茂木健一郎氏 @kenichiromogi 【たかが電気と言われることが、電力会社の人の誇りなのでしょう】連続ツイート

茂木健一郎 @kenichiromogi

連続ツイート第６５７回をお届けします。文章は、その場で書いています。本日は、昨日の気になったニュースについて。

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たで（１）代々木公園の集会には、１７万人が集まったようだ。日本人が自分たちの意見を表明するようになったのは、本当によいことである。一方で、私自身は、原発にせよ何にせよ、すべての手段を使わずに、将来のエネルギー需要を満たすことができるのか、はなはだ懐疑的である。

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たで（２）私のプロフィール欄には、「アンチからオルターナティヴへ」とある。本当に尊いのは、アンチではなく、別の道を必死になって探すことだろう。新卒一括採用に反対するだけでなく、そもそも企業に就職しなくても生きる道を探る。偏差値入試に反対するだけでなく、多様な学びを探る。

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たで（３）もし反原発を唱えるならば、他のエネルギー源を必死になって探さなければならない。太陽光は、都会のすでにある構造物の上に張ったりするならば大いに有意義だろう。一方、現況が緑の場所につくるならば、バイオマスを減少させ、環境破壊につながる。そのディレンマの中で、どう解決するか。

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たで（４）原発がいろいろ問題があるのはよく承知しているが、ただ反原発を唱えていても、問題は解決しない。オルタナティヴを、いかに具体的、現実的に構築するか。その道筋が、今のところ私には納得のいく形で見えないから、意見表明としての反原発デモを支持しつつも、私はその主張には賛同しない。

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たで（５）ところで、昨日、坂本龍一さんが「たかが電気」と発言されたと報道された。そのような言葉尻をとらえてあれこれと揶揄するのは、問題の本質とは関係がないと思う。坂本さんのお考えは、全体として一つの立派なものだと思う。私には別の考えがあるが人間はすべてにおいて同意する必要はない。

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たで（６）私には、別のことが気になった。「たかが電気」という言葉は、坂本龍一さんご自身の認識というよりは、それくらい電気が社会にとって当たり前のことのように思われているという証左ではないか。スイッチを入れれば、電気が通じるのが当たり前だと思っている。本当は、大変なことなのに。

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たで（７）反原発を唱える方にもさまざまあり、環境やシステムを真剣に考えてオルタナティヴを模索される方がある。一方で、国や電力会社を一方的に悪者と決めつけるような方もいる。私が気になるのは後者で、特に、電力会社を悪者と決めつけるその姿勢は、はっきり申し上げれば愚鈍の一言だと思う。

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たで（８）東電にせよ、関電にせよ、「たかが電気」と言われる電気を安定供給してきた、その努力への想像力なしに、「悪者」と決めつけるのはだだっ子のようなもの。私が子どもの頃、よく停電していた。ほとんど停電しなくなったのは、「たかが電気」を作ってきた電力会社の方々のおかげだろう。

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たで（９）電気なんてどっかからくるさ、とばかりに反原発デモに参加して、ただいい気持ちになっている一部の人を、私は一切支持しない。「たかが電気」とつい思ってしまうくらい当たり前のものとして電力を供給してきたことが、電力会社の方々の静かな誇りであろう。そのことを言いさえもしないのだ。

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以上、連続ツイート第６５７回「たかが電気と言われることが、電力会社の人の誇りなのでしょう」でした。