<完全版>ワシントンDC国際エイズ会議の記録

一昨日投稿した「ワシントンDC国際エイズ会議の記録」に、会議の総括1~4を加え「完全版」としました。
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浜崎 伊南 HAMASAKI Ina @HAMASAKI_Ina

HIV/AIDSと社会保障制度に関するセッションは興味深く、面白かったが、この時間になると極端な眠気が襲い、起きていられなくなる。残念ながらルワンダの保険制度などについて寝てしまい、まともに情報を取れなかった。

2012-07-24 04:54:44
浜崎 伊南 HAMASAKI Ina @HAMASAKI_Ina

明日大きなデモがあり、「マーシャル」(平穏維持担当)の役をしなければならなくなって、マーシャルの研修を1時間受ける。日本の現場で一定の経験知はあっても、英語で異なった体系で説明されるとそれはそれで納得できる。講師は非暴力直接行動の専門家でエジプト革命でも呼ばれて行ったとのこと。

2012-07-24 11:14:10
浜崎 伊南 HAMASAKI Ina @HAMASAKI_Ina

朝7時から世界基金支援アフリカ委員会のサテライト・セッション。ナミビアの保健大臣、ナイジェリア・ガーナの国家エイズ委員長、南アの有名な歌手のイヴォンヌ・チャカ=チャカ、世界基金のゼウディ事務次長、そしてジェフリー・サックスという豪華な顔ぶれ。イヴォンヌが素晴らしいスピーチ。

2012-07-24 21:24:00
浜崎 伊南 HAMASAKI Ina @HAMASAKI_Ina

イヴォンヌの次に登場したサックスのスピーチが素晴らしく、驚いた。被援助国主導、専門家を動員した科学的評価という世界基金の仕組みを、旧来のドナー機関に対する同基金の優位性として明確に指摘。現在の世界基金の財政危機をドナー国の責任として糾弾。「ペンタゴンは一日20億ドルも使っている」

2012-07-24 21:28:19
浜崎 伊南 HAMASAKI Ina @HAMASAKI_Ina

サックスはアフリカの保健官僚たちに「ドナー国を恐れるな。何が必要か、明確に示してほしい」と呼びかけ。サックスの「アフリカン・ヴィレッジ」の金満支援には私も批判的だが、こと世界基金に関して、サックスの主張は的を得たもの。逆に、著名な経済学者のこの主張に、日本の官僚は困惑するだろう。

2012-07-24 21:31:54
浜崎 伊南 HAMASAKI Ina @HAMASAKI_Ina

数日エイズ会議で過ごして、今、国際保健で日本に誰かを招へいするとすれば、一人はブッシュ研究所のマーク・ダイブル、もう一人がジェフリー・サックスか。彼らはお金に群がる保健名望家、国際保健の流行語にびくびくするエセ保健官僚を尻目に、「何が必要か」について堂々たる議論を展開するだろう。

2012-07-24 21:39:11
浜崎 伊南 HAMASAKI Ina @HAMASAKI_Ina

We can end AIDSのマーチは課題によってコースが5つ、最後にホワイトハウス前で合流。かなりの人数が集まった。我々は全米製薬業者協会抗議コース。PHARMAのビルの前でダイイン。一定規模のデモ隊が合流するとダイナミックな感じで迫力が増す。ACTUP節のコールが懐かしい。

2012-07-25 05:45:42
浜崎 伊南 HAMASAKI Ina @HAMASAKI_Ina

ホワイトハウス前の公園での集会は南アフリカ勢が支配。元TACの女性活動家が凄まじく激しい演説を行い、さっきはスーツを着ていた人気歌手イヴォンヌ・チャカ=チャカがTシャツ姿で歌う。最後は皆でホワイトハウスへ。10名の決死隊がホワイトハウスの柵にレッドリボンを巻付ける。

2012-07-25 05:46:08
浜崎 伊南 HAMASAKI Ina @HAMASAKI_Ina

市民的不服従行動とのことだが、決死隊以外は導入された騎馬警察にさっさと排除され、決死隊はのんびりと柵にレッドリボンを延々と巻付けた挙げ句に座り込み。警察はいやいや決死隊を一人ずつ逮捕。逮捕後23日も拘留でき恐ろしいスティグマを生む日本とは違うのんびりした光景…。

2012-07-25 05:46:30
浜崎 伊南 HAMASAKI Ina @HAMASAKI_Ina

「People with AIDS under attack, what can we do? ACT UP FIGHT BACK!」と叫んでいた我々は決死隊全員逮捕を見届けるやそそくさとホワイトハウスを後に。蒸し暑さが特徴の我が国の運動にもこうした乾燥した作風があってもよいか。

2012-07-25 05:48:26
浜崎 伊南 HAMASAKI Ina @HAMASAKI_Ina

保健人材とエイズのセッション。世界保健人材同盟(GHWA)事務局長のスピーチは何ら新味がない。米国のグースビー調整官は保健人材育成・定着への米国の政策を説明。さすがに存在感。マラウイの保健大臣は大変な中どんな努力をしているかを説明。保健人材への取り組みは消滅していないことは理解。

2012-07-25 06:51:13
浜崎 伊南 HAMASAKI Ina @HAMASAKI_Ina

しかしセッションで最も声援を受けたのはウガンダの訪問看護ネットワークのリーダーの女性。何ら新味はないが、実地の人々の努力が現場を支えていることに多くの共感。しかし逆にこれは、ここ数年の保健人材問題への関心の停滞、政治的意思の減退を示す。前と何も変わってないということだから。

2012-07-25 06:54:37
浜崎 伊南 HAMASAKI Ina @HAMASAKI_Ina

保健人材不足は現実の課題で、政策的流行の影響で多くの国々が国家保健人材計画を作り遂行。努力を裏切らず、奇をてらったり自己利益に流れない予測可能な援助の継続が不可欠。流行に流されやすい、外来の新語に振り回されやすい国際保健政策の現状に改めて罪悪感。売文的な政策なら、ない方がよい。

2012-07-25 07:10:39
浜崎 伊南 HAMASAKI Ina @HAMASAKI_Ina

今日も早朝から世界基金支援アフリカ委員会セッション。アフリカの民間セクターの世界基金支援の試み。モザンビークの保健大臣「わが国民は南アに出稼ぎに行き、病気になって戻り、我が国で治療を受けてまた南アに出稼ぎに」我が国は南アの病院じゃないと本音が…。真を突いてるのかただの愚痴なのか。

2012-07-25 21:18:00
浜崎 伊南 HAMASAKI Ina @HAMASAKI_Ina

2010年に同委員会が立ち上げた「ギフト・フロム・アフリカ」イニシアティブは、アフリカの民間セクターが連携して世界基金に寄付する試みで、今までに500万ドル寄付したという。「アフリカも責任を果たす」銀行や鉱山企業が中心。キガリ銀行頭取は「ルワンダの大統領も寄付。トップの参加が鍵」

2012-07-25 21:22:34
浜崎 伊南 HAMASAKI Ina @HAMASAKI_Ina

南アのスタンダード銀行は、銀行としての資金管理能力を生かし、アフリカ数か国で世界基金の案件の実施団体等の会計能力強化の支援をしているとのこと。LIBORの操作などの不祥事をみれば銀行がこうした支援に最適かはわからないが、実際に世界基金の資金管理は難しく能力向上が必要なことは事実。

2012-07-25 22:59:33
浜崎 伊南 HAMASAKI Ina @HAMASAKI_Ina

キム総裁はWHOで3×5戦略をリードした人で、ACTUPなど市民社会からの強力な支援が成功の要因になったということで、歴史を進めるには市民社会のラディカルな力が必要だと理解しているからでしょう。その点で世銀総裁として破格の人物です。RT @tomokito1: なぜ今アクトアップ

2012-07-25 23:17:24
浜崎 伊南 HAMASAKI Ina @HAMASAKI_Ina

そうですね。マーチ参加者が多国籍なのでマーシャルも多国籍かと思ったら、DCやニューヨーク、フィラデルフィアなど米国人たちばかりで、外国人は私と南アの人だけでした。内容は、デモへの法的規制が強い日本には適用できないものの雰囲気や進め方は良かった。RT @tomokito1: 研修

2012-07-25 23:25:05
浜崎 伊南 HAMASAKI Ina @HAMASAKI_Ina

今回のエイズ会議では、黒人女性活動家のスピーチの素晴らしさが光る。今日のプレナリーのLinda Scruggs氏(米国)のスピーチも文学的な衝撃に満ち、トニ・モリスンの小説を髣髴とさせた。これは米国が我が国と異なり、未だに文学的なユーモアと深みを受け止める社会であることを示す。

2012-07-25 23:49:15
浜崎 伊南 HAMASAKI Ina @HAMASAKI_Ina

グローバル・ビレッジの世界基金活動家ネット(GFAN)のセッションで、世界基金の新しい資金拠出メカニズムについて討議。普段と違い、実施系NGOが沢山。世界基金理事会でこの件を担当するトッド・サマーズは具体的な情報には全く触れず。質問も早口でうまくかわして結局何もわからずじまい…。

2012-07-26 04:05:18
浜崎 伊南 HAMASAKI Ina @HAMASAKI_Ina

昨日のGFANセッションでは、世界基金で資金動員を担当するクリストフ・ベン氏が登場。「活動家的には『エイズ・フリー世代』というスローガンに違和感があるかも。しかし、大胆で魅力的なゴールを掲げ、現実を引き寄せていくアプローチは有効。実際、技術の進歩で母子感染ゼロは現実的な目標」

2012-07-26 04:13:24
浜崎 伊南 HAMASAKI Ina @HAMASAKI_Ina

今回のエイズ会議は「エイズを終わらせよう」というスローガンで回っている。早期の治療導入を軸とする「治療による予防」と、母子感染ゼロによる「エイズ・フリー世代」の実現がこのスローガン実現のための二本柱。治療でウイルス量を下げ、他人への感染を防ぐ、それ即ち予防だという理屈。

2012-07-26 04:25:40
浜崎 伊南 HAMASAKI Ina @HAMASAKI_Ina

この「治療による予防」の危険性は二つ。1.単純にそれを支える資金動員が可能か。昨今のドナー国の無責任さをみれば懸念は多い。2.これは端的に「予防の医療化」。これまで、エイズ予防はコミュニティの活性化と同義だった。男子割礼も含めた予防の医療化でこれが後退すると負の影響が大きくなる。

2012-07-26 04:32:59
浜崎 伊南 HAMASAKI Ina @HAMASAKI_Ina

実際、この会議では、セックス・ワーカーや薬物使用者、MSM、女性、トランスジェンダーの取り組みはエイズとの具体的な闘いというよりもむしろ「人権問題」として単純化された感が強い。そうなると、全てがイエスかノーにデジタル化され、エイズ対策としての具体性・有効性は捨象される。

2012-07-26 04:39:57
浜崎 伊南 HAMASAKI Ina @HAMASAKI_Ina

昨日のGFANセッションでベン氏は、「エイズ・フリー世代」を2003年のWHO「3×5」戦略と比較し、「あの時も3×5には批判が多かったが、実際にはこの戦略は時代を導いた。今回のスローガンも同じだ」。説得的ではある。では「治療による予防」も同じだと言えるか。かなり難しい。

2012-07-26 04:52:07