【通達】只今よりフォロワー200人越え企画を行う。注意点・詳細はURLへ。至らぬ身だが、皆に楽しんでもらえたら、と思っているよ。宜しく頼む。それでは。【http://t.co/kEKZZ8ng】
2012-06-20 23:00:24ーーーその夢を知っている。 飽くほどに繰り返し繰り返し、そうして擦り切れた記憶の欠片たち。痛覚すら麻痺するような、永遠の螺旋の責め苦。まるで途切れる事なき生温い拷問のような、…目覚めた瞬間にすべて、泡沫と化しても。 その夢を知っている。哀れな男の一生が、零へと帰するだけの夢だ。
2012-06-20 23:02:44……(その男は薄暗い路地を歩いていた。こつり、こつりと、密やかな足音がアスファルトに響く)(月の光がぼんやり照らす夜のこと。この頃噂の殺人鬼の影響だろう、街は不自然なほどに静まり返っている。黒いコートも同色の髪も、まるで世界から男を隠すようにじわりと闇に溶け込んで)
2012-06-20 23:06:28(この色を常時身に付けるようになった切欠はもう憶えていないーーーこちらへ来てから再び吸うようになった煙草と同様に。ひらりと白銀が脳裏を過るような感覚を覚えながらも、男はそれを務めて意識の底へと沈めやった)(今は感傷など必要ないのだ。ただ機械のように冷徹であれと、自らに言い聞かせ)
2012-06-20 23:11:27……、(ふと、通り過ぎかけた地面に視線を落とす。暗闇の中で目を凝らせば、その一部だけどす黒い染みのようなものができていた)…これは…、(独りごちてぱちりとペンライトで照らせば、闇夜に浮かび上がる、路地裏の染みのような汚れ)(男はこの色を知っている。…よく、知っていた)
2012-06-20 23:16:28(その跡から微かに感じることができる気配は、その血の原因が魔術回路を持つ者であることをはっきり示している)…この冬木に、聖杯戦争参加者以外の魔術師が?(ぼそりと零した自らへの問いの答えは否であった。男はおよそのことを把握している。これが、この血が魔術師のものであるならばそれは、)
2012-06-20 23:21:12…間桐雁夜、(唇から落ちたその名前に間違いはない筈だった。調査の結果と照らし合わせ、様々な可能性を考慮したところで妥当な判断だろう)(けれどその名に驚いたのは己自身である。何故ならその発言は、条件反射的に出た意図せざるものであったのだから、…知る筈のないその者の様子すらも)
2012-06-20 23:28:42(混乱。混同。男はつと眉を顰めて)…、…何が…?(写真で見たことは、在る。彼についての情報も、知っている。しかし間桐雁夜が身を縮め咳き込むさまが、その引き攣れた皮膚や動かぬ半身を引きずる様子も、本来イメージなど出来る筈はない―――衛宮切嗣は、間桐雁夜と会ったことすらないのだから)
2012-06-20 23:32:49(疲れているのだろうか、と自問する。久方ぶりに気を張っているからか。人の身には過ぎた願望を叶える過程の最終局面。精神の疲労。…そうかもしれない)(軟弱ではあるが、錯覚だと思えば納得もいった。会ったこともない人間といつか何処かで会話したことがある気がする、など)(洒落にもならない)
2012-06-20 23:38:55(これ以上この場にいる意味はないと判断したのか、踵を返し、男はしんと静かな路地裏に再び足音を響かせる)(この夜の静寂が冬木の殺人鬼とやらのせいである、と思い至って、同時に知りもしない派手な髪色をした若者を連想することも、彼にとって歩みを止める理由にはならない)
2012-06-20 23:48:02(あの日自らの手で父を殺めてからずっと、男は歩みを止めたことなどなかった。愚かしくも真剣な誓いと願望のために、ただそれだけのために、等しく正しく一度も間違わずに、…そして今も)(止まることなく、抜け出すことなく、永遠を彷徨っているのだと、―――男が気づくのはまだもう少し先のこと)
2012-06-20 23:51:15…はぁ、(ホテルの廊下を歩きながらネクタイを緩め、思わず零れた溜息ひとつ)(ポケットをまさぐり鍵を引っ張り出して、ドアを押し暗い部屋へと)
2012-06-21 00:02:00(濡れた頭に軽くタオルを被り、適当に掻き回しながらベットへ腰を下ろし)(投げ出していたコートのポケットから箱を取り、とん、とシガレットを一本出して)
2012-06-21 00:31:11(……雨の、音がする)、…ん…(のろのろと上半身を起こし、そのままぼうっとした表情で前髪を掻き上げ)(浅く息を吐いて頭を軽く振り)
2012-06-21 08:16:58(細い部分を重ねて一方にくるりと巻きつけ、上から端を隙間に差し込み、強く引っ張ってから調節し)(碌に鏡も見ずにネクタイを締め終え、ベットへ戻って腰掛け)
2012-06-21 08:42:29