2010/08/25 ツイッター小説 お気に入りセレクト

ヒデユキッス @hideyukiss

#twnovel 「でもね、刑事さん。映りの悪いテレビを叩いて直るっていう原理を信じて、曲げなかった教授にも・・・。いや、やめましょう故人を悪く言うのは。ええ、刑事さんのいうとおりですよ。私が教授を殺害しました。部屋のテレビに細工をしたんです。激しく叩けば爆発するようにね」

s @P_p_q_9

#twnovel 轢かれた猫の死体が歩道のうえに、ぽつんとあった。彼女はそのぐろい様子を一瞥すると、歩きながら携帯電話をとりだしてツイートした、きもちわるいもの見たって。それからちょっと進み、路傍に小さな花が咲いてるのを見つけると、彼女はそれを摘んで、来た道をひきかえした。

小夜啼き鳥 @sa4nakidori

熱された鉄板の上で立ち込める煙を挟んで笑顔が揃う。その昔毎日を占めていた懐かしい顔触れが、各々の道を歩んでからどれだけの時間が過ぎたのか。僅かに感じるぎこちなさには気付かないふりをして思い出話に興じよう。なかなか溶けない肉脂がじわりとやがて姿を消すまで。 #twnovel

シンイチVR2 @shinichikudoh

R18の映画を観ていたらスクリーンに「続きは隣町の映画館で」と表示され、続きが気になり指示通りにしたがまた同じ展開に。エンドマークを迎えたのは見知らぬ街の映画館。面白いロードムービーだったがエロが無い。切符を見直すとRではなくJR18。青春18切符というわけか。 #twnovel

ヒデユキッス @hideyukiss

#twnovel 社長室の革張りの椅子に腰掛けたOLの日出子は後輩の前で社長のモノマネをしている。「もう、会社をやめたいんじゃ」あまりにも似ているので好評だ。次の日、新しい社長が突然やって来た。日出子と後輩はファンタジー論を繰り広げるが、会長が仕掛けた盗聴器の存在は知らなかった。

5047312_8031619 @5047312_8031619

広い部屋に何もない。窓もない。電気もない。真ん中で大の字になって天井を見上げてみる。天井は白く全体がでこぼこしている。時間が経つにつれてそのでこぼこは波のように揺れて文字のようなものが浮き出てきた。「I am here」そう読めたのは一瞬で再び波は動き出した。 #Twnovel

糖類の上 @tinouye

#twnovel ノアの方舟が何艘も発見されるのは船団だったからなんだ。そりゃ世界中の生物が一艘に入るわけないもの。でも大洪水の後、ノアが船団を調べると一艘行方不明だったんだ。貴重な生物が集まってたのに、とノアは残念がったけど、有袋類たちの船は無事にオーストラリアに漂着したんだ。

5047312_8031619 @5047312_8031619

「冷たっ」気づくとぼくは仰向けになって寝ていた。どうやらここは砂浜らしい。つま先に海水が当たる。体を起こし周囲を眺めた。頭が重く過去のことが思い出せない。少し離れた所からアロハシャツを着た青年が近づいてきてぼくに声をかけた。「よう。ちゃんと記憶は消えているか？」 #Twnovel

江田・Ｋ【小説書き】 @koudakei

出会った頃は苗字にさん付けで。付き合いはじめて名前にさん付け、私がお願いしてやっと名前呼び。しばらく呼びにくそうにしてたけど、そろそろ慣れていいんじゃない？　でも、おい、とか呼ばれるのは嫌だからね。それと、赤ちゃん生まれてもママじゃなくて名前で呼んで欲しいな。 #twnovel

芹沢文書 @DocSeri

「弩砲から射出された索錨に絡め取られた船体が引き寄せられてゆく。『接舷戦闘用意!』号令と共に航空歩兵が鉤で索を滑り伝って次々に乗り込む。水素を溜めた飛行艦戦では火砲は使えないため前時代的な戦法が復活した。切られた索から、船扉から、零れた兵の傘が空に白い花を飾る」 #twnovel

simmmonnnn @simmmonnnn

#twnovel 書斎でくつろいでいると、突然デスクの引き出しが開いた。中からメガネの少年が現れる。「そろそろ出番です」彼はわたしの子孫だ。二百年後の世界から、時々わたしに会いにくる。そして、彼の住む世界へ招待される。刺激的な未来旅行の代償は、年金不正受給の片棒を担ぐことで払う。

佐木ささめ @sakiandu

#twnovel 最近ラヴが無い我が夫婦。倦怠期なんだろうか？嘆息を落として読むは恋愛ネット小説。物語の主人公に感情移入しつつ液晶画面を眺めていたら、気配を殺した夫が近づいてきていきなり身体を寄せてきた。「……何してんの？」「別に」どうやら寂しかったのは私だけじゃないらしい。

yosirabi @yosirabi

#twnovel 「どうしていつも黒い服なんですか？」向かいの机の彼女が尋ねた。色々理由はあるが面倒なので「ネクタイ変えればすぐ葬式に出れるしね」て言うと彼女は悲しそうな顔をした。その後しばらくして長く患っていた彼女の母親が亡くなった。その葬儀に参列後すぐ紺色のスーツを買った。

泥辺五郎 @dorobe56u

#twnovel 生まれる前に出会った小さな女の子が僕の初恋の相手だ。後から聞いた話では二卵性双生児の妹で、僕のように大きくはなれなかったらしい。言葉を持たない僕らはただ笑い合っていた。生まれる頃には既に彼女の鼓動は聞こえなくなっていて、外に出た途端僕は悲しみのあまり泣き叫んだ。

@K_Ichida

#twnovel 「『幸せにぎにぎ』って知ってる？」「なにそれ？」「感触が気持ちよく、にぎにぎしてると幸せな気分になるおもちゃ。シリコンでできるんだぜ」「へー」「ほら、これ握ってみろよ」「なんで、股間の前で箱持ってるわけ？」

よしのちほ @chiho_yoshino

「月、見た？ すげー！」メールには、それだけ。月が綺麗ですね、が、愛の告白だと知っているはずなのに。あなたはいつだって私を混乱させる。じらしてるの？ 試してるの？ 私のこと、好きなの？ あなたを好きよ。だけど。「あとで見てみるね～」と返信した。月を見上げながら。 #twnovel

無茶 @notastetea

暴風雨で皆が避難する中、最前線で意気揚々とはしゃぎ回る女子達がいた。雷が鳴る度に狂喜乱舞。豪雨に負けないくらいの嬉し涙を流す。不審に思った警察が呼び止める。「何なんですか、貴方達は。」彼女達は答える。「嵐のファンです。」 #twnovel

小高まあな◎11/11文フリさ-03〜04 @kmaana

寝坊した！髪はひっつめに、薄いメイク、安いスーツで走る。定期を改札に叩き付けて、階段をかけあがる。電車に体を押し込める。「久しぶり」横から声を掛けられる。花の香り。綺麗な化粧に質のいいワンピース。左手の指輪。「結婚するの」学生時代、私から男を取った女が笑った。 #twnovel

しめじ @abekoubou

電車に飛び乗ると鯖が床に転がっている。蛍光灯の光を反射してぬらぬらと横たわっている。次の駅で乗ってきた乗客に散々に踏み砕かれて鯖は赤黒い臭いを漂わせたのだが、誰も鯖のことなど気にとめずに隣の乗客の唇を吸い続けている。 #twnovel

一行怪談 @kowaihanashi

【0403話】「あれはなんですか？」 私は宇宙船の中で一際大きく輝いている卵状のケースを指差した。灰色の男達は馬鹿にしたような顔をして「あれは貴方達が利用していた電球というものですよ」しかし、私は見てしまった。輝くフィラメントが、人間の身体であることを。 #twnovel

らし @rashi_catwillow

#twnovel 太陽を食べたのはぼくだ。君たちの星は終わらない氷河期に閉ざされるだろう。弁解はしない。ただ誰かに聞いてもらいたい、闇の中で飢えていたぼくにとってそれがどんなに美味だったか。舌にのせるとほんのり甘くて。永い旅の慰労に神様がくれた、ささやかな贈り物だと思ったんだよ。

layback @laybacks

あたしのことどれくらい好き？　と訊かれた俺は幾千もの比喩を繰り出すもののダメ出しを食らい続ける。無理ゲーのコントローラーを放り投げた俺は分からず屋を強く抱き締め唇を唇で塞ぎながら文学者の絶望に想いを馳せる。やがて俺の気持ちが通じたのか彼女の膝から力が抜け始めた。 #twnovel

鈴々@物語る鳥 @re_rhythm

毎朝散歩の途中に立ち寄るコンビニでよく顔を合わす人懐こい雰囲気の男がいた。三日四日と会う内に目が合うようになった。五日目で声をかけられ、何だか大型犬にでも懐かれたような気がしていたら七日目に好きだと告げられた。犬を飼うような気持ちで付き合う事にしたのは秘密だ。 #twnovel

夢名 七志 @mumei7c

体が熱い。冷まそうと、水を浴びたらみるみる乾く。次の日には、飲み物が喉を通る前に蒸発する温度になっていた。数日経つと、熱いので街から追放された。今では、電気会社でエコ熱源として働いてる。外に出られる訳もなく、友人との交際も途絶えた。風の噂が届く「冷たい奴だ」と。 #twnovel