虐殺器官×アイドルマスター(ネタ)

虐殺器官とアイドルマスターの合体事故。
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現場猫教授 @Dr_crowfake

虐殺の文法で綴られた歌謡曲の歌詞というものを思いついて、これは危険だと思った。ヒットチャート1位になれば極簡単かつ多数に虐殺を引き起こす因子を人々に伝えられる!

2012-12-27 03:27:02
現場猫教授 @Dr_crowfake

「耳にはまぶたがない」ジョン・ポールは云った。「私は様々な方法で虐殺の文法を人々に伝えてきたが、最も効果的なのは「歌」だったよ。メディアで広められ、人々の口に乗って伝えられる言葉の形式として、歌は最も古く効果的な形式だったんだ」

2012-12-27 03:28:34
現場猫教授 @Dr_crowfake

「君がテレビを見ている。歌が聞こえる。君が道を歩いている。CMソングが聞こえる。君が家にいる。家族が歌っている。そういうふうに、歌は君の生活に隅々まで入り込んでいる。だから、歌はとても効率のいい虐殺の文法の伝播手段だったよ」

2012-12-27 03:30:18
現場猫教授 @Dr_crowfake

「アイドルマスター――天海春香は最高の媒体だったよ。彼女の稀有な歌手としての力量とカリスマは、虐殺の文法のメディアとして最適だった。おかげで、日本はあらかた片付いた。彼女は、自分がその片棒を担いだとは思っていない――むしろ悲しんでいるだろうがね。生きていればの話だが」

2012-12-27 03:32:43
現場猫教授 @Dr_crowfake

「お前は狂っている」ぼくはジョン・ポールに銃を突きつけた。「そんなことのために、春香を、765プロを利用したのか」「狂っていると判断するなら、私の動機について考える必要があるんじゃないかね、プロデューサーくん」ジョン・ポールは落ち着き払っていた。

2012-12-27 03:34:08
現場猫教授 @Dr_crowfake

「たくさんの人間を殺す、その動機がなんであれ、やってしまった罪は消えない。そうだろう!」ぼくの悲鳴めいた問いに、ジョン・ポールは首を振った。「いいや違う。行動には必ず目的がある。そしてその目的により正当化される。ヘゲモニーを握ったものに、だがね」

2012-12-27 03:35:35
現場猫教授 @Dr_crowfake

「じゃあお前の目的は何だ!」ぼくは引き金に力を入れた。少しでもふざけたことを目前の男が云えば、すぐにでも殺せる殺意を込めて。ジョン・ポールは悲しげに云った。「愛する人々を守るためだ」ぼくは呆然とした。「愛する人の、ため、だと……」

2012-12-27 03:37:10
現場猫教授 @Dr_crowfake

「世界の政治経済的秩序はぎりぎりのところに追い詰められていた。新興国の台頭、テロの激化、グローバリゼーションによる経済不安。そしてそれが破綻した時、まっさきに破滅するのはアメリカだ。アメリカに住む、わたしの愛する人々だ」

2012-12-27 03:39:21
現場猫教授 @Dr_crowfake

「君も恩恵を受けている様々なもの。ドミノ・ピザとスターバックスの普遍性。それを守るため、私は虐殺の文法をあらゆる手段でばらまいたのだ。殺し合いをしたがっている人間、今の世界が気に入らない人間が、共食いをするように。我々の平和を犯さないように」

2012-12-27 03:40:46
現場猫教授 @Dr_crowfake

「残念ながら、私の最も愛する人はサラエボで死んだよ。しかし、だからこそ思えたのだ。残された「愛すべきもの」のために、他のすべてを犠牲にしていいのだと。私の愛するものを奪うような連中は、根こそぎにして構わないのだとね」

2012-12-27 03:42:22
現場猫教授 @Dr_crowfake

「そんなことのために、春香を利用したのか」ぼくは殺意を込めて云った。ジョン・ポールは頷いた。「ああ。彼女は最高だった。実に効率的に、虐殺の文法を振りまいてくれたよ。その後の有様は、君も知ってのとおりだ。アイドルマスター。まさに破滅の偶像だ」ジョン・ポールは嗤った。

2012-12-27 03:45:32
現場猫教授 @Dr_crowfake

「彼女は――人に希望と勇気を与えようとして歌ったんだ。その気持ちを、お前は踏みにじった」ぼくはそう告げた。ジョン・ポールは寂しそうに頷いた。「そうだ。私が、愛するものを踏みにじられたように」

2012-12-27 03:47:54
現場猫教授 @Dr_crowfake

「だから他人を踏みつけにしてもいいというのか!」ジョン・ポールは肩をすくめた。「カート・ヴォネガットという小説家がよく用いたフレーズを知っているかね?」「なんのことだ?」見当もつかずにぼくは尋ねた。「「そういうものだ」。そういうふうにできているんだ、この世界は」

2012-12-27 03:49:50
現場猫教授 @Dr_crowfake

「違う……世界はそんな風にはできてない……彼女はそんなふうに思っていなかった……!」「なら、それを証明し給え。君が私を撃てば、憎悪の連鎖は証明される。私の勝利だ。撃てなければ、私は新たに世界に虐殺の種を蒔き続ける。どっちにしても、私の勝ちだ」

2012-12-27 03:52:03
現場猫教授 @Dr_crowfake

ぼくは銃を下ろした。「お前に勝つために、お前を今殺さない。お前の見ている世界が、間違いだということを証明してやる。春香の世界が、正しいんだと証明してやる」ジョン・ポールは目を伏せた。「そうなることを祈っているよ、プロデューサーくん」それが彼との別れだった。

2012-12-27 03:54:07