第3回twitter小説大賞に応募してみた

第3回twitter小説大賞に応募してしまった10のツイノベ。 みなさん、ご意見ご感想ありがとうございました。 でも、人気はなかったんですが素麺は外せなかったんです。
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七歩 @naholograph

「お客さん刺青お断りだよ」俺の腕に住まう龍神を見つけると、番台のおばちゃんは言った。「実はこれ刺青じゃないんだ」「何言ってんだ刺青だろ」俺は腕を掲げる。「出でよ闇の眷属、翔べ漆黒の翼!」ゴゴゴ。俺の腕に描かれた龍神は腕を抜け現実に姿をとった。「ペットもお断りだよ」#twnovel

2012-07-29 00:15:43
七歩 @naholograph

君は最近東京行った?すれ違いざま美女が言う。行っとらんよと答えると、耳元にすっと唇を寄せた。東京ってねもうないの。TVが事実を伝えてないって思ったことはないかしら。東京ってねもうないの。TVが創った街なのよ。面白い話だ。TVと千鳥足の美女、僕はどちらを信じよう。#twnovel

2013-02-13 06:44:16
七歩 @naholograph

近所に調剤本屋ができた。問診後にお薦め書籍を処方してくれる。僕は退屈と診断され、推理小説中心に紹介されていたが、最近傾向が変わって恋愛小説が増えた。100冊続くとさすがに飽き、もう読めないと司書に言うと、「では実践はいかが?」とアドレスを渡された。予習は完璧だ。#twnovel

2013-02-14 11:27:21
七歩 @naholograph

友達なんかいらない。誰ともつるまないし、嫌われたってかまわない。俺のこの崇高な魂を奴らには理解できないだろうしされたくもない。「二人組を作って下さーい」当然のように余る俺。「あら、じゃあ先生と組もうか」手をとられる。全ての孤独はこの瞬間の為。先生、俺、先生のこと。#twnovel

2013-01-27 15:45:06
七歩 @naholograph

庭に桜を植えた。妻を忘れてしまわぬように綺麗な桜の木を植えた。妻の名前が「さくら」なのだ。僕は生きる。妻を忘れ、自分を忘れ、全てを忘れてそれでも生きる。巡る季節に花が咲く。「綺麗な桜だ」ときどき綺麗と言ってくれたら結婚してもいいですよ。そう言ったのは誰だったか。#twnovel

2013-03-07 06:53:07
七歩 @naholograph

その子の読んでいる本はどの頁も真っ白だった。不思議に思ってどんな話か聞いてみると、「竜と旅する話だよ」と本に視線を落としたままあらすじを教えてくれる。「だけどパパが星になってここから先が分らないの。ねえ読んでくれない?」盲目の少年の笑顔に誘われ、僕は物語を紡ぐ。#twnvday

2012-12-14 11:15:41
七歩 @naholograph

もう流されたくない。いいように流され降るばかりの人生。すくわれたと思ってもしょっぱい思いをして終わる。もう沢山だ。流し素麺は逃げ出した。#twnovel 今では普通の素麺として生きてる。みかんで飾られやさしい鰹だしに抱かれる。穏やかな人生。けれど時々ふとあの頃を懐かしく思い出す。

2012-08-06 08:07:20
七歩 @naholograph

肩こりが酷い。頭痛まで引き起こすその酷さに「憑かれてるんじゃない?」なんて笑われる始末。妻に毎日マッサージして貰っているのに。「そうだ、温泉いこう!」一泊二日で温泉宿を予約した。#twnovel 「ご予約は2名様で」「はい」「お連れ様は?」「ここに」「お連れ様は?」「妻はここに」

2012-09-30 07:40:10
七歩 @naholograph

やめろ、鬼が何をしたというのだ。旅人はそう言って豆まきを遮った。山へお帰り。所在無げな鬼たちを見送ると、旅人は満足そうに村を後にした。#twnovel どうしよう。鬼たちはざわめく。投げられた豆を育て金に変えて、1年の糧としていた。飢えれば人を喰わねばならぬ。どうしよう。

2013-02-03 21:19:03
七歩 @naholograph

図書館に自分の本を置きたい。その夢を叶えるべく、書きかけの小説を本棚に忍ばせた。図書館に行っては続きを書く。背徳感がたまらない。そんなある日、知らない続きが書かれてた。驚いたけれど嬉しくて僕はさらに続きを書く。お次は挿絵が付けられた。どなたか色を塗りませんか?#twnovel

2013-02-15 14:02:07