再びヘイトスピーチの定義＆『理解する』ということ

神條遼＠Charge-on! Access-rock! Fighter-change! @kamijo_haruka

ちょっと長文になる。ここ数日感じていた、複数の人間の『ヘイトスピーチ』に対する感覚の齟齬について少し語る。違和感については過去にも語っていた（http://t.co/3UUh1Bz3Y6等）のだが……　もうハッキリ言おう。 《続

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承前》 単純に言ってしまえば、彼らは両極端なのだ。被害者側と加害者側で掌を返したような態度を取るのだ。ダブルスタンダードにも程があるのだ。要は卑怯極まりないのだ。 《続

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承前》 自分が『被害者側』になった際には、単なる『悪口雑言』や『罵倒』『誹謗中傷』を『ヘイトスピーチだ』と強弁する。かと思えば、自分が『加害者側』になった際には、明確な『ヘイトスピーチ』を語っているにも関わらず『これはヘイトスピーチではない』と強弁する。これが卑怯なのだ。 《続

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承前》 そもそも『ヘイトスピーチ』とは、英語では『hate speech』と綴る『固有名詞』である。単なる『hate』でも『speech』でもない。『hate speech』で『特定の事象を表す一つの固有名詞』なのだ。 《続

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承前》 これを忘れて単純な原義で語ると、確かに『hate』（敵意・悪意を含んで強く嫌悪する）＋『speech』（聞かせる第三者に演者に賛同させることを目的とした話）になる。つまりは『演者の持つ敵意・悪意を含んだ強い嫌悪感の賛同者を求めて第三者に語ること』を意味する文になる。《続

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承前》 この意味で言うならば『悪口雑言』『罵倒』『誹謗中傷』すら『ヘイトスピーチ』になってしまう。……然し、だ。『ヘイトスピーチ』とは、そもそも『何』を『憎み嫌悪する』のか。それこそ何度も語ってきている。 《続

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承前》 『本人にはどうにもならない先天的特質（人種、民族、国籍、出自、性別、性的嗜好、性自認、障害等）』を『憎み嫌悪する』のだ。『変更可能な後天的特質（宗教、思想信条、職業、経済状況等）を「それを選んだ人間そのものの固有の欠陥」と見做し』て『憎み嫌悪する』のだ。 《続

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承前》 そして、その存在自体を『貶め』たり『憎悪を掻き立て』たり『差別を助長し』たりする方向へと思想を誘導していく発言――それこそが『ヘイトスピーチ』だ。 《続

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承前》 例示する。先ずは『先天的特質によるヘイトスピーチ』の例だ。或る男性が居る。彼は日本に生まれた日本人で、貧困層で育ち、原因不明の難病を抱え、男性ではあるが性同一性障害を持ち、女性ではなく男性を愛する人だとする。 《続

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承前》 彼は望んで日本に生まれた訳ではない。彼は望んで日本人に生まれた訳ではない。彼は望んで貧困層の親の下に生まれた訳ではない。彼は望んで難病患者として生まれた訳ではない。彼は望んで男性として生まれた訳ではない。 《続

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承前》 彼は望んで「自分の性別に違和感を持って」生まれた訳ではない。彼は望んで「男性を愛するように」生まれた訳ではない。何れも彼本人に責任はない。何の咎もない。 《続

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承前》 にも関わらず、『日本人だから』『貧困層の出だから』『難病患者だから』『性同一性障害だから』『男を愛するから』ということを原因として、他人から強烈に憎み嫌悪されたなら、敵意すら持たれてしまったならばどう思うだろう。 《続

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承前》 『自分は生まれてきてはいけなかったのか』と絶望するかも知れない。『何故そんなことまで言われなければならないのか』と憎しみに囚われるかも知れない。『自分は受け入れてはもらえないのだ』という意識を強くするかも知れない。人間関係に孤立感を深めるかも知れない。 《続

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承前》 そして『後天的特質によるヘイトスピーチ』の例だ。或る男性が居る。彼は敬虔なムスリムであり、西洋的な社会に違和感を持ち、シャリーア法が素晴らしいと信じ、クルアーン（コーラン）を何よりも指針とし、アラブ共同体に所属することに幸せを感じ、 《続

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承前》 羊飼いという職に誇りを持ち、貧困ではあっても家族で暮らせることに満足している。彼は望んでムスリムである訳だが、そこには何の咎もない。彼は望んで西洋社会に違和感を抱いている訳だが、そこには何の咎もない。 《続

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承前》 彼は望んでクルアーンを信奉している訳だが、そこには何の咎もない。彼は望んでアラブ共同体に留まっている訳だが、そこには何の咎もない。彼は望んで羊飼いである訳だが、そこには何の咎もない。彼は望んで今の経済状態でいる訳だが、そこには何の咎もない。 《続

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承前》 にも関わらず、『ムスリムだから』『西洋社会を嫌うから』『クルアーンを信奉しているから』『アラブ共同体から出ようとしないから』『羊飼いだから』『経済的に豊かになろうとしないから』ということを原因として、他人から強烈に憎み嫌悪されたなら、 《続

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承前》 敵意すら持たれてしまったならばどう思うだろう。自分の価値観を全否定されたらどう思うだろう。自分の幸せを打ち砕かれたらどう思うだろう。 《続

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承前》 況してや、同じムスリム出身のテロリストが存在したからって『貴様らムスリムは全員テロリスト予備軍だ！』と言われてしまったならば、一体どう思うだろう。 《続

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承前》 そして。これらの言説は、例え如何なる理由があろうと『正当化』は出来ない。『理由があるからヘイトじゃない』『事実の指摘だからヘイトじゃない』というのは、単なる屁理屈だ。子供の我儘だ。 《続

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承前》 『理由があるからヘイトじゃない』という理屈が通るのなら、『白人の中でも貧しかった者は野良作業に精を出していたため、首の部分が赤く焼けてしまっていたとの歴史的事実がある』という理由を根拠に、白人貧困層を『レッドネック（Redneck）』と『公然と』呼んでも良い事になる。《続

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承前》 『事実の指摘だからヘイトじゃない』という理屈が通るのなら、『黒人は肌が黒い』という事実を根拠に、黒人を『ニガー（nigger）』と『公然と』呼んでも良い事になる。 《続

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承前》 同様に『黒人は肌が白くない』という事実を根拠に、黒人を『カラード（colored）』と『公然と』呼んでも良い事になる。……果たして、こんな理屈が通用するだろうか？ 《続