ゾンビ・サバイバル! ~ゾン子ちゃん編~

蔦井サンが志半ばにノーマルエンドしてしまったため、蔦井サンの連れていた「あなたに懐くゾンビ」ことゾン子ちゃんがスピンオフしました。
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秘密結社つたいブックス @Y_Tsutai

ゾンビの蔓延る町を、双眼鏡片手に歩き回る白衣の老人が一人。「熊だの武装した奴だの、この辺りも随分と風変わりな死者が増えたものじゃのう。結構、結構」髭面に好好爺然として微笑みを浮かべながら、老人はしきりに首から提げたノートにメモを取っている。「……む?」#ゾンビサバイバル

2012-07-31 20:59:08
秘密結社つたいブックス @Y_Tsutai

老人の目に留まったのは一体の少女のゾンビだった。彼はそのゾンビに見覚えがあった。前にゾンビの群れに襲われた時、助けに入ってくれた二人組の女性が、そのゾンビを連れていたのだ。二人組の片割れに随分となついていたようだったが、はぐれてしまったのだろうか。#ゾンビサバイバル

2012-07-31 21:11:02
秘密結社つたいブックス @Y_Tsutai

ふと、老人は一つの実験を思いつく。鞄から緑色の薬品が入った注射器を取り出し、そっとゾンビ少女に近寄ると、素早く首筋に突き刺した。少女は驚いたように振り返り、ゾンビらしからぬ俊敏さで注射器を叩き落としたが、時既に遅し。やがて、少女は力なくその場に倒れ伏した。 #ゾンビサバイバル

2012-07-31 21:28:04
秘密結社つたいブックス @Y_Tsutai

――目を開けて最初に見えたのは、薄汚れたクリーム色の天井。……見覚えはない。何処だ。「……おお、目を覚ましたな。結構、結構」傍らから聞こえた声に顔を向けると、ハゲ頭で白い髭面の爺さんがこちらを見ていた。やはり見覚えはない。誰だ。 #ゾンビサバイバル

2012-07-31 21:38:02
秘密結社つたいブックス @Y_Tsutai

「訳が分からない、という顔じゃの。自分が誰か、分かるかの?」爺さんが質問してくる。「あたしは……」反射的に口を開きかけて固まる。あたしは、誰だ? 「思い出せない、か。一時的なものなのか、腐って落ちたか……」何か納得したようにぶつぶつと呟く爺さん。#ゾンビサバイバル

2012-07-31 21:47:00
秘密結社つたいブックス @Y_Tsutai

「それじゃあ状況を説明してあげよう。よく聞くことだ、おチビちゃん」「誰がおチビちゃんだ! こう見えてあたしは……えっと……」「何も思い出せんのじゃろ。おチビちゃんで十分じゃ」 #ゾンビサバイバル

2012-07-31 21:50:42
秘密結社つたいブックス @Y_Tsutai

それから、爺さんは状況を説明してくれた。今この一帯では死体が歩き回り、人間を襲っているということ。爺さんはその歩く死体の研究をしていて、死体を人間に戻す薬を開発したこと。そしてその薬で、歩く死体になっていたあたしを人間に戻してくれたこと。 #ゾンビサバイバル

2012-07-31 21:58:53
秘密結社つたいブックス @Y_Tsutai

「……そっか。じゃあ爺さんは恩人って訳か。ありがとな」話を聞き終え、素直に頭を下げたあたしを、老人は物珍しそうな表情で見つめる。「ほう。こんな突飛な話を信じるのか」「信じるも信じないも、外見りゃ死体が歩いてるしな。それに……何となく、覚えてるんだよ」 #ゾンビサバイバル

2012-07-31 22:06:18
秘密結社つたいブックス @Y_Tsutai

老人の話に出てきた、あたしがゾンビだった時になついていた女性。ぼんやりとだけど、その人の面影を覚えている。そして、その彼女に似た、もう一人の女性の面影も、また。「そうだ……あたし、行かなきゃいけないんだ……」#ゾンビサバイバル

2012-07-31 22:14:41
秘密結社つたいブックス @Y_Tsutai

「どこに、かね」「分かんない。分かんないけど……多分、あたしの住んでた町。あっちの方だと思う」「……ふむ。断片的ながら生前の記憶がある、と。面白い」しきりに頷き、メモを取る爺さん。「……よかろう。行きたまえ、おチビちゃん。内なる声の導くままに」 #ゾンビサバイバル

2012-07-31 22:24:12
秘密結社つたいブックス @Y_Tsutai

「……おチビちゃんはやめてよ、爺さん」「ふむ、ではどう呼ぶ? あの嬢ちゃんのように、ゾン子ちゃんと呼ぼうかの?」「……それも嫌だな。爺さん、なんか良い名前付けてよ」「わしがか? あー、じゃあ、ナミコでどうじゃ。イザナミのナミコ」「イザナミ?」#ゾンビサバイバル

2012-07-31 22:39:56
秘密結社つたいブックス @Y_Tsutai

「神様じゃよ。死者の国のな」「なんか不吉だなー。ま、いいか。ありがと爺さん」お礼を言って、あたしは立ち上がる。それに合わせるように、爺さんも立ち上がると、「ほれ」と傍らの鞄をこちらに放り投げる。「これは?」「保存食じゃ。餞別じゃよ、持ってけ」#ゾンビサバイバル

2012-07-31 22:49:44
秘密結社つたいブックス @Y_Tsutai

「……なんか、何から何まで悪いな、爺さん」「気にするな。これも新薬の実験の内じゃ。体に異変があったら、すぐその無線で知らせるんじゃぞ」「ああ、分かったよ」あたしはまた頭を下げて、その部屋を出た。 #ゾンビサバイバル

2012-07-31 22:55:28
秘密結社つたいブックス @Y_Tsutai

「そうだ爺さん。まだ名前聞いてなかったよな。教えてよ」去り際、ふと気が付いて、私は尋ねた。すると、爺さんはにやりと笑って、「さてな。イザナギ、西行、フランケンシュタイン、ウェスト博士、好きなように呼ぶがいい」「……? じゃあ、博士って呼ぶよ。またね、博士」 #ゾンビサバイバル

2012-07-31 23:01:58
秘密結社つたいブックス @Y_Tsutai

「……ふむ。予想以上、じゃな」少女の背を見送った老人は、満足げに呟いた。ゾンビ少女の甦生は完璧だ。記憶の欠損は見られるものの、人間らしい知性や人格が復活し、腐敗箇所も驚くべき速度で治癒している。駄目元の薬剤投与でここまでの効果が得られるとは。 #ゾンビサバイバル

2012-07-31 23:26:57
秘密結社つたいブックス @Y_Tsutai

そして、老人にとって更に幸運だったのは。(あのおチビちゃんは、「爆心地」の方角に向かっておった……)そう、もし彼女が、正しくあの町に向かっているのであれば。(あのおチビちゃんを使って、知ることができるかもしれんな……あの「館」に隠された、真相を) #ゾンビサバイバル

2012-07-31 23:34:45
秘密結社つたいブックス @Y_Tsutai

という訳で、人間に戻ったゾン子ちゃんの冒険が始まりました。#ゾンビサバイバル

2012-07-30 08:03:22

【Day 1】

秘密結社つたいブックス @Y_Tsutai

今日のゾン子ちゃん:【アクシデント】食糧を入れたバックパックを橋から落としそうになる! 一人では手が届かない! 食糧:-10(【同行者】がいるか、フォロワーの助けを得られるなら-3ですむ) http://t.co/naZUlvro 一日目からドジこいたー!

2012-07-30 07:47:15
空挺基地@ゾンサバ @cielx1

@Y_Tsutai ご迷惑でなければ、バックパックの回収をお手伝いします。

2012-07-30 20:09:03
秘密結社つたいブックス @Y_Tsutai

@cielx1 ありがとうございます! お願いします!

2012-07-30 21:11:32
空挺基地@ゾンサバ @cielx1

@Y_Tsutai 承りました。お役に立てたようで何よりです。

2012-07-30 21:13:25
秘密結社つたいブックス @Y_Tsutai

【一日目】冒険が始まって早々に食糧を落とす粗忽者ゾン子ちゃん。親切な方に拾って頂き事なきを得る。HP:100 食糧:97 所持:なし。

2012-07-31 00:02:35

【Day 2】

秘密結社つたいブックス @Y_Tsutai

今日のゾン子ちゃん:【拠点】広大なショッピングモールの鍵(アイテム扱い。以降【探索】が出るたび、その内容が気に入らなければ「HP:-2 食糧:+1」に結果を変更可能)を発見! 食糧:-3 http://t.co/naZUlvro

2012-07-31 00:04:06
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