2013年へのカウントダウン企画 #31poem 全編

ナトさん(@cerezo398)企画・主催、2013年へのカウントダウン企画 #31poem のまとめです。 簡単ルールと本編のみはこちら⇒http://togetter.com/li/417070
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ナト @cerezo398

カウントダウン開始!! #31poem

2012-12-01 00:02:12
鍵の箱 @vortice__

12月に入ったってことは #31poem が始まるのか。たのしみたのしみ

2012-12-01 12:49:41
ナト @cerezo398

えっと、1日目がこれでいいのかとか、いろいろ考えたのですが、もうこれ以上時間はないので、これで投下させてください。繋ぎにくいもので本当にごめんなさい。それでは改めてカウントダウンスタートです #31poem

2012-12-01 18:10:06

12/1 *count 31*

ナト @cerezo398

はあ。と吐いた息が、じんわりと景色を滲ませる。かじかむ指をこすり合わせながら、僕はすんっと鼻をすすった。となりの君は虚空を睨みつけたまま、じっと動かない。もうしばらく、君の周りの景色はにじまないでいる。(1) #31poem

2012-12-01 18:10:11
ナト @cerezo398

呼吸を忘れてしまうのよ、と言って笑う君を思い出した。あれは確か夏だったか。じっとひまわりを見つめたまま動かなくなった君に、声をかけたときのセリフだった。よく、呼吸を忘れてしまうのよ。きっと私は生きるのに向いていないんだわ。(2) #31poem

2012-12-01 18:10:15
ナト @cerezo398

そのとき僕はなんと返したんだったか。ポストイットを渡して書いとけよ、とでも言っただろうか。それこそ忘れてしまったが。(3) #31poem

2012-12-01 18:10:20
ナト @cerezo398

君はまた呼吸を忘れているのだろうか。呼吸を忘れて、ただそこにいる君は、まるでスノーボールの中にいる人形のようだ。そのままもう一生動きやしないのではないだろうか。(4) #31poem

2012-12-01 18:10:24
ナト @cerezo398

そう考えた途端、なんだか不安になって「ねえ、」と君のまわりに張られた空気の膜に爪を立ててみた。膜は案外もろくて、僕が爪を立てたところからほろほろと崩れた。けれど君は動かない。「ねえ!」もう一度、君の肩に手を置いて、強く呼んでみる。(5) #31poem

2012-12-01 18:10:29
ナト @cerezo398

今度は君の大きな瞳からほろり、と涙が零れた。一粒落ちた途端、ほろほろと溢れる涙に戸惑う。ごめんね、どうしたの、泣かないで。何を言えばいいのかわからなくて、ぎゅっと唇を結んだ。かわりに君の唇が解かれて、僕は涙を一時忘れてそっと安堵の息を吐いた。(6) #31poem

2012-12-01 18:10:34
ナト @cerezo398

呼吸を思い出した君は景色を滲ませながら、けれどまだ虚空を睨みつけて言葉を紡ぐ。僕の背後で何かが落ちて割れた音がした。それはもう、治らないだろう。 (了) #31poem

2012-12-01 18:10:40
@xx__moon

ついに31poemがはじまった、 私の落下はまだまだ白紙だ。

2012-12-01 18:15:39
ナト @cerezo398

それでは、あさみさんへバトンタッチです。明日はお願い致しますm(_ _)m #31poem

2012-12-01 18:16:28

12/2 *count 30*

朝海かおれ @prototype_AR

「おはよう、」少女は布団の上でのびをして傍のぬいぐるみたちに呟いた。「今日は君にしようかな、」白いうさぎを掴み取り頭を軽く撫でる。ふわりとした感触。口角を上げて笑うと、布団からとびおきた。でも寒さに震えて布団に戻る。今日は日曜。二度寝日和。 《1》 #首吊りうさぎ #31poem

2012-12-02 01:39:05
朝海かおれ @prototype_AR

「おはよう、」二度目の挨拶。「ねぇ、」布団から落ちたうさぎに話しかける。しかしうさぎは何も語らない。少女は長い耳を無造作に掴み、振り回した。当然、うさぎは無反応。しばらくすると飽きたようで、ぽいっと部屋の隅に投げ捨て起き上がった。《2》 #首吊りうさぎ #31poem

2012-12-02 01:40:36
朝海かおれ @prototype_AR

近くのショッピングモールに来た少女。その鞄からは白いうさぎが顔を出している。「ねぇ」後ろから話しかけられ振り向くと同じ中学の女の子がいた。「あんたさ、中学にもなってぬいぐるみ連れて歩いてるの?」嘲る口調。見下す態度。少女は彼女が嫌いだった。《3》 #首吊りうさぎ #31poem

2012-12-02 01:41:24
朝海かおれ @prototype_AR

(私は知っているんだから、あなたが影で私の悪口いってるの、)もやもやとした感情が浮かび上がる。少女が思い切り睨みつけると彼女はグループの子に向かって言った。「あの子と一緒にいるとバカがうつるから行こう」(こっちこそ一緒にいたくないわよ、)《4》 #首吊りうさぎ #31poem

2012-12-02 01:41:53
朝海かおれ @prototype_AR

少女はベンチに座って、鞄からうさぎを引っ張り出す。「嫌い、嫌い、嫌い、」少女はうさぎに向かって言い続けた。すると、うさぎが少しずつ黒くなる。「悪口いうあの子も、それに従ってるあの子も、何もしてくれないあの子も、みんなみんなみんな、大嫌いっ、」《5》 #首吊りうさぎ #31poem

2012-12-02 01:42:34
朝海かおれ @prototype_AR

灰色になったうさぎを抱え、少女は家に帰る。「ねぇ」台所から出てきた母親が少女を呼び止めた。「こんな時間までどこに行ってたの?」心配そうに聞く彼女を無視して部屋に戻る少女。うさぎを取り出し鞄を放り投げる。布団に座り、うさぎに向かって言った。《6》 #首吊りうさぎ #31poem

2012-12-02 01:43:09
朝海かおれ @prototype_AR

「うるさいうるさいうるさい、」最近は両親とあまりうまくいってなかった。勉強のこと、家でのこと。何かにつけて干渉してくる母親も、それを放置している父親も、少女にとっては「うざい、」となるのだ。だからまともに会話などしない。少女のプライドだった。《7》 #首吊りうさぎ #31poem

2012-12-02 01:43:42
朝海かおれ @prototype_AR

だからこの日も部屋に閉じこもってうさぎに話しかける。「嫌い、嫌い、嫌い、」ボロボロ泣きながらやつあたり。「みんな私をわかってくれないんだもん、嫌いだよ、いらない、消えちゃえ、」ついに真っ黒になったうさぎ。それは少女の心を表しているようだった。《8》 #首吊りうさぎ #31poem

2012-12-02 01:44:14
朝海かおれ @prototype_AR

少女は寝る前の儀式を始めた。まず真っ黒になったうさぎの首に縄をかける。しっかりと結ばれていることを確認してクローゼットを開け、ポールに反対の縄をつけた。落下することもできず宙に浮いたうさぎは首を吊られ、少女は心の闇を殺す。「おやすみ、」《9》 #首吊りうさぎ #31poem

2012-12-02 01:44:54
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