茂木健一郎氏 @kenichiromogi 【アホの坂田は、アホなのか?】連続ツイート

2012.12/19 茂木健一郎氏:連続ツイート第809回 【アホの坂田は、アホなのか?】 …私は、「アホの坂田」と言われる坂田利夫さんの芸が大好きで、「あ~りが~とさ~ん」とか、よく子どもの頃からマネしていた。子どもの頃は、坂田利夫さんというのはそのままのキャラクターなんだろうと思っていたけれども、ある時、「そんなわけないじゃん!」と気づいた…
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茂木健一郎 @kenichiromogi

連続ツイート第809回をお送りします。。文章は、その場で即興で書いています。本日は、分析系、ありがとう系ツイート!

2012-12-19 07:53:52
茂木健一郎 @kenichiromogi

ああ(1)昨日の朝、朝日新聞を読んでいたら、西川のりおさんが橋下徹さん、維新の会を評した文章があった。http://t.co/PUX76Pe7 橋下さんと石原さんの関係や、今回の選挙での維新の闘いぶり、そして自民党との関係について、するどい批評精神でつづられていて、面白かった。

2012-12-19 07:55:45
茂木健一郎 @kenichiromogi

ああ(2)西川のりおさんといえば、フジテレビ『オレたちひょうきん族』が全盛だった頃、テレビでよく見ていた。大声をあげて、少しおおぶりな仕草で爆笑をさそっていた。「ツッタカ坊や」のように、暴走して、誰にも止められなくなるその芸風が、私はとても好きだった。

2012-12-19 07:59:02
茂木健一郎 @kenichiromogi

ああ(3)笑いは、もともと、不安や恐怖の感情と深く結びついている。「くすぐり」(tickling)は、笑いを誘う。子どもの頃、誰かにくすぐられて、ひえええと苦しくて、それでも笑っていた経験は誰にでもあるだろう。自分の身体を触られることは潜在的には危険で、くすぐりはその近くにある。

2012-12-19 08:00:41
茂木健一郎 @kenichiromogi

ああ(4)笑いの進化的起源を説明する一つの説として、「偽の警告」(false alarm)がある。敵や危険が迫ってきたと、仲間に伝える警告が、間違いであった時に、仲間たちを安心させるために、笑いが生まれたのではないかと考えられている。そういえば、笑いは不安と隣り合わせだ。

2012-12-19 08:02:11
茂木健一郎 @kenichiromogi

ああ(5)だから、笑いは、本当は社会の不安や恐怖に対する、批判的精神に満ちている。ただ、それを、いちいち説明したり、言い訳したりしないだけだ。西川のりおさんがひょうきん族で暴走していた頃の芸を見ていたら、今度の朝日新聞上の批評をするような賢い人だと思わないだろう。それでいい。

2012-12-19 08:03:38
茂木健一郎 @kenichiromogi

ああ(6)私は、「アホの坂田」と言われる坂田利夫さんの芸が大好きで、「あ~りが~とさ~ん」とか、よく子どもの頃からマネしていた。子どもの頃は、坂田利夫さんというのはそのままのキャラクターなんだろうと思っていたけれども、ある時、「そんなわけないじゃん!」と気づいた。

2012-12-19 08:06:30
茂木健一郎 @kenichiromogi

ああ(7)お笑い芸人のひとは、人を気持ちよく笑わせて、幸せな気分にさせるけれども、本当はどういう人たちか、ということは普段は考えなくてよいことになっている。だけど、よくよく考えてみれば、時代の気分を掴み、苦しいことを忘れさせてくれる人たちが、賢くないはずがない。

2012-12-19 08:07:43
茂木健一郎 @kenichiromogi

ああ(8)「アホの坂田は、アホなのか?」この質問こそが、世間に満ちている愛に至る道だろう。世間には、「アホの坂田」のふりをしているけれども、本当はアホでもなんでもない人たちがいる。その人たちの愛は、あふれんばかりの愛である。小賢しいひとたちは、人々を幸せにしない。

2012-12-19 08:08:53
茂木健一郎 @kenichiromogi

ああ(9)だから、「あいつはアホだ」「くだらないなあ」とバカにされるのは、一つの勲章ですらあるのだろう。時代が不確実にみち、不安や恐怖がつい支配しがちな今日この頃だからこそ、アホだといわれることが勲章であるという虚仮の一念で、世間に幸せを届ける人たちに幸いあれ。

2012-12-19 08:10:25
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、連続ツイート第809回「アホの坂田は、アホなのか?」でした。

2012-12-19 08:10:47