毎年8月辺りは『ツイノベ祭』　2012/08/15お題「お盆」

layback @laybacks

僕はゴーストライター。恋文の代筆屋。成功率100%だったから繁盛していた。ところがいざ自分の恋心となると上手く伝えられず、失恋した僕は自ら死を選んだ。今でも僕の墓前には依頼者がやってくる。彼女は墓参りにも来ないのに。嘆いていたら彼女が現れた。「代筆してほしいの」 #twnovel

☯️青山藍明&トトちゃんとラブちゃんとリズさん @rangming

枕元で「ひとりにしてゴメン」なんて謝らないで。わたしね、あなたとの時間が心に残っているからいつも笑っていられたわ。悲しい争いが終わっても、ずっとわたしはあなたのものでいたかったの。お盆と彼岸が、わたしたちの逢い引きね。愛しています。ずっと、ずっと。 #twnovel

miecha @miechorz

#twnovel ぐうたら好きの男が死んだ。天国でゆっくり眠れと参列者は涙したが、彼はそんなことは望まず、埋葬された墓の中で相変わらずうとうとし続けてた。「君は天国に行かないのかい？」隣の新人が声をかける。「体が無くなったら眠ることが出来なくなっちゃう。だから僕はここに居るよ」

かなりひこくま @kanarihikokuma

父は裸が好きな人だった。無理してこの家を買ったのも、家庭では裸族として過したいという一念からだった、と聞く。それでお盆がくるたび思うのだが。全裸の霊もいるんじゃないかなあ。　 #twnovel

ジュン @jun50r

街を毎日掃除していた老人が亡くなった。「あのお爺さん」その日から、街にはゴミが落ちるようになった。「今までこんなに大変な事を？」人々は老人の姿を思い出し、街のゴミを拾い始めた。「感謝しなければ」　今、この街で一番綺麗な場所は、老人の墓だった。 #twnovel

ろばたにスエノ🦀 @robatani

夏なので、殿がまた馬に乗って戻ってきた。相変わらずの古雅な発音で、今年も我ら子孫を叱りにきた。嫁を怒らせた浮気者の叔父が殿に開幕早々捕獲された。寡黙な武将だと一般的には思われているが、実際はお説教親父である。いつも以上に語っている。昔々、殿は正室に刺されて死んだ。#twnovel

miecha @miechorz

#twnovel 「トンボ捕まえたことあるか？」「あるよ」なんとなく息子に訊ねたら、アプリを立ち上げてあるスマホを渡された。指先一本で画面内のトンボを捕まえるらしい。ゲームとしては面白いが、トンボを捕まえたとは－－「今年の盆は田舎に行こう」群れて舞うトンボを見せてやりたくなった。

あっぷるピエロ @apple_dop

「泣いているのか？」「馬鹿いえ、僕が泣くものか」彼女はそういっておれに背中を向ける。男物の服もその口調も、彼女を守る矛で盾だ。おれの墓の前で、おれしかいないのに、彼女は泣こうとしない。幽霊でありながら、おれはそれを愛しく思う。#twnovel

かれきハナサカ/てごね#6971 @873k

#twnovel 君が死んで、もう三億年が経ったね。私はあのあと転生を繰り返して、そのたびに君との思い出が薄くなっていくけど、この場所はまだ忘れてないみたい。「ママぁ、ここどこー？」目をこする我が子を抱き直し、岩壁を見上げる。「ママの、大事な人のお墓」化石になっても、心は君に。

キヨシロウ @kiyoshiro_aoi

#twnovel お盆休みで実家に帰った俺は学生時代の彼女と偶然逢った。旦那の浮気が原因で最近離婚した彼女はなんだかとても頼りなさそうに見えたので彼女に付き合って一日中街を歩き回った。すっかり酔った彼女を家に送って立ち去ろうとすると背中に彼女の靴が投げつけられた。「馬鹿ぁーっ！」

いでゆのまち @ideimachi

#twnovel 孫に会いたい、と頼まれた。昔、本屋で買ったおばあちゃんの霊本。料理のコツ、掃除の裏技…彼を射止められたのは、丁寧に教えてくれた知恵のおかげ。お孫さんも故人で、お墓を訪ねてみる。（有難う）笑顔で墓碑に消えるおばあちゃん。本は文字だけになったけど、いまも私の虎の巻。

黒目ソイソース @ghostsoysauce

ゆったり涼しいルームウェアを着た薔薇は畳の上に寝転がった。エアコンはドライ２７度だが、スイカとカルピスと扇風機があれば充分涼しい。更に風鈴まで澄んだ音色を奏でているから死角はない。…風鈴は昨日、猫が猫パンチで割ったのだが。お盆だし風鈴の幽霊でいいやと寝返りを打つ。#twnovel

せら@hs @hswelt

寝静まるマンションの廊下に、点々と飴玉が転がっている。またか。息をついて踏み出した。途中、小さな女の子が屈んでこちらを見ていたが、見ないふりをして、でも不自然に飴玉を避けて歩いた。指でなぞられた、誰かのご遺体を示す白いチョーク線も避ける。お盆中に、線香を買おう。 #twnovel

falsewhere @nowherenotime

#twnovel 墓場から歩いておいで。尊厳も忘れずに持っておいで。時の鐘を大きく鳴らしながら、凱旋将軍のように行進しておいで。きみのために花束で出迎えよう。だからぼくのためにコーヒーを淹れておくれ。夏だよ、待ってたよ、この国に来たのも、お盆という習慣のためだよ、きみに会うため。

ちゃちゃ @chacha_n

足元に転がった蝉の死骸。強烈な夏の光の中で浮かび上がる死の入り口。身体の水分を全て吸い尽くされてしまう感覚に怯えている「ここには戻れないのかな？」柔らかな夜の闇の薄布に包まれて初めて口にできた言葉「この光が導いてくれるよ」ゆらめいている提灯の光だけが帰り道の目印 #twnovel

ガラクタ★ぽんこつ丸 @shun_kitashiro

ガキの頃ミニカーが大好きだった俺に「東大に入ったら外車買ってやるぞ」それが祖父の口癖だった。高校１年の時、祖父は死んだ。約束守らないクソジジイだと思った。10年後東大病院の医者になった俺はBMWを買った。今日は祖父の命日。久しぶりに帰省して墓参りに行くか。 #twnovel

miecha @miechorz

#twnovel 電車のドアは無情にも眼前で閉まる。汗だくの額を拭い、次の電車を確認しようと横を向いたその時、スーツの男が閉じたドアをすり抜け車内に駆け込んだ。流れる電車に目を凝らせば彼の体は半透明。死んでも企業戦士なのか？でもそろそろ気付いて成仏しないとお盆に間に合わないぞ。

七歩 @naholograph

淋しいと、思ったんだ。滅びた世界にかえる魂は、淋しいかなって。だからせめて、一緒にかえることにしたの。#twnovel　死んだ花火はお盆にかえる。命の絶えたこの世界へ。闇夜に乱れて咲く花は、この世のものとはとても思えぬ美しさ。誰もいないこの世界で、この日だけ咲く満天の花々。

浅葉積木 @tsumiki_a

#twnovel 帰省した実家。閉めた窓を隔ててセミの声がほどよく聞こえている。昼寝をしようとしたが、なんか違う。少し考えてエアコンの無い部屋へ移って窓を開けた。暑さとセミの声、大増量。畳の上にごろんと転がる。わはは。暑い。やがて汗をうかべながら、夏の昼寝の国へと漂ってゆく。

ゆずりは @yuzuliha30

もう立秋は過ぎたのに、夏真っ盛りの空で太陽が楽しそうに照っている。夏が好きな君は軽くステップを踏みながら、今月の予定を話す。明日はお祭り、来週はカラオケ、その次は海へ行って、最後はまたプールに行くんだからね。太陽を背にした君の笑顔はとても眩しかった。 #twnovel

なつ @n_xxxx

#twnovel 汗をかいて気持ち悪いはずなのに、その手を離せなかったことを思い出す。けれどその次の夏は繋げなかった。もう何年も経って顔さえおぼろげになりつつあるのに、あの体温だけは一生忘れられる気がしない。数年ぶりの帰省に、記憶が色濃く浮かび上がった。