ネタメモ

ツイッターで書いた小話もどき
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極犬 @gokudounowanko

《職も、家も、――家族も。全てをなくした俺の前に、半裸の天使が現れた。凶悪な面とは不釣り合いの純白の羽を広げ、暴力の似合う右手に携えた、黒光りする銃口を俺の額に突きつけた天使は、まるで明日の予定を尋ねる様な気軽さで言った。》

2010-04-19 21:39:43
極犬 @gokudounowanko

《「死ぬ?」たった2文字の問いかけに、俺は涙に溺れた顎を辛うじて動かして頷いた。死にたい〔希望〕でもなく、死なせて〔懇願〕でもなく、死ぬ〔決定〕と応えた俺に、天使は煙草が映えるだろう口元をつまらなそうに引き結んで、躊躇いもなく引金を引いた。》

2010-04-19 21:48:38
極犬 @gokudounowanko

《弾丸は額を貫いて頭蓋を貫通し、絶望で埋め尽された頭に風が吹き抜ける。このまま悲しみもなにもかも忘れて、消えてなくなってしまえばいい。世界が闇に閉じる寸前、人生最後に見たのは黒い銃口と天使のしかめっ面だった》

2010-04-19 21:55:05
極犬 @gokudounowanko

《目覚ましを止めて起き上がると枕元に張り紙があって、『それは嘘だと言ってやれ』と書いてあった。誰に何がどう嘘だと言えばいいのかと首を傾げたが、すぐに丸めてゴミ箱に捨てた》

2010-04-15 20:01:05
極犬 @gokudounowanko

《会社でいつものように仕事をこなし、休憩所でコーヒーを飲んでたら同僚の女の子もやってきた。二人で雑談に花を咲かせていると、気づけば話は恋愛相談へ。女の子の彼氏が彼女に吐いた“酷い言葉”についての愚痴を聞かされながら、それは単なる嫉妬から出た失言だなとひとりごちていた》

2010-04-15 20:08:48
極犬 @gokudounowanko

《そしたら彼女に、その彼氏の態度をどう思うか尋ねられた。頬を上気させる女の子を見返し、いつものように曖昧に答えようとしたが、不意に今朝の張り紙の言葉が蘇って、寸の間踏み止まった》

2010-04-15 20:14:44
極犬 @gokudounowanko

《別に自分の所見を正直に話したところで得することはなにもない。でも逆を言えば正直に告げたところで損をすることもない。それなら張り紙の意見を受け入れてやってもいいかと、自分の考えをそのまま話した。則ち、彼が言ったことは実は嘘だ、と》

2010-04-15 20:22:09
極犬 @gokudounowanko

《それを聞いた女の子は目を真ん丸にしてから、鱗でも落ちたかのように瞬いて、半開きになっていた口から感嘆の声を漏らした。そして退社際にその子が駆け寄ってきて、メールで話したら上手く仲直りができたと報告してきた。更に「お礼です」とお菓子まで渡された。》

2010-04-15 20:28:27
極犬 @gokudounowanko

《どこかのコンビニの限定商品だというお菓子を持って帰り道を辿りながら、自分の考えを一つ言っただけでこんなことが起きるのかと感心していた。それならば遠くない内、二人は大喧嘩することになるだろうという考えは言わない方が良いのだろう。》

2010-04-15 20:37:40
極犬 @gokudounowanko

《その時はどんな余波がやって来るのかわかったものじゃないと、小さく身震いをして自宅のドアを開けた。部屋着に着替える途中覗いたゴミ箱には、今朝の張り紙は残っていなかった。どうやらエコ仕様らしい。今時の怪異もエコを考える時代になったのかと、なんだか感慨深い思いになった》

2010-04-15 20:42:09
極犬 @gokudounowanko

《今日は女の子の日だ。生理があるわけでもないのに女の子の日とはこれ如何にってなもんだが、3月3日は未成年の女の子皆が玉の輿を得られるように祈願する悪どい日だと近所のおっちゃんが言っていたから、女の子の日で間違いない。そんな未来の悪女を育む日に、俺は最悪の出会いを果たしたらしい》

2010-03-03 19:03:01
極犬 @gokudounowanko

《下校中の俺の足元に蹲るのはお雛様の男の方。玉の輿を狙われて女に食いものにされている哀れな男だ。そいつは人形サイズそのままで、何故か昔の人らしくさめざめと泣いている。鬱陶しいから踏んでいいか?》

2010-03-03 19:07:29
極犬 @gokudounowanko

《哀れな旦那の話を聞くと、どうやら嫁が行方不明になっちまったらしい。どうせ夫の目を盗んで他の男の所に行ってよろしくしてるんだろと言ったら怒られた。当然のことを言ったまでなのにこの仕打は理不尽だ。同じ男の誼として同情してやった俺の優しさを返してほしい》

2010-03-03 19:13:09
極犬 @gokudounowanko

《腹が減ってきて帰ろうとしたら危うく呪われかけた。見捨てるもなにも、勝手についてきたのはお前じゃないか。今度和人形を見たら目に五寸釘を刺してやろう。そうして強制的に旦那に連れ回された俺は、ディスコでフィーバーしている嫁さんを見つけた。髪は金色だった》

2010-03-03 19:21:37
極犬 @gokudounowanko

《結局の所嫁さんの髪は鬘だったわけだが、12単の下は本物のナイスバディだった。ミニスカから覗く生足は人間サイズじゃないのが悔やまれるほどすらりとして、それを弄んだであろう旦那に殺意が芽生えた。しかし俺の醜い嫉妬心はそっちのけで、旦那と嫁はベタな昼ドラを繰り広げている。腹減った》

2010-03-03 19:32:23
極犬 @gokudounowanko

《漸く家に帰り着いたのは撮り溜めてるドラマが始まる時間だった。昼ドラ夫婦はなんだかんだで和解して、夫婦仲良く帰っていった。幸い帰り道に和人形がなかったから良かったものの、もし見つけていたら首をねじ切って壁に千回くらい打ち付けていただろう。器物破損の罪に問われなくてよかった》

2010-03-03 19:44:38
極犬 @gokudounowanko

《俺はしがない村人Aだ。名前はない。なんでないかって?人に聞く前にまず自分で考えたらどうだ。あ?考えてもわからない?相手がそういうことを言う時は答えたくない時だってわかんねぇのかアホかボケ。お前らみたいに固有の名前に恵まれた人間ばっかりだと思ったら間違いなんだよクソが死ね。→

2010-03-02 23:10:01
極犬 @gokudounowanko

→それでだ、俺は村人Aとして日々村人らしく清く正しく生きていた。なんだ、俺の正義にでも文句あんのか馬鹿かお前、人が生きてるだけ世の中には数多くの正義が存在するんだよ、そんなこともわかんねぇなら両足をへし折ってピラニアの海に飛び込んで死ね。→

2010-03-02 23:50:57
極犬 @gokudounowanko

→つまり生まれたときから村人として生活してきた俺にとって、片時も離れずに大事に大事に耕して作物を育ててきた畑ってのは命と同じくらい、否それ以上に大切な娘みたいなものなんだ。→

2010-03-02 23:55:00
極犬 @gokudounowanko

→その娘みたいに可愛らしい畑をだなあ、戦争だかなんだか知らねぇが横から魔法でずたずたにしやがってテメェらいっぺん地獄に落として死ぬより辛い目に遭わせてやろうか、あぁんっ!?聞いてんのかオイっ、勇者様に魔王様よぉおおおっ!!!!→

2010-03-02 23:57:43
極犬 @gokudounowanko

→テッメェらみてぇなクソがどこで何しようと知ったこっちゃねぇがなあ、俺の村の近くでドンパチなんぞおっ始めやがって、挙げ句の果てには流れ弾で畑粉砕だとぉおおっ!?しかも戦争中だから謝罪もなしたあどういう了見だ!勇者の癖に畑の一つも守れねぇでなにが世界に平和をだ!→

2010-03-03 00:07:50
極犬 @gokudounowanko

→そんな奴に救われるなんざなあ、世界のほうが迷惑だっつうんだよ!もう今すぐ勇者辞めて路頭で迷い死ね!そして二度と勇者なんて名乗んじゃねえ、クズ野郎が!!→

2010-03-03 00:23:47
極犬 @gokudounowanko

→お前も話聞いてんのか魔王。世界征服が夢かなんか知らねぇけどな、道端の蟻に注意も払えないような奴がなあ、そんなもん成功させたところですぐに誰かに足元掬われるっつうの!→

2010-03-03 00:25:46
極犬 @gokudounowanko

→前もちゃんと見えていないような奴が世界を牛耳ろうなんざちゃんちゃらおかしいぜ、おかしいだろ?わかったらとっととそこの竜に火山の火口に落としてもらって爛れ死ね!→

2010-03-03 00:29:28
極犬 @gokudounowanko

→いいかお前ら、これに懲りたら二度と俺の村の側で喧嘩すんじゃねぇぞ。次何かしやがったら、テメェらの国両方潰して更地にすんぞ。あ゛あっ?言っただろ、俺はしがない村人だって。王様なんざ勝手に野垂れ死にゃいいんだよ、豚の餌にもならねぇ役立たずの癖してでかい面してんじゃねぇ。→

2010-03-03 00:39:32