異能鳩羽と異端戦争

しばとに🎻 @sbt2___

------ 出向いた先からは、子供の声しか聞こえなかった。託児所と見まがうほどにたくさんの小さな子供たちがそれぞれ思い思いにボロ屋を走り回り、時折青年らしき声音がそれを一喝する。どういうことだ。示された場所は此処で間違いないのだが…。物陰に身を潜めていると、暴れていた子供が

しばとに🎻 @sbt2___

鉄筋に腕を捕られて転んでしまった。ばっくりと裂けた腕の傷から、とめどなく血が溢れ出している。通りすがりを装い、飛び出そうとしたその時である。「ちーちゃんはやく！みぃがけがした！はやく！こっち！」「…はいはいわかったわかっ…て、ちょ、おまっ！何その怪我！」

しばとに🎻 @sbt2___

子どもに手を引かれて角から出て来たのは、いつか見た懐かしい色。亜麻色の髪をした長身の男だった。子どもたち同様に使い古しのシャツを着た彼は、すぐに泣き叫ぶ子どもの傍へ駆け寄ってオロオロと動揺している。慣れていないのだろう、あんな大怪我の処置など。「ちーちゃんはやく！」「はやく！」

しばとに🎻 @sbt2___

むしろ子どもたちの方が落ち着いて何事か捲し立てている。こんなボロ屋に良い衛生の物があるとは思えない。…男はべっとりと血を噴き続けるその傷口に何かしらの仕草をしてみせていた。「ちーちゃんはやくあれやって！」　　…"あれ"？　「お前らなァ、俺いまシューチューしてんの、黙ってなさい」

しばとに🎻 @sbt2___

「みぃ、俺の方見てて。だいじょーぶだいじょーぶ、痛くないよ」「ちーちゃん、」ぼたぼたと地面に垂れる血液が、止まる。「いたいのいたいのとんでいけー」そのセリフに、泣いていた子供が彼の方を見上げ、そして自分の腕を見、笑った。「なおったー！」「よォし良い子だ！」　　　――なおった…？

しばとに🎻 @sbt2___

「あのさァ、俺いっつも言ってるよねェ？あっちには行くなって言ってるよねェ？お前ら、ちーちゃんとの約束守れねーの？いい加減怒るよ？メッするぞ？」小さな子供たちを整列させ、腰に手を当てた男が声を上げる。しゅんとしおれた子供たちが口々に謝っている。成程、彼が"治癒の異能者"なのだろう。

しばとに🎻 @sbt2___

だがここは明らかに過激派のグループではないし、ましてやテロリストの潜伏先でも無い。ちーちゃん、と子供から呼ばれた彼に、更に年上の男たちが声を掛けている姿を何度も目撃したが、どう考えても、彼らはここで普通に暮らす異能者だった。保守派、いや、…追い立てられた中立派なのかもしれない。

異能鳩羽 @hato_ba_ss

異能中邨さんの殲滅戦の頃もう異能鳩羽は異捜に所属してるけど、この件知ってんのかな。裏のお仕事の心構えとかを中邨さんに仕込んでもらってて、別任務で動いてるとかだろうか。

しばとに🎻 @sbt2___

@hato_ba_ss 中邨のなかでは永劫封印しておきたいものなのかなーとぼんやり。蹂躙戦自体は表向き「過激派の蹂躙」という報告が出ていて、これを切っ掛けに昇進したとかだったら、私は鬱で幸せ…！純粋な目で、声で、昇進おめでとうございます！って言われる中邨とか…

異能鳩羽 @hato_ba_ss

@heretic392 なんという鬱。飲み込む焼けた鉄だね…。後日記録で知って「随分激しいものだったんだな…こっちの生存者は中邨さんだけか」って普通に読み進めそう。これだけの功績ならそりゃ昇進もするわ、って嘆息。中邨さんが快楽殺人者じゃなくてよかった。って安心する鳩羽なんです？

異能鳩羽 @hato_ba_ss

一巡さんとこに中邨さんと深國が戦闘開始する前くらいに鳩羽が呼ばれて真実ひけらかされて圧死させちゃ駄目なのかなと一巡に中邨さんがアレされてるのTLで見る度に思ってたなんて #内緒