- hosikagetukuyo
- 2487
- 0
- 0
- 0
「真実…?」それは一体何の真実なのか。ちゃんと聞きたいけど、うわ言のように答えた先輩はそのこと以外何も考えていないように見えた。「…大丈夫なんですか?」心配になって訊ねた #ゾンビサバイバル
2012-07-23 02:46:44心配そうな彼女に俺はふっと笑った。そうだ、これでいい、そう決めたんだから。「大丈夫だよ。ありがとう。最後に君に会えてよかった」 そう言ってから、俺は離着陸場とは少し違う方角を指差した。 #ゾンビサバイバル
2012-07-23 02:50:28「この先に少し崩れかけのビルがあると思う。そこに行ってみてほしい。……臆病でごめん。今はこれしか言えない」 彼女が生前残した足跡にすべてを託す。多分俺が話すより、いいだろうなんて甘い考え。 #ゾンビサバイバル
2012-07-23 02:51:31意味ありげな発言が自分の中の不安感を煽る。引き止めても恐らく無駄だと分かるから何も言えずに口篭った。そして先輩が指さした方に顔を向ける。見えるのは遠くにポツリと見えた建物。多分その建物の事を指しているんだろう。 #ゾンビサバイバル
2012-07-23 02:56:33あの建物に何かが?それは先輩が知っていてそれでいて言えないこと。先輩の言葉を頭の中でゆっくりと復唱する。しばらく黙ってから、口を開いた。「…分かりました」それ以上は言えなかった #ゾンビサバイバル
2012-07-23 02:59:23彼女の様子を見て、俺はほっとした。彼女に、自分の口から全てを告げずに済んだことを。 #ゾンビサバイバル
2012-07-23 03:03:43「じゃあ、俺は戻るよ。君が無事に脱出できることを祈っている」 遠くで音がする。高い金属の音。それはおそらく、ぎりぎりの所を保っていた歯車が外れた音だ。 彼女の返事も聞かないまま、俺は館へ、もう戻れないところへと向かって歩き出した。 #ゾンビサバイバル
2012-07-23 03:06:11「先輩も、無事で」途切れ途切れにしか言えず、そのまま先輩の去っていく姿を見送る。もう会えなくなってしまうのかもしれない。だからまた逢いましょうと言いたかったのにどうしてだろう。自分の意思と行動が伴わずままならない自分に嫌気を感じながらあたしもその場を後にした #ゾンビサバイバル
2012-07-23 03:12:13