないね」メイが確認したのか、そう言って戻ってくる。「そっか」短く答える。分かっていたことだ。こうも目立つ場所で、これだけ荒らされているのだから、使えるものは残っていないだろう。「……うん、行こう」タクミは小さく、誰にともなく頷いて言った。 #ゾンビサバイバル

吾妻巧 @ESTakumi

「――！」公園の遊歩道を歩き、中心部まで入ったところでタクミは顔を曇らせた。「ひどい匂い……」「まるで何かが腐ったような感じ、ね」タクミの視線は自ずと正面に向いていた。ガァ、ガァ、とカラスの鳴き声が周囲に木霊する。そこにあったのは、公園中央に作られた噴水だった。#ゾンビサバイバル

吾妻巧 @ESTakumi

だが、最早それは噴水と言えるものではなかった。いくつもの人であったものがそこには倒れていた。水を求めてここに来たのか、逃れるためにここに来たのか、それ以外の理由でここへ来たのか。その理由は分からない。だが、それを考えさせられるほどに、そこには死体があった。 #ゾンビサバイバル

吾妻巧 @ESTakumi

水の止まってしまった噴水は周囲のごみや人の血でその流れを遮られてしまっていた。その為、窪みに作られていたそこはまるで一つの池――いや、沼のようになっていた。「……うっ」メイが思わず視線を逸らす。タクミも同じようにしたかった。だが、タクミは唇を噛み締める。 #ゾンビサバイバル

吾妻巧 @ESTakumi

（目に焼き付けないと。これを、忘れたらダメなんだ。今は、もう、こんな状況なんだ）あの広場の暖かさを忘れたくはない。それでも、これを受け入れなければいけない、と。これを忘れていてはいけない、とタクミの心の中で何かが訴えていた。「……全部背負おうだなんて、ダメよ」 #ゾンビサバイバル

吾妻巧 @ESTakumi

カナメが平坦な声で言う。「……大丈夫です」そう答えたが、タクミはカナメを見ることが出来なかった。「……あんたがそう言うなら、いいわ。さて。ま、貰えるものは貰って行きましょう」カナメは沼を気にすることなく、足を踏み入れた。「これ、まだ使えるみたいよ」 #ゾンビサバイバル

吾妻巧 @ESTakumi

そう言ってカナメはタクミにそれを投げた。受け取ると、ずしりと重さを感じる。タクミはそれを触ったことこそ無かったが、見たことはあった。長さ1メートルほどの、映画に出て来そうなライフル。「たぶん、猟かなにかで使ってたものでしょうね。院長も似たようなのを持ってたわ」 #ゾンビサバイバル

吾妻巧 @ESTakumi

「武器は必要よ」一瞬躊躇するタクミに、カナメは先回りして言う。「何があるか分からないわ。もう、悠長なことを言ってる場合じゃない。……誰かを守りたいのなら、手段は選んだら駄目よ」カナメはそう言って、周囲の死体から自分もう一本ライフルを拾い上げた。「……はい」 #ゾンビサバイバル

犬居　のすけ @inui_nosuke

「あ、ほんとにあった。よかった…」寿命のつきそうだったランタンに、予備の電池を探してきてはめこむ。食糧などはみつからなかったが、シェルターにはそこそこ備品がそろえられており、なにより静かで清潔だった。真っ白なシーツのかかったベッドなど、見たのは何日ぶりだろう。

犬居　のすけ @inui_nosuke

置いてあったタオルで体を拭いてから、セラとニナは並んでベッドに座った。「ここなら、ゆっくり寝ても平気かな…？」そうあればいいと願うようにセラが尋ねる。と、ニナも疲れた顔で頷きを返し、ふと表情を変えて口を開いた。「……ねえ、これからどうしたい…？」

犬居　のすけ @inui_nosuke

問われたことに返せる言葉は思いつかない。初めは、父と母を捜すのが唯一の目的だった。それからタクミと出会い、カナメやニナと出会って、目的は安全な場所へ逃げることに変わった。でも、今は──