- karitoshi2011
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2011年4月末に、私自身が参加したイベントの話1 かなり汚染が高い自治体に漫画家が大勢慰問に訪れ、サイン会を行った例がある。
2013-03-02 17:05:132 イベントが行われたのは、自治体の一部が「計画的避難区域」に指定されて間もないところで、その自治体の一部には、隣の自治体からの避難者も、この自治体の計画的避難区域からの避難者もいた。
2013-03-02 17:05:233 避難所になっている公共施設のそばに、地震の被害を受けて窓ガラスが割れ、内部が使えなくなっていた体育館があり、その体育館の外を使ってイベントが計画されていた。
2013-03-02 17:05:364 このイベントは、東京の飲食店がその自治体の名産品を食材として使っていた縁から始まった。飲食店は、客の中の漫画家に声をかけ、その漫画家が仲間に声をかけたことで決まった、という話だった。
2013-03-02 17:05:475 雨が降る中で、屋外には飲食屋台が出された。東京の飲食店二つがメインだったが、他にも無料の豚汁などの振る舞いもあった。 人々は開会予定時刻の一時間以上前から、サインを求める列に並んだ。
2013-03-02 17:06:006 雨の中、このイベントで、会場内の誘導をする係は作られていなかった。開始前に行列ができていたが、どの行列に並べばサインがもらえるのか、当初アナウンスはなかった。
2013-03-02 17:06:167 途中で進行役から放送で、サインに関するアナウンスがあったが、その内容は二転三転した。その段階で私はサインをもらうことをあきらめた。列に並んだ人数を見ると、到底全員にサインできる時間はないだろうと感じたからだ。
2013-03-02 17:06:308 列から離れた私は、サインとは関係ないパフォーマンスを見て、適当に何か口に入れて、漫画家がサインをする様子を見てから帰ろうと思った。その段階では、漫画家は到着していなかった。
2013-03-02 17:06:429 進行役の放送によるアナウンスは、行列に並ぶ人の後方には聞こえていなかった。私はいつもの悪い癖が出て、進行役の言葉を後方の人達に伝え、人の整理を勝手に始めてしまった。その後アナウンスは二転三転していく。
2013-03-02 17:06:5610 明らかに、漫画家のサイン会には慣れていないように思えた。そもそも私の記憶では、人気漫画家が同時に複数一箇所にやってきてのサイン会が開催されたことは、福島市とその近郊ではこれが初めてだったと思う。
2013-03-02 17:07:0911 サイン会開始予定時間を30分過ぎても、漫画家たちは到着しなかった。アナウンスによると、漫画家たちは当日の決まった時間には東京に帰らなければならず、どう見てもサイン会の時間は十分確保することが無理に思えた。
2013-03-02 17:07:2112 この段階で私は、自分がサインをもらうことを完全にあきらめた。人に呼びかけ、行列を整理しながら、イベントのメイン会場に当たる体育館入り口の方に歩いた。せっかく来たのだから、何か食べて帰ろうと考えていた。
2013-03-02 17:07:3813 材料は遠方から持ち込まれた可能性が高く、地元の食材よりも安全性が高いだろうし。しかし、飲食物の屋台では、客が大勢いるにも係らず、食べたいものを手に入れるためにはどの列に並べば良いのかわからない状態だった。
2013-03-02 17:07:5014 飲食ブースの担当者達は、自分達のブースの準備と配布または販売で手一杯だった。列は次第に長くなり、サインをもらいに来た人が何もわからずに飲食物のブースから伸びる列に並び始めていた。
2013-03-02 17:08:0515 列はさらに長く伸び、自動車が通るロータリーの車道まで出始めていた。そのロータリーでは、自動車の放射線スクリーニングの受付もしていて、断続的にだが車が入ってきた。はしゃぐ子どもも車道に入り込んでいた。だけど、参加者の整理誘導をする人は、1人もいなかった。
2013-03-02 17:08:2016 ここで私は、いろんなことをあきらめた。事故を起こしている東京電力福島第一原発からの距離は、40キロ強。事故発生から1ヶ月半。雨。マスクをしているような人は、殆ど見当たらない。傘をささずに服をぬらしている人も多い。
2013-03-02 17:08:4017 地元食材の産品を宣伝販売しているブースもある。豚汁を無料で振舞うブースもある。多分野菜は、地元の産品だろう。ここで空間からの被曝とか雨による被曝とか、食品からの内部被曝とかを気にしている人は、見た範囲では殆どいない。
2013-03-02 17:08:5518 私にできるのはせいぜい、けが人を出さずに、大きな混乱を出さずに、イベントを終わらせる事くらいだ。進行役の女性に相談しながら、勝手に、人々の整理を始めた。
2013-03-02 17:09:1019 大きな声を張り上げ、サインを求める人は体育館裏手に伸びる列に並ぶように、飲食物を求める人は、それぞれのブースにつながる列に並ぶように誘導した。ロータリーに伸びていた列は、歩道の方にカーブして並ぶように誘導した。
2013-03-02 17:09:2220 隣の建物で実施されていた人間のスクリーニング会場への通路も大声で誘導した。カレーライスのブースがあったが、コメがすぐになくなり、販売できなくなった。そのブースまで行き、コメが炊けるまでの時間を聞いて、会場に大声で知らせた。
2013-03-02 17:09:3621 何人かの人が私を主催者側の人間だと思って「会場がわかりにくい」とクレームをつけに来たが、「すみません、私は勝手に誘導の役を買って出てるだけなんです」というと、理解してもらえた。
2013-03-02 17:09:5422 漫画家たちは予定より大幅に遅れて会場に到着し、サインを求める人たちを屋外に待たせたまま、展示用のボードにまず作品を描いた。そのあと、避難してきた子どもにプレゼントを渡した。その後でようやくサイン会が始まった。
2013-03-02 17:10:0523 漫画家たちは施設の中に入り、入り口で主催者が入場者を制限し、中での混乱が起きないようにしていた。サイン会でも避難してきた人を優先的にサインに応じようとしたが、隣接する福島市などから住民がサインをもらいに来ていた人が多く、避難者は少なかったと思う。
2013-03-02 17:10:1824 サイン会の途中には休憩時間が設けられた。さすがに3時間サインしっぱなしというのは、いかに人気漫画家でも難しい。その時間に漫画家の中の数人が、原発に反対する歌を歌った。取材者がいたのはここまでだった。サイン会に並んだ人たち全員にサインをする事はできず、漫画家たちは帰って行った
2013-03-02 17:10:4325 サインをもらいに来ても、もらえなかった人は大勢いたが、不満を口にする人は、その時いなかったと思う。
2013-03-02 17:10:57