☆Zombie Survival ～動物四天王ピアノ～

休止 @Ronia_Hope

【ゾンサバ-ピアノ④】…視線の先には、もはや死ぬ寸前の人間が倒れていた！「…お前さん…。」もう一度、今度は先ほどよりもはっきりと声が聞こえた。私は急いで彼の下へ駆け寄る。「おい！しっかりしろ！」私は思わず、彼に呼びかけた。 #ゾンビサバイバル

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【ゾンサバ-ピアノ⑤】「…ああ…よかった…。」しかし彼は、瀕死でありながらも私の方を見て笑いかけた。「…死ぬ前に…なんとか情報を教えられそうだ…。」　―！　「情報…だと？」私は真剣な顔で、笑いかけた人間の目を見た。 #ゾンビサバイバル

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【ゾンサバ-ピアノ⑥】「いいか…一度しか言わない…短く簡潔に言うから…。」　　　―――彼は、私に、最期の情報を伝えた。　　　………今日、どこかのヘリポートに救難機が来る事を。　　　そして、それを最後に…彼は息絶えたのだった。 #ゾンビサバイバル

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【ゾンサバ-ピアノ⑦】…。…本当に…。…本当に、この世界の人間は、私のような変わった動物でも受け入れてくれるようだ。死んだ彼の亡骸を前に、私はただ静かに…黙祷した。………。「…行くか。」私はそれだけ呟き、彼に別れを告げて去っていった。 #ゾンビサバイバル

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【ゾンサバ-ピアノ⑧】―――生きなければ。生きて脱出しなければ。私の身が、まだ持つうちに。　　　―――だが、　　　現実は非情だった。　　　グラリ、と急に歪む視界。そして、私は…倒れた。　　　予想よりも早く、限界に達した…のか。 #ゾンビサバイバル

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【ゾンサバ-ピアノ⑨】「…うっ…ぐ…！」私は立ち上がろうとする。しかし、無情にも、もうその力は…無い。「…ここまで………ここまできて……私は、死ぬのか…？」私は歯軋りをしながら、何度も立ち上がって歩こうと試みた。 #ゾンビサバイバル

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【ゾンサバ-ピアノ⑩】だが、立てない。起き上がれない。それどころか、徐々に意識が薄れていく…。「…嫌だ。」私は、倒れながら呟いた。「嫌だ……死にたくない…。………死んだら…今まで助けてくれた生存者達の気持ちを…無碍にしてしまう………！」 #ゾンビサバイバル

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【ゾンサバ-ピアノ⑪】私は、悔しさのあまり…涙を流した。尽きようとしていく私の命。気持ちとは裏腹に、遠くなっていく意識。……私は、静かに泣いた。………死に逝こうとする自分を憾んだ。私の涙は血と交じり合い、地面に広がっていき、　　　そして私の意識は…途絶えた。 #ゾンビサバイバル

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【ゾンサバ-ピアノ⑫】―――………。　　　―――………。　　　―――………。　　　………ザッ。　　　「………？」……歩く…音？私は、目を覚ました。………どうやら生きているようだ。そして、誰かに乗せられ、運ばれているのだという事にも気づいた。 #ゾンビサバイバル

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【ゾンサバ-ピアノ⑬】私は、『私を運ぶ者』に視線を移す。…黒い頭に板のような体を持ち。私と違って『色の無い』ニク。そして……　　　体のニクに刻まれた、　　　『R』の文字。　　　「―――ん、………やっと起きたか。ピアノ…。」懐かしい声が、私の名を呼んだ。 #ゾンビサバイバル

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【ゾンサバ-ピアノ⑭】「………ロック…様……？」それに答えるように、私は『動物番長』の名を呼んだ。動物番長…ロック様は、私が生きている事を知って、安心したように…だが、「…悪ぃ。今まで気付けなくて。番長失格だな。」すぐに、苦笑いしながらそう言った。 #ゾンビサバイバル

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【ゾンサバ-ピアノ⑮】ロック様は私を背負いながら話しだした。「ピアノが忽然と居なくなった時…俺は最初、すぐ戻ってくるだろうって思って探さなかった。……でも、一週間が経ち、一ヶ月が経ち………それでもお前は、戻って来なかった。」 #ゾンビサバイバル

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【ゾンサバ-ピアノ⑯】「もうすぐ二ヶ月が経とうとし………流石の俺も焦ったよ。マジで居なくなっちまったって。…ホント。…もっと早く気付くべきだったんだ。」ロック様の声は、どこか気まずそうであった。だが、私は………。 #ゾンビサバイバル

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【ゾンサバ-ピアノ⑰】「…申し訳ございません。」私は、ロック様に謝った。「って、おいおい何でお前が謝るんだよ？」ロック様は少し驚いたように私を見た。「すみません。番長様に心配をかけるような事をしてしまって。」それでも私は、もう一度謝る。 #ゾンビサバイバル

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【ゾンサバ-ピアノ⑱】ロック様はしばらく困ったように黙っていたが、やがてフッと笑みを浮かべた。「お前って…こういう時だけ、ホント謙虚だよなぁ。謝るべきなのはむしろ俺の方なのに。」ロック様は、謝らなくていい。私は今、最高に幸せだから。 #ゾンビサバイバル

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【ゾンサバ-ピアノ⑲】やっと会えた、それだけで嬉しかったのだ。このゾンビが蔓延る荒廃した世界に、わざわざ私を探しに来てくれた……それで、良い。「あァ…後、他の三匹も凄ぇ心配してたぞ。特にガニマタの奴、ずーっと泣いてたんだぜ？」 #ゾンビサバイバル

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【ゾンサバ-ピアノ⑳】ガニマタ…他の三匹のうちの一匹。…ああ、そうか。『動物四天王』も総出で私を探していたのか。真に申し訳ないな。「………早く、彼らにも会いたいものだ。」ぽつり、と私は呟いた。すると、ロック様は一旦立ち止まった。 #ゾンビサバイバル

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【ゾンサバ-ピアノ(21)】「―――トばして大丈夫か？」ロック様は私に問いかけた。…意識のある今ならば、ロック様に振り落とされる事もあるまい。「是非。」短く、そう答えた。そして、次の瞬間、　　　ロック様は、あの自慢のスピードで走り出した。 #ゾンビサバイバル

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【ゾンサバ-ピアノ(22)】私が走るよりも、ずっと早く景色が流れる。いよいよ、この世界から脱出する時が来たのか…そう気付いた時、私は今まで出会ってきた生存者達の事を、１人ずつ思い出していた。思えば、ほぼ全ての人間は私を見て逃げ出したりしなかったな。 #ゾンビサバイバル

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【ゾンサバ-ピアノ(23)】「…あのさ。」走りながら、ロック様は思い出したように私に言った。「もしお前が良かったらさ、この世界でどう生きてきたのか…教えてくれよ。」　…！　…。　「ロック様がお望みなら。」私の『イキザマ』は、無駄ではなかったようだ。 #ゾンビサバイバル

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【ゾンサバ-ピアノ(24)】ロック様のおかげで、大して時間も掛からずにヘリポートの近くまで来た。…偶然か必然か、あの死した人間の言った通り、私が見つけたあのヘリポートには既に救難機が降り立っていた。そして―――動物四天王の残り三匹も居た。 #ゾンビサバイバル

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【ゾンサバ-ピアノ(25)】「…ピアノ…。」まず安心したように私を呼んだのは、紫乳類最強の『オオドゲザ』だった。「ピアノーッ！」次に元気よく私を呼んだのは、青爬類最強の『センプウキ』だった。…ロック様？―――『灰獣類最強』だぞ。 #ゾンビサバイバル

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【ゾンサバ-ピアノ(26)】………そして。……最後に、ロック様ごと私に跳び付いたのは。…黄蓄類最強にして、ロック様の言う通り、声にならない声をあげて泣きじゃくる―『ガニマタ』だった。「…おい、そんなに泣くな。」私は少し照れくさそうに笑った。 #ゾンビサバイバル

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【ゾンサバ-ピアノ(27)】「―だって！もしてめぇが死んでたらって思うと！怖くて怖くてッ！！」……相変わらずうるさい奴だな。というか子供っぽい奴だ。…だが、裏を返せば、誰よりも私の生死が気になっていたのだろう。ガニマタはそういう奴だ。 #ゾンビサバイバル

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【ゾンサバ-ピアノ(28)】今日から丁度一週間前、突如としてパラミターに現れた救難機の人間達。何でも、原因不明の行方不明者が幾人もこの世界に飛ばされて来ているという事で、偶然立ち寄ったこの動物達だけの世界にも行方不明者が居ないか尋ねたのだと言う。 #ゾンビサバイバル