白鳥の湖の王子とオデットは笑わずに踊る

「白鳥の湖」の王子とオデットのグラン・アダージォ(パ・ド・ドゥ)の象徴的意味合いとか
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碓井央 @usuiou

チャイコフスキー三大バレエの中では白鳥の湖は作曲は最初(1876年)だけど、作品としてまともに世に出た(プティパ=イワノフ版が出た)のは最後(1895年)なんだよね でも結果として最も有名な作品になった 改訂版が多数あるけど、王子とオデットが出会う二幕はほとんど変化してない

2012-11-28 13:36:26
碓井央 @usuiou

二幕はつまりある種の聖域 最終幕の結末部分なんかいろいろ変えられてるけど、そこは作品的にはたいして重要じゃない 二幕だけでひとつの作品としても成立してるしね 王子とオデットが悪魔に引き離されて王子が永遠の愛を誓うという幕引き部分はそのまま全体の結末と象徴レベルで重なり合ってるから

2012-11-28 13:39:01
碓井央 @usuiou

もっと言うと二幕の王子とオデットのグラン・アダージォ(パ・ド・ドゥ)が作品の核心 四幕にもグラン・アダージォはあるけど、あれは王子が裏切った後の踊りなので、感情移入しにくいしね

2012-11-28 13:41:17
碓井央 @usuiou

三幕の花嫁選びはスペクタクル的なシーンが大半でストーリーの象徴レベルと重なりあう部分はほとんどない 黒鳥とのグラン・パ・ド・ドゥもめっちゃ雰囲気が明るいからね ストーリー的には王子の浮気シーンなんだけどそういうのあんまり関係ないって感じ

2012-11-28 13:42:18
碓井央 @usuiou

思うにプティパの作品が「眠れる森の美女」「くるみ割り」まできて認知を得たクラシック・チュチュが、ロマンティック・バレエの血を引く「白鳥の湖」に導入されたというのがひとつのエポックなんだろうね

2012-11-28 13:45:33
碓井央 @usuiou

「白鳥の湖」の設定ってそれまでのプティパ作品と全然毛色が違うから、「速く激しい踊りを可能にする」クラシック・チュチュは二幕の陰鬱でエロい感じのシーンでは全然別の方面に効果を発揮した 結果として二幕のグラン・アダージォはああいう「王子とオデットの情交シーン」になった

2012-11-28 13:48:03
碓井央 @usuiou

王子とオデットの踊りには「笑顔」ってないでしょう これは他のプティパ作品のパ・ド・ドゥとは明確な差異だよね ふたりとも悲痛な顔をしてる それが情交そのものを連想させる

2012-11-28 13:49:10
碓井央 @usuiou

セックスは基本的に「性的差異の解消・融合→個体としての死」だからハッピーさという意味での楽しいこととはちょっと違う 肉体の生理的な快感を共有してはいても、不安と恐怖がその下に重なり合っているから

2012-11-28 13:50:38
碓井央 @usuiou

死ぬしか結ばれる方法がないジークフリート王子とオデットの悲痛なパ・ド・ドゥはそういう意味でまさにセックスのエッセンスと重なりあう そして「白鳥の乙女」の純白のクラシック・チュチュのエロさが視覚的インパクトを増幅した

2012-11-28 13:52:25
碓井央 @usuiou

この生と死のエロティシズムの枠組みに寄り添った白鳥の湖のグラン・アダージォはひとつの完成形なので生半可な方策では「超え」るのは大変だろう まずはセックスと重なりあったパ・ド・ドゥがもつ芳醇さ、美しさを素直に受けとめないとね

2012-11-28 13:55:11