そう、たとえばね、なしちゃんにとってのあみちゃんがとてもたっといものだとして、愛しくて大切で眩しくて手なんか伸ばせなかったとして、いとおしいのも欲しいのも恋しいのも全部あみちゃんだけど、でもそれと同じぐらい触れられなかったとして、そうしたらその手は、触れ得ることの出来るヤオさんに
2012-12-07 07:29:39なしちゃんにとってのあみちゃんがヤオさんと同じフィールドに降りてきてくれないことには、最初からその取捨選択は成立していなくて、だから結局無効。
2012-12-07 07:31:32あるいは、取捨選択の結果なのだとしたら、それは望ましい結果ではないので、やっぱり無効。欲しくて欲しがられるのと、手が届くから欲しがられるのでは、意味も重みも違うから。
2012-12-07 07:32:30なんかさ、あみちゃんに背中預けて寄りかかりながら、腹に手ぇ回されて抱きしめられた状態で、両手伸ばしておいでってヤオさん呼んでるのがなしちゃんのイメージ。明るくて屈託ない顔で。
2012-12-07 07:38:27そうした時の選択権はたぶんヤオさんにもあって、二人は二人であるとしてその場に立ち尽くすこともできるし、一歩近づいてしまえばなしちゃんを抱きしめることもできる。呼ばれて抱きしめたなしちゃんは、確かにヤオさんだけのものにはならないし、あみちゃんは嫉妬の炎をくゆらせるでしょうけれど、
2012-12-07 07:40:32だけどそれはそれな気もする。ヤオさんが踏み込めないと神聖視するあみなしちゃんの世界があるように、やっぱりあみちゃんが妨害しきれないヤオなしちゃんの世界もあると信じていたい。
2012-12-07 07:41:16あれだよね、これだけのことを思考するに足るだけの世界観を提示されてしまったら、あとはもう大人しく呑みこまれる他にない。
2012-12-07 07:43:56ヤオさんの幸せを心からお祈りしますので、でもあみなしちゃんはあみなしちゃんですので、もうなしちゃん二人になろうよ……。増えればいいよ、分裂しようよ。そんでおもいっきり二人に愛でてもらったらいい。
2012-12-07 07:45:21あとはあれだわ、なしちゃんは3歩先にいる。前をゆっくり歩いてる。突き放すわけでも待ってるわけでもない、なしちゃんの一番楽な速度で、二人の前を歩いている。日の光がキラキラ透けて、綺麗だな愛しいなって思いながら、あみちゃんとヤオさんは後ろを歩く。振り返ればいいのにって願いながら、
2012-12-07 15:36:10でも振り返るなって祈りながら。なしちゃんが振り返るってことは、どっちかを選ぶことに等しくて、だから、そうならないように、ずっと前だけを向いていてって。そうすれば、3人の手はそれぞれに空っぽなままだけれど、3人は3人としてあり続けることができるから、そんな狡くて痛い甘えを、
2012-12-07 15:37:08なしちゃんに託してしまえばいい。託されたなしちゃんは、じゃあオレの手はどうすればいいのって。2本あるオレの手で、2人と手をつなぐことは許されないのって。前を一人でいくんじゃなくて、憧憬と愛情をこめて見つめられるだけじゃなくて、並び合って歩くことは許されないのって。
2012-12-07 15:38:14思いながら、2人が今のままを願うなら、オレはそれに従うよって、曖昧で哀しい優しさを示して、ずっとずっと前を見る。キラキラする光がまぶしくて、でも本当はそんなものより、大好きな二人を見ていたいけど、駄目っていうなら我慢するよって、お日様の中を歩いてる。
2012-12-07 15:39:10翔さんのを見てなるほど、と思いつつ多分このままじゃ何も変わらないって気付いたヤオが数歩後ろへ下がるんだ。ゆっくりゆっくり後ろへ下がって気付かれないように気を付けて。二人を光の中へ残すんだ。なしたんもあみちゃんも気付いてて、気付かないフリをするんだ。そうして、世界は完成する。
2012-12-07 15:40:59どうしよう、かぐやさんに物語を完結させられてしまった。エンドマークがついてしまう。そうしたらもう、箱庭は崩れて夜がくるよ。朝がくるよ。そうやって、回り始めてしまうよ。
2012-12-07 15:42:50うわん私の中の物語がそので簡潔しちゃっただけなのですよ。だってヤオはそのままをよしとしないと思うから。きっと彼は、笑って身を引いて、影に隠れて泣くだろうから。どうかどうか二人に幸いをと願うだろうから
2012-12-07 15:44:35