【オムニバス #twnovel 】数字にまつわるツイノベ集

ひらばるまなぶ（平原学）＠もの書き @chocolatesity

人を探して街を歩いていたら、ロクでもない奴らに絡まれた。つまり相手は、５や７だった。「おまえらに用は無い。私が探しているのは６だ」「へへっ、お呼びですぜボス！」と６が現れたが、「俺はテメェなんざ知らねぇよバーカ！」やはりロクでもない奴だった。逆立ちした９だった。 #twnovel

ひらばるまなぶ（平原学）＠もの書き @chocolatesity

「７はラッキーな数だとか最初に言った奴誰だ！」大雨の中、ずぶ濡れの７は叫ぶ。散々仕事を押し付けられ終電を逃し、職場に置いていた傘も誰かが間違えて持ち帰り、鞄の底に空いた穴から財布を落とし、代えの傘も買えず終い…彼自身は幸福などではない。人が彼から幸福を奪うのだ。 #twnovel

ひらばるまなぶ（平原学）＠もの書き @chocolatesity

８が転んだ。「やーい、転んでやんの！」周りの数字達は馬鹿にする。が、それでも偉そうなのが８だ。「愚民共め。我が輩は転ぶことにより最強の数になるのだ。そう、我こそ∞…！」「やかましい」と、真ん中をバッサリ切られた彼。0と0に姿を変え、何もない荒野を転がっていった。 #twnovel

ひらばるまなぶ（平原学）＠もの書き @chocolatesity

９は足下の枕を頭の上へ持ち上げ、もう一眠りすることにした。既に４も５もいなくなったが、自分の番が回ってくるのはまだ先だろうと考えた。だが次の瞬間、真正面から狙い打ちされ、気づけば穴へ突き落とされていた。初心者に６と間違えられたのだ――ナインボールの最中の出来事。 #twnovel

ひらばるまなぶ（平原学）＠もの書き @chocolatesity

彼女の袖から10%OFFの札が出ていたので「服の値札切り忘れてる」と笑ったら「違うわ、自分で付けたのよ」と袖をめくる。札は、肌から直接伸びていた。「あなたと別れようと思って。中古で別の男に売り出すことにしたの」それ以来、彼女とは会っていない。売り切れたのだろう。 #twnovel

ひらばるまなぶ（平原学）＠もの書き @chocolatesity

#10MTWN というタグがあったので調べたら、今晩２３時から「10分ついのべ」というものが開催されてたみたいだ。悔しい、知ってたら投稿したのに。否、今からでも遅くない。たかが30分遅れ。そうだ、これをエントリー作にしよう。「そんなのを評価出来る程甘くはないぜ」 #twnovel

ひらばるまなぶ（平原学）＠もの書き @chocolatesity

ぴんと伸びた両耳の先がちょこんと折れて数字の１１に似ていたので、その兎を１１と名付けた。毎日フィンガーキャロットを１１本食べ、１１時間ぐっすり眠る可愛い子だった。出会って１１年過ぎたんだな。１１みたく立てた二本の線香の煙を見つつ、あの子が元気だった頃を懐かしむ。 #twnovel

ひらばるまなぶ（平原学）＠もの書き @chocolatesity

時計の長針は１２時間で一周、一年は１２カ月。そして「１２個入り」には「１ダース」なんて別称が。「１２って中途半端な数字だろ…どうしてあいつばかりチヤホヤさるんだよ…」「きっと俺らにも輝ける日が来るって…まぁまぁ、もう一杯」「ういっく」――２２と３２の会話＠居酒屋 #twnovel

ひらばるまなぶ（平原学）＠もの書き @chocolatesity

「時計は長針一周が１２時間、一年は１２カ月。で、「１２個入り」には「１ダース」とかって単位付けてさ…１２って中途半端な数字だろ？どうしてあいつばかりチヤホヤさるんだ」「きっと僕らにも輝ける日が来ますよ…まぁまぁ、もう一杯」「ういっく」――２２と３２の会話＠居酒屋 #twnovel

ひらばるまなぶ（平原学）＠もの書き @chocolatesity

時計の針が１２時を回る頃、君は僕の元を離れ、またシンデレラエクスプレスで遙か遠い地へと還っていく。でも大丈夫さ、僕らの愛に距離なんて関係ない。いつの日か、一緒に暮らせるようになる日が来る事を信じている。 #twnovel 君の乗る、地球行きのシャトルを見送る。僕の暮らす月面から。

ひらばるまなぶ（平原学）＠もの書き @chocolatesity

１３階段を昇る。アリバイも無く、奴を殺したい程憎んでいたという動機は明白な俺。取り調べが進むにつれ、本当に自分が殺した様な感覚に陥っていった。結局真犯人も凶器も不明のまま、最期を迎える俺に死刑執行人が囁く。「あの世で償いなさい、肉親を包丁で刺した罪を」 #twnovel #意味怖

ひらばるまなぶ（平原学）＠もの書き @chocolatesity

１４歳でした。ゲームやアニメばかりに夢中で、現実が見えなかったあの頃。小説家になりたいと言い、読み終えたライトノベルと丸っきり似たような文章ばかり書いていたあの頃。辻仁成や銀色夏生に憧れ、鼻つまむ程臭い台詞を毎日吐いていたあの頃。君に、スキと言えなかったあの頃。 #twnovel

ひらばるまなぶ（平原学）＠もの書き @chocolatesity

お賽銭に十円玉と五円玉を一緒に投げて「十分ご縁がありますように」と願うより、百円玉と五円玉を一緒に投げた方が「百のご縁がありますように」となって願いが強力になるのではないか。そう考えてお賽銭箱へ投げ込んだ数日後、確かに百のご縁があった。近所にダイソーが開店した。 #twnovel

ひらばるまなぶ（平原学）＠もの書き @chocolatesity

十六夜に　月が綺麗と　メール書き　ただ返事待ち　握るケータイ　#jtanka 十六夜に　届くメールは　あなたから　無言貫き　試す愛情 #twnovel

ひらばるまなぶ（平原学）＠もの書き @chocolatesity

何かが始まる気がした１７歳。何かが終わる気がした１７歳。何も始まらなかった１７歳。何も終わらなかった１７歳。君に恋した１７歳。君にフラれた１７歳。ただ笑おうと決めた１７歳。それでも泣いた１７歳。もう二度と無い１７歳。だが、その記憶からは決して抜け出せない１７歳。 #twnovel