- L_O_Nihilum
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【詩】闇の子供達
暗闇の女神(ニュクス)よ、少し噺を訊いてくれや。
お前の統べる世界が遠く遠く東の小さな日のいづる小島で夢の墓場となって久しい
想えばこの夜はどれだけの数が過ぎただろうか?
想えばこの夜はどれだけの長さで続いているのだろうか?
いつまでたっても目覚めの朝はこない
その間に狂気を手に入れた詩人たちは百、二百、三百、五百、一万、億々と
その小島の全ての人間が一生をかけて聴き続けても終わらないほどの歌を書き続けている
そしてその歌に魅せられた聴衆たちは
着実にお前の子供として順調に育っているんだよ。
報復(ネメジス)、欺瞞(アパセ)、愛欲(ピロセス)、老化(ゲラス)、そして論争(エリス)。
そして何より”破滅(アテー)”として。
あの国にはお前の子供を警鐘するちょうどいい御言葉があるんだがねえ。
生老病死、愛別離、怨憎会、求不得、五蘊盛苦。
お前さんのお子さんにはぴったりの称号だとは思わないか?
…ん?ああ、数人忘れてるって?そうだった、タナトスやオイジス、ヒプノスとかもお前の子供だったか。そいつら加えたらなおっさら四苦八苦だ。
どうにせよ、お前の力はつんけいしてて扱いにくくて困ってる。
お前はこの島に狂気を詩人に与える代わりに、退廃した精神をも聴衆にもたらした。
感謝すりゃあいいのか、はたまた憎めばいいのか…
一人のお前さんの子供として、そのあたりのヒントでもくれれば助かるンだが…
いやあね、どうにもこの夜の様子を分かった気になってる詭弁弄者(ソフィスト)が多くて、サ。
~Fin