シャロ鳥ジョン鳥のほのぼの羽毛ライフ

瀬尾はやみ @hayamiseo

シャロ鳥「芋虫は嫌だ」ジョン鳥「嫌なら自分で取りに行けよ。まだ木の実があったと思うけど」シャロ鳥「芽が出たので埋めた。樹木になれば新居になる」ジョン鳥「それまでに僕ら死んじゃうだろ」シャロ鳥「僕らの雛が住む樹になるかもしれない」ジョン鳥「……君メスだったっけ？」シャロ鳥「いいや」

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シャロ鳥「太ったな」ジョン鳥「冬に向けて羽毛を膨らましただけだ。君は細いままだな」シャロ鳥「飛行の妨げになるくらいならこの程度の寒さは我慢する」ジョン鳥「嘘つけ、鳥肌たってるぞ。仕方ないなあ（寄り添う）」シャロ鳥「……ふわふわしてるな」ジョン鳥「君の羽は相変わらずツヤツヤだねえ」

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ジョン鳥「ただいま」シャロ鳥「今度の相手はミサゴかそれも君ほどではないにしろ狩りの名手だしかし魚ばかり君に食わせているなそれ以上太らせたくないんだろう君の体型まで管理しようとするなんて傲慢なやつめ」ジョン鳥「トカゲを取るのも上手だよ。一匹もらったけど、食べる？」シャロ鳥「頂こう」

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ある日、ジョンが巣に戻るとちいさな卵が。ジョン鳥「……これは？」シャロ鳥「産んだ」ジョン鳥「誰が」シャロ鳥「僕が」ジョン鳥「君の性別は」シャロ鳥「オスだ」ジョン鳥「おい」シャロ鳥「……」ジョン鳥「おい！　いいから早くあっためろよ！！」　ほのぼの抱卵ライフ、はじめました。

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ジョン鳥「ただいま」シャロ鳥「ジョン！　卵が大変だ」ジョン鳥「落とした！？　割れたのか！？　まさかカラスに持っていｋ」シャロ鳥「落ち着け。動いたんだ、卵が」ジョン鳥「……」シャロ鳥「抱卵を交代してくれ」ジョン鳥「……」シャロ鳥「交代してくれ。どうして僕にくっつくんだ。ジョン？」

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巣に戻ったら見知らぬ大柄な鳥が、ネズミを咥えてシャーロックに話しかけていた。「あんなチビじゃ、雛が生まれても満足に養えないだろ。俺なら君も雛もたらふく食わせられる。俺とつがいになれよ、それに俺はあんたみたいな黒いべっぴんが大好ｋ」とりあえず目を突いて羽を何枚かむしって追い返した。

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シャロ鳥「……いま、君のしたことは、すごい」ジョン鳥「君だって。あんなデカいやつに迫られて怖かったろうに、逃げずに卵を守りきった」シャロ鳥「別に。そろそろ君が帰る頃だと思って」ジョン鳥「信じて待っててくれたんだな」シャロ鳥「……」　今度はあれよりデカいネズミ取ってきてやるからな。

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シャロ鳥「素嚢乳を知っているか」ジョン鳥「もちろん。ハトなんかが出すやつだろ？　それがあるからオスでも授乳できるんだよな」シャロ鳥「……」ジョン鳥「……君、まさか」シャロ鳥「……」ジョン鳥「出せるのか！？」シャロ鳥「僕はハトじゃないのに！」ジョン鳥「オスなのに産んどいて今更！？」

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シャロ鳥「～♪」ジョン鳥「珍しいな、君がさえずるなんて」シャロ鳥「そうか？」ジョン鳥「卵が産まれてから丸くなったというか」シャロ鳥「そうだろうか」ジョン鳥「そうだよ」マイクロフ鳥「やあ弟よ、産卵祝いを渡しに来たぞ」シャロ鳥「～♪」マイクロフ鳥「警戒音を出すのはやめなさい」

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シャロ鳥「ダイエットは順調か」マイクロフ鳥「もちろん。ここまで飛んできたんだぞ私は」シャロ鳥「そのうち翼がもげるな」ジョン鳥「こら」マイクロフ鳥「そういうお前は細すぎやしないか」シャロ鳥「くちばしで触れるな！　羽毛を掻き分けるな！」ジョン鳥（さりげなく羽繕いしてあげてる……）

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ジョン鳥「カラスってすごいよなあ。道路にクルミを置いて、車に轢かせて殻を割るんだって」シャロ鳥「ふん。その程度の知恵……」ジョン鳥「クルミの殻ぐらいくちばしで割れるのになあ」シャロ鳥「……」ジョン鳥「なんだよシャーロック、変な顔して」

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ジョン鳥「魚の骨？」シャロ鳥「君と付き合っていたミサゴにもらった。美味かったよ」ジョン鳥「ふーん」 ～数日後～ シ「ジョン、魚は飽きたしわざわざ海まで狩りにいかなk」ジ「君が美味そうに食べてたもんだから！ 悪かったね！」シ「なぜ怒る」ジ「怒ってない」シ「妬くな」ジ「妬いてない！」

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ウィキ先生曰く「本物のオシドリは、冬ごとに毎年必ずパートナーをかえる。オシドリに限らずカモ科鳥類は、すべて、必ず毎年パートナーをかえ同じオスと二年以上過ごすことは絶対ない」「育雛も夫婦で協力することはない」。少なくともシャロ鳥ジョン鳥はカモ科ではない様子。

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ジョン鳥「狩ってくるよ」シャロ鳥「僕が行く」ジョン鳥「……珍しいな」シャロ鳥「そろそろ飛ばないと羽が腐りそうだ」ジョン鳥「そりゃ大変だ。行っておいで」　ジョン鳥（だめだ、だめだ。いっそ翼を落としてやりたいなんて、ずっと巣に閉じ込めておきたいなんて考えちゃだめだ、だめだ、だめだ）

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ジョン鳥「僕はねえ、力強く羽ばたいてる君もお、羽をつくろってる君もお、獲物を見据えてる君もお、巣でうとうとしながら卵を温めてる君もお、ぜんぶ好きなんだよおぜんぶぜんぶう」シャロ鳥「酒臭い……君ともあろう者が人間のゴミを漁るとはな」ジョン鳥「きーてんのかしゃーろっくう（つんつん）」

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ジョン鳥「はい、お土産」シャロ鳥「南天？　いつから君は僕を毒殺するつもりでいたんだ」ジョン鳥「冗談でも言うなそんなこと。……花言葉を知らないの？」シャロ鳥「僕のハードディスｋ」ジョン鳥「あーはいはいわかったよ！　いいから飾っといて！」　南天の花言葉：私の愛は増すばかり、良い家庭