「魔理沙、楽しみね!」「たかが節分だろ? アリス、お前去年だって居たじゃないか」「去年はテレビで見ているだけだったわ。今年こそはって気合いれてきたんだから」わたしと魔理沙は伊吹酒造へ向かっています。#gentyo_ss
2013-02-03 20:12:16なんと今年、伊吹酒造で節分のイベントを開催することになったのでした。働いているはたてが人手が足りないって言ってたので、今回はわたしたちがはたてを手伝うことになったのよ。前日から色々準備して来たけど、動きやすい服装でって言われたわ。#gentyo_ss
2013-02-03 20:14:43「同じジャージでもどこかの誰かさんとは大違いだな」「えへへ。スポーツができるジャージにしたわ」「いや、もともとジャージなんてスポーツ用だろ」「ネグリジェ用があるって永江さんに聞いた」「ないわー」無かった。#gentyo_ss
2013-02-03 20:16:55「それにしてもサプライズよね。この町にお相撲さんが居ただなんて! どうしましょう。わたし、頭撫でて貰っていいかしら?」相撲は現代日本でも国技に指定されるくらいミステリアスな存在よ。サムライ、ニンジャに次ぐ強力なジョブが力士なの。あんなに裸に近いのに防御力も高い#gentyo_ss
2013-02-03 20:19:47「勝手にしろ。少なくとも私は例え力士が来たって嬉しくはないけどな。大体幻想町出身の力士なんて居ないはずだぞ?」「じゃあゲストで呼ぶんじゃないかしら。節分と言えば豆撒き、豆撒きといえばお相撲さんでしょう?」#gentyo_ss
2013-02-03 20:21:53「……そうだといいんだがな。アリス、お前の運は三週間前で使い果たしたんじゃないか」成人式で秘封倶楽部の二人に会った時のこと、まさかあんなに素敵な出会いが待っているとは思わなかったし。「だとしたら魔理沙。きっとね、わたしは今年も一年ハッピーだということよ」#gentyo_ss
2013-02-03 20:25:52角を曲がると立派な門構えの伊吹酒造が見えてくる。思わずスキップしてしまいそう。門をくぐって庭へ急ぐと女性の声が聞こえてきたわ。……お相撲さん? 「鬼は~」「魔理沙、もう始まってるわ! 急いで」「分かってるって……」#gentyo_ss
2013-02-03 20:27:06「外ォォォォォッッッッ!!!」 ズドドドドドドドッッッッ!! 声と同時に重機関銃のような音が響いたわ。ここは日本なのに、そんな危険な武器があるだなんて聞いてない。#gentyo_ss
2013-02-03 20:29:06「ひぁぁ……」はたてがペタリと座り込んでいたの。無理もないわ。はたての真後ろのコンクリートブロックが粉々になっていたんだから。「おはよう、はたて。大丈夫?」涙目でカクカクとわたしのあいさつに返事をしたわ。#gentyo_ss
2013-02-03 20:31:34「お、来たな。おはようさん」はたてのそばには小さな店主。「来たぜ」「おはよう、伊吹さん」「萃香でいいよ」「はい、おはよう、萃香。こっちの大きな人はお相撲さんかしら?」「お? おう」金髪で大柄な……お相撲さんというよりはレスラーに近い女性が居たわ。#gentyo_ss
2013-02-03 20:33:41「ちょっと勇儀。……アンタは投げちゃダメだって言っただろ?」「そだっけか?」「全く。修繕費だってタダじゃないんだ。大体アンタに頼んだのは鬼役だ。何で豆を投げるのさ」「いやぁ……ついつい」#gentyo_ss
2013-02-03 20:35:57「つい、で破壊の限りを尽くされちゃかなわないよ。ウチのバイトがおびえちゃってるじゃん。こいつは星熊勇儀、私のおさななじみ。直接会うのは初めてだったっけ? ほら、祭りでよく見るだろ?」「そういえば……」#gentyo_ss
2013-02-03 20:38:24あんなに体格が違うのに、おさななじみだなんて、ニッポンって不思議ね。あ、一応説明をするとね、勇儀さんはフーテンさんって呼ばれてて、ええと……ヒッピーがそれに近いのかしら。「じゃあ、手筈通りよろしく頼むね、大通りでコイツが鬼をやるから、豆撒いてくれ。ほい、豆」#gentyo_ss
2013-02-03 20:39:52「なぁ、バイト代はちゃんと出るんだろうな? 酒や豆以外で」「うん? 出すよ出す出す。豪勢にやってくれりゃウチの宣伝になるしね。ちゃと伊吹酒造のうまい豆! 酒の肴をアピールしてくれよ」「お、この被り物はしっくりくるな。ツノツノ一本は青鬼どんだったか?」#gentyo_ss
2013-02-03 20:41:38角の被り物をする勇儀さん。すっごいにあってる。って言ったら怒られるのかしら。「青鬼ねぇ……うーん。どっちかってとアンタは柱の男じゃないの」萃香のセリフを聞いた勇儀さんはビシっとポーズを決めた。「ワ↑ムゥ↓!」スタイリッシュワムゥ!#gentyo_ss
2013-02-03 20:44:48「んで、私は鬼になって何やりゃいいんだ。ワルイゴイネガーって子どもをぶん殴ってりゃいいのか?」「アンタ話聞いてなかっただろ?どこに子どもを殴って宣伝する広告塔がいるのさ。豆を全身で受けてりゃいいんだよ」「臍に二重丸でも書くかね」「その辺は好きにしてくれよ」#gentyo_ss
2013-02-03 20:48:49「よーし、んじゃあ、魔理沙にアリス、それとはたてだな」角を装着した勇儀さんはホントにデーモンみたいで、オソロシイ。「おまえら あてる わたし よける」わたしの気持ちが通じたようにカタコトでしゃべる勇儀さん。なんとなくラテン系の匂いがする。#gentyo_ss
2013-02-03 20:52:07「ただ当てられるだけっていうのもつまらんから、賭け事をしよう」「オニハソトッ!」「こら! アリス、まだ早いって」 ピシピシピシ! 「ふんっ!」勇儀さんはぐにゃりと身体を捻らせてわたしの奇襲をすべて避けてしまったわ。#gentyo_ss
2013-02-03 20:54:37「話は最後まで聞くもんだ。んで今みたいに私とあんた等じゃ勝負にならないから、少しハンデをやるよ」勇儀さんは盃にお酒を注いだわ。当然、伊吹酒造のお酒。「この盃から酒が零れても私の負けだ。どうだ、これでだいぶ公平になったろう?」#gentyo_ss
2013-02-03 20:56:33