高山れおな @R_Takayama さんによる榎本享句集『おはやう』評

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高山れおな @R_Takayama

榎本享句集『おはやう』、拝受読了。享はミチとお読みする。波多野爽波門、第四句集で、選句は岸本尚毅氏がやっている。句の出来栄えに凸凹のない、レベルの高い句集。しかし、寄物陳思の寄物に徹して、陳思の部分が薄いこういう世界は、自分としては心からは愛せないなと改めて思いました。

2013-01-05 11:16:41
高山れおな @R_Takayama

(承前)〈春氷押し込めば水のせて浮く〉〈草焼の煤をつまめば毀れけり〉〈泡を生む一歩一歩や春の泥〉・・・確かな写生ではあります。〈新緑やのけぞる喉に日のまだら〉・・・のけぞる喉への注目はよくあるだろうが、「日のまだら」まで言うのは細かいなあ。

2013-01-05 11:21:50
高山れおな @R_Takayama

(承前)〈木の葉散る飛込台にその水に〉・・・例えばこの「木の葉散る」の季語本情みたいな辺りが、この句集における陳思の(ほぼ)全てなのである。〈何もかも枯れて砂踏む音大き〉、空気がくっきり描かれております。

2013-01-05 11:25:27
高山れおな @R_Takayama

(承前)岸本氏が巻末に解説を書いていて、先に引いた春氷の句を挙げながら、「断片を断片として過不足なく描き取るということが、俳句の出発点だと思います」と言っているが、あくまで写生の出発点である。発生史的にみれば、別に俳句の出発点はそこにはなかった、ということは確認しておきたい。

2013-01-05 11:29:02
高山れおな @R_Takayama

(承前)岸本氏のような人でもと言うべきか、俳人を含め近現代の皆様は、俳句の短さを過剰に意識しすぎておられるのではないか(ネガティブにまたポジティブに)。俳句は他の詩型より相対的に短いとしても、必要充分な長さを持っております。ことさら断片性に出発点を求める必要はありません。

2013-01-05 11:34:05
高山れおな @R_Takayama

(承前)もちろん、断片性の魅力、よろしさを重々承知した上で、かように申し上げているつもりです。

2013-01-05 11:34:56