NP同題SSまとめ

@shudo_hanbaiki

アリスはシロウサギを追いかけて不思議の国へ。僕らはなにを追いかける？ほら、携帯を開けば。ちょっと可笑しくて、怖くて、切なくて、騒がしい――優しい悪夢の世界へ。行こう、僕らの《悪夢》#同題ssNP

@shudo_hanbaiki

思い出をひとつずつ詰めていく。箱の中へ、作業的に、大切に。 思い出される記憶はどれも鮮やかに色褪せて、しばし雫を溢れさせた。――おかあさん、大好きだったよ。しずかな独白と、涙をひと滴。箱に詰めて、少女は明日へと歩き出す。《片付ける》#同題ssNP

よも🍀 @yomo_tama

「春じゃのう兄弟」 「そうさなあ兄弟」 「これを機にさっぱりしたいとは思わんか兄弟」 「ぬう、さっぱりと言っても我らは元々頭髪など無いあんぱんだが？」 「なんの兄弟、その中身の粒を綺麗に漉すということだ」 「ぬ？！貴様言わせておけば！」 「「戦だ！！」」≪散髪≫#同題ssNP

よも🍀 @yomo_tama

「毎度言わせて貰うけど、僕は別段変わってないし真っ当ないち社会人だから。そもそも妙な地元銘菓を何の疑いもなく、味見もしないで薦めてくるお前のほうが、ずっと変わりも…え、食べてる？……やっぱり変わり者はお前だよ、萩間。うん、否定してもそこはもう譲れない」《変わり者》#同題ssNP

みゆ @cheshire_0319

何度も時計を見る。時間は間違っていないのに、どうして来ないのだろうか… 「すまん！途中で美味しそうなクレープ見つけて買っていたんだ！」 連絡ぐらいしろよ、と言いたかったが、こぼれんばかりの笑みを見ると何も言えなくなってしまった <待つ> #同題ssNP

@shudo_hanbaiki

僕は待っていた。 きみに呼ばれるこの時を。 君自身を守るために開かれた扉は、今、君を見送るために再び開かれる。これが最期になろうとも、僕は最後まで導いてみせるよ。――さあ、アリス。真実を追いかけよう。≪待つ≫#同題ssNP

よも🍀 @yomo_tama

――少女は夢を見る。父の膝上でうたた寝に聞いた、不思議の国の物語を。 少しだけ物語と違うのは、皆、無理難題を提言せず、自分が誰にも愛されていた。 そう、皆。アリスの味方。 叩かれて赤く腫れた頬を涙の跡で濡らしながら、暗い部屋で一人、亜莉子はまた夢を見る。《夢みる》#同題ssNP

@shudo_hanbaiki

「わたしね、おおきくなったら女王さまみたいになりたいな」 アリスが屈託なく笑う。頬に涙のあとを残したままで。 ――大空をはばたく鳥の羽も、どこへでも行ける猫の気ままさも要らないわ。あなたが夢みた私だから、わたくしは可憐な女王であり続けましょう。《夢みる》#同題ssNP

シルヴァラ @silverline_BB

アリスの膝の上で眠ると、とてもいい匂いがして、暖かくて、やかましく何かを叫ぶ友人の声も心地よい子守唄に聞こえて……。夢の中の僕も、やっぱり眠っていて、みんなでお茶会をしていて、夢も現もあまり変わらないから、きっと僕は幸せなんだなあって思うんだ。《夢みる》#同題ssNP

シルヴァラ @silverline_BB

「アーウィンってパン作るの上手よね。パン屋になれるんじゃない？」 確かに、パンも土も捏ねるのは似たようなものだ。以前、ナタリーから冗談めかして言われたのだが……。 暇潰しに始めたパン屋【セブンスブレッド】。評判が良いので、調子に乗って今度支店を出す予定だ。《パン》#同題ssNP

みゆ @cheshire_0319

久々に不思議の国に行ったらパン達に囲まれてしまった。あんぱん(こしあんとつぶあん)だけでなくストロベリージャムパンやクリームパンに焼きそばパン、メロンパンまで豊富な種類のパン達が人生最後の日に誰を食べるか聞いてくる。 「人生最後の日に、パンは食べない」 #同題ssNP

みゆ @cheshire_0319

春らしく陽気な午後は自然とまぶたが落ちてくるものだ。うとうととしていた時、手に激痛が走った。「ね、ねむりん！？だからそれは俺の手！ケーキじゃないっつーの！」春眠とは関係なしに常時眠たがりな友人がいるから、俺は春眠とは無関係だ。<春眠> #同題ssNP

みゆ @cheshire_0319

アリス「チェシャ猫、少し小さくなった？」 猫「今日は綿抜きの日だからね。ローブの綿を抜いたんだよ。僕らのアリス」 アリス「わ、綿？今日はエイプリルフールじゃあ……」 猫「日本人なら綿抜きだよ、僕らのアリス」<四月一日> #同題ssNP

シルヴァラ @silverline_BB

時の流れに置き去られ、気ままたゆたう千切れ雲。 かつて共に有った三つの雲は、風に煽られ行き先を変え、遥か遠くに消え去った。 雲は見つめる。自らと異なる気流に乗り、消えてゆく他の雲達を。 ……時折、雨の雫を地上に零し、千切れ雲は悠久の空を一人漂う。≪ちぎれ雲≫#同題ssNP

みゆ @cheshire_0319

「はる、かすみ？……香住の春バージョンか？」「そんな意味じゃないし、俺にはそんなバージョンなんてないからな」「そうなのか。残念だな。だが、私にはある！春はお団子食べてる私！夏はかき氷食べてる私！そして秋は焼き芋で冬は肉まん！」「食い物が変わるのかよ！？」<春霞> #同題ssNP

朱弥 @Mer_Aki

「たい焼きはしっぽからじゃないか？」「いや、頭だろ。なんとなく」「だって頭から食ったら可哀相だろ！？香住だって、頭から食われるのは嫌だろ！？」「結局食うから一緒じゃね？ってかなんだよその嫌な質問は…。あえて言うならあ「しっぽ！！」」(またやってるよ…)《たい焼き》 #同題ssNP

シルヴァラ @silverline_BB

最近、みかりんが結構売れていて、様々な新商品が出ているらしい。この前も友人が、「浅葱さん！新発売のたい焼きみかりんですよ！中にみかりんが入っているそうです！」パッと見は普通のたい焼きに見えるそれを手に、家までやって来た。……みかりんが何なのかわからない。≪たい焼き≫#同題ssNP

@shudo_hanbaiki

「おばあさんのお口はどうしてそんなに大きいの？」 僕の膝で絵本を眺めながら、アリスは楽しそうにどうして？と歌う。 「ねえ、ウサギさんの耳はどうしてそんなに長いの？」 「それはね、アリス」 ――どこにいても、きみの悲鳴(こえ)が聞こえるように。≪赤ずきん≫#同題ssNP

シルヴァラ @silverline_BB

幸せとは何だろうか。家の縁側で灰色の猫を撫でつつ、そんな事を考える。もちろん答えはわからない。でも、薔薇色の人生じゃなくてもいい。この一片の雲もない澄み切った青空のような、そんな日々を送れたらいい。膝の上の猫が、大きな欠伸で返事をした……のかも。≪薔薇色≫#同題ssNP

@shudo_hanbaiki

僕の胸に咲く白い薔薇。 さぁアリス、その手のペンキで染めておくれ。 早くしないとあの首狂いが、細い首をはねてしまうよ。 僕のアリス、君の赤を吸い上げて、共に薔薇色の道をゆこう？≪薔薇色≫#同題ssNP

みゆ @cheshire_0319

瑠璃色の瞳に陶磁器のような白く滑らかな肌。流れるような金髪は輝かんばかりに美しい。そして鈴の音色のような透き通った声。華奢な身体を豪奢な薔薇色のドレスに身を包んだ少女は今日も鎌も片手にアリスの首を求め続ける。<薔薇色> #同題ssNP

みゆ @cheshire_0319

春が来ると、雪が溶けて水になり蒸発して空に上がるように、私の罪も許されるのだろうか。幾度も繰り返されるこの私の悪夢も、浄化されるのだろうか。春告鳥が鳴いたら、春が来たらーー私は春の訪れを待ち続ける。<雪どけ水> #同題ssNP

シルヴァラ @silverline_BB

交換日記を始めた。俺とねえちゃんだけの秘密のやり取り。昨夜ねえちゃんにノートを渡し、目覚めるといつの間にか机の上に置いてあった。もう返ってきたんだと思いページを捲ると、赤ペンで文章に対する批評と共に点数が記入されていた。……よし、やっぱあいつ抹殺しようか。≪日記≫#同題ssNP

みゆ @cheshire_0319

「星のかけらみたいで綺麗だなー」金平糖を見ながら遠島が感嘆の声をあげる。そんなメルヘンな台詞、似合わないなと思いつつ遠島を見てみると涎を垂らしていた。「食べたらどうだ？」「そんな！美味しそうだけど！こんなに綺麗なのにもったいな、でも食べた…」食えよ<星のかけら> #同題ssNP

みゆ @cheshire_0319

「チェシャ猫っていつも私から距離を置いてる気がするんだけど」 そりゃあ、そうさ。君は僕にとって神聖なモノなのだから。ユートピアはなるべく手の届かないところに置いておかないと。日常の秩序からかけ離れたユートピアは離れていてこそ美しく輝く。<神聖> #同題ssNP