【都会図鑑　完全版】山田兼士・たけだたもつ・宮尾節子　tweet連詩pw3x

たけだたもつ @tamosino

故郷の僕が糸電話で「お元気ですか」と尋ねる。それから、口にあてていた紙コップを耳に、耳にあてていた紙コップを口にあて直す。都会の僕が「元気です」と答える。そんなことを終日繰り返していたあの日、僕はあまり元気ではなかったのだと思う。（都会図鑑１）#pw3x

山田兼士 @yamadakenji1

僕のケータイはメールを送信すると画面に紙飛行機が現われて飛んで行く（でも何処へ）。故郷に今も住む初恋の人へ？まさか（安西冬衛じゃあるまいし）。都会に住むもう一人の僕の所に飛んで行くのだ。窓外に見える灯りの一つに向かって。そう、コクトーとリルケのようにね。（都会図鑑2）#pw3x

宮尾節子＊新刊『明日戦争がはじまる 対話篇』好評発売中です。 @sechanco

「なみ」ひと言で終わった日もあった。「波一丁！」谺の返る駅前店で。たまには「うみ」を注文してカウンターに運ばれる海原を見たかった。ライブで知り合った子の。乾燥した木の実を噛み砕くようなサ行の響きが耳に心地よくて。何度も。いまここが傷口のようにひりひりして。（都会図鑑２）#pw3x

山田兼士 @yamadakenji1

夜明けまぎわの吉野家で狼になりそこなった少年たちは、３０年後、どこで何をしているのだろう。さっきターミナル駅のホームですれ違ったおじさんはかすかにナナハンの匂いがした。シティガールから２人の孫を持つオバアチャンになった今も、都市の咆哮は私の耳から離れない。（都会図鑑3）#pw3x

たけだたもつ @tamosino

会社の前にクジラが打ち上げられていた。昨夜の雨の中を泳いで来たのだろう。海に連れて行こうとしても、びくともしない。やがて業者の人が来た。都会ではよくあるんですよと言って、トラックに載せた。見送りながら、通りが緩やかな下り坂であることに初めて気がついた。（都会図鑑４）#pw3x

宮尾節子＊新刊『明日戦争がはじまる 対話篇』好評発売中です。 @sechanco

「じぶんのまもりかたが、わからないんですよ」息が生臭い。（大きななりをして）と心の中で叱った。後ろ姿はまるで弁当のおかずがごはん手なずけている風で。社会の仕組みが垣間見えた。人生を「さかみち」と喩えた足の悪い人のことなど彷彿する。あんがい楽かもよ帰り道は。（都会図鑑５）#pw3x

山田兼士 @yamadakenji1

起伏の多い街に引っ越して来た。どこまでも平坦な故郷の町とは正反対だ（夕日は地平線に沈むものと信じていた）。近所にバス停が二つある。坂を下った所より上った所の方が駅に近い。毎朝選択に迷う僕は、日々、青年と老人の間を揺れているのだろう。もちろん帰りは迷わない。（都会図鑑6）#pw3x

たけだたもつ @tamosino

牛丼屋でウシが食事をしていた。共食いか、と思ってよく見ると豚丼だった。食べ終えたウシはお父さんごめんねと言って手を合わせ、泣き始めた。皆、見て見ぬふりをしている。誰もが複雑な事情を抱えているのだ、ウシもブタもヒトも。そして、自分の優しさを認めたがらない。（都会図鑑７）#pw3x

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計算しよう。自分はなんてひどい親だろうと悔やむ式には。ひどくない時の親豚を入れてない。まあ、と気づいていいと思う。プラすマイなす、そんなにひどくないよ母さん。トントン拍子によくはならないが。薄紙を剥がすようにというではないか。スカイツリーは金網タイツでも。（都会図鑑８）#pw3x

山田兼士 @yamadakenji1

犬たちが都市を彷徨していた時代は遠く過ぎ去って。遺伝子組み換えによって誕生した犬人や牛人や豚人が市民権を得たのは１０年前のこと。労働力不足は解消したが、出自不明の不安を抱えた超現代（犬、牛、豚）人の群れは都会の憂鬱をさらに深めた。新しい詩人群の誕生である。（都会図鑑9）#pw3x

たけだたもつ @tamosino

都会について語ると、都会は沈黙する。唇はいつも僕にあるから。生き物たちが寝静まった深夜、列車に乗って都会という名の駅で降りる。坂の上、高層ビルがひんやりと脱皮をしている。夜が明ければ、都会はきっと新しい希望に満ちているはずだ。僕は都会図鑑を閉じる。（都会図鑑10）#pw3x

たけだたもつ @tamosino

@sechanco @yamadakenji1 おはようございます。宮尾さん、山田さん、新しいお題「都会図鑑」、発進です。見たことのないろいろな都会の風景に出会えたらいいな、などと思います。

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@yamadakenji1 @tamosino おはようございます。上京してきて住んだ笹塚あたりから都会図鑑つづけます。こんなにたくさん人がいるのに、こんなに短い言葉で済むと驚いた都会の（笑）。吉野家のあたりから、わたしは。おつぎは山田さんですよろしく。

山田兼士 @yamadakenji1

@sechanco @tamosino 昨夜（深夜１時頃）にツイートした連詩は、順番を間違えていました。たけださんの次は宮尾さんですが、こちらのフライイング。山田による「２」は番外編ということにして、次の「３」を深夜に書きます。

山田兼士 @yamadakenji1

@sechanco @tamosino 「３」をアップりました（そう言うのですね）。宮尾さんの吉野家情景に刺激されて、一部中島みゆきの声をお借りしました。

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@yamadakenji1 @tamosino おはようございます。いいなぁ♪「かすかにナナハンの匂いがした」「都市の咆哮は私の耳から離れない。」肌身に感じる「都市の景色」がすてきで愛おしいです。ノッてまいりましたね♪

陶坂 藍 @ohagikinako449

昔、夜明けまぎわの吉野家で狼になりたかった若いひと達がいた。今の若いひと達はコンビニで何を思うんだろう。吉野家とコンビニでは、寂しさの種類が違う気がする。吉野家で許される寂しさがコンビニでは許されない気がするのは、照明のせいだけじゃない気がする。

宮尾節子＊新刊『明日戦争がはじまる 対話篇』好評発売中です。 @sechanco

@tamosino @yamadakenji1 おはようございます。夢のような、絵本のような、景色が広がります。土佐の高知出なので「おらんくの池にゃ潮ふく魚が泳ぎよる」都会に這い上がって来た郷愁のようでした♪http://t.co/t5FlDofi　ツイート一枠価絵本一冊分の感♪

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たけだたもつ @tamosino

@sechanco @yamadakenji1　宮尾さんの都会図鑑２を読みました。都会の喧騒とその喧騒にかき消されそうな、けれど決して消すことのできない孤独や痛みを感じました。もっと深いところでの人の営みにまで梯子をおろしていると思います。山田さんの都会図鑑３と甲乙つけ難し。

たけだたもつ @tamosino

@sechanco @yamadakenji1　山田さんの都会図鑑３を読みました。都市を生物に例えるならば人は血液でしょうか。やがて年をとって、新陳代謝して。それでも、個々に人として、思いを積み重ねて生きていくのですね。都市は咆哮する、人々の呟きを集めて。宮尾さんの２と並んで白眉

宮尾節子＊新刊『明日戦争がはじまる 対話篇』好評発売中です。 @sechanco

@yamadakenji1 @tamosino おはようございます。あっぷりました♪プランクトンしか食べないと知った、大きななりのやさしい鯨から。白鯨が白米弁当に（笑）寄り道しつつ。帰って行く下り坂にちょっと安堵の朝です。おつぎ、よろしく♪

宮尾節子＊新刊『明日戦争がはじまる 対話篇』好評発売中です。 @sechanco

@yamadakenji1 @tamosino 「日々、青年と老人の間を揺れているのだろう。」身につまされるフレーズです。でもラストに救いが♪なんだか息が合って、心に残る良い章になりそうですね。ツイート連詩の醍醐味や官能を感じます。毎日この小窓を覗くの楽しみ♪おはようございます！

たけだたもつ @tamosino

@sechanco @yamadakenji1宮尾さんの都会図鑑５を読みました。日々複雑化していくシステム。それに伴う閉塞感。自分が子供の時、大人はもっと大人だった。時代が違う、その一言ですませられない何か。時代が違う、の一言がなければ、模索できない何か。時代も人も躓いてばかり。

たけだたもつ @tamosino

@yamadakenji1 @sechanco 山田さんの都会図鑑６を読みました。場所による変化と加齢による変化。人は常に迷い、戸惑うものなのですね。最後は状況を考えれば、くすり、ときて差し支えないものと思われますが、生きていく、ということの切なさが滲み出ている一文でした。