kenjiro hosakaさん【日本フィル《ピエタリ・インキネンのシベリウス・チクルス》について】

《ピエタリ・インキネンのシベリウス・チクルス》は、3月東京定期、3月横浜定期&名曲コンサート、4月東京定期で、7つの交響曲全てを演奏するプロジェクト。 http://www.japanphil.or.jp/cgi-bin/concert.cgi?action1=preview_details&seq=770 2013年3月15日(金) 午後7時開演/16日(土)午後2時開演@サントリーホール ※両日当日券あり 2013年4月19日(金)午後7時開演@サントリーホール 2013年4月20日(土)午後7時開演@横浜みなとみらいホール 続きを読む
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kenjiro hosaka @kenjirohosaka

音楽|ところで昨日は日本フィルの公開リハーサル&記者懇談会なるものに出かけてみた。僕は記者ではないですがWEB特派員なるものになってみたのです(応募した)。リハーサルを生で見るのは初めて。指揮者のインキネンはジーンズにTシャツというラフな格好で、いくつかの箇所をチェックしていく。

2013-03-14 21:02:40
kenjiro hosaka @kenjirohosaka

音楽|この時興味深かったのが、インキネンが英語で指示を出していたこと。当たり前だろうと言われてしまえばそれまでだけれど、これが「クラシック」と言われる音楽のためであり、また日本フィルが行うシベリウス・チクルスのためのリハーサルである以上、どうしてもいろいろ考えてしまったのである。

2013-03-14 21:03:47
kenjiro hosaka @kenjirohosaka

音楽|というのも、日本フィルの創立指揮者である渡邊暁雄が1982年に福岡でヘルシンキフィルを従えてシベリウスの交響曲第一番を振ったCDが出ているのだが(TDKオリジナルコンサートコレクション。本当にすばらしい)このCDには、渡邊によるリハーサル風景(音景?)が収録されているのだ。

2013-03-14 21:09:12
kenjiro hosaka @kenjirohosaka

音楽|そのリハーサルを渡邊はフィンランド語で行っている。母親がフィンランド人だった渡邊がしゃべるのは「大正時代のフィンランド語」、つまり言い回しがちょっと古かったらしい。昭和57年にそんな言葉を聞くこととなったオケの反応を想像するとちょっと楽しい(そこにはヴァンスカもいたとか!)

2013-03-14 21:12:51
kenjiro hosaka @kenjirohosaka

音楽|ともあれ渡邊がフィンランド語でリハーサルを行ったのは、団員全員がそれを理解しているとの確信があったからだろう。では、日本フィル&インキネンの場合はどうか。フィンランド語は残念ながら使えない。もしインキネンが日本語を話せたとしても、それもだめだ。なぜか。

2013-03-14 21:14:38
kenjiro hosaka @kenjirohosaka

音楽|なぜなら今回の演奏会ではトランペットの客演首席奏者にクリストーフォリがいるからである。彼が日本語を話せるかどうかは未確認だけれども。また彼があのBartolomeo Cristoforiと関係があるのか気になるとこではあるけれども)。だから彼らは英語でリハーサルを行っている

2013-03-14 21:17:16
kenjiro hosaka @kenjirohosaka

音楽|渡邉&ヘルシンキフィルのCDを聞いていると、つい、フィンランド語によるコミュニケーションが音楽の解釈=演奏を支えたのではないかと思ってしまうけれども、もしそうだとするならば、インキネン&日フィルのシベリウス解釈=演奏はどうなるんだ、という話になってしまう。

2013-03-14 21:20:55
kenjiro hosaka @kenjirohosaka

音楽|だが、そもそも音楽の演奏=解釈に「言語」なんて関係ないのかもとインキネンのリハーサルを見ていて思った。なぜかと言えば、そこで使われているのは、クレッシェンドやアンダンテといった標語であるからだ(それらはもはや「イタリア語」ではなくて、いわば「音楽語」となっている)。

2013-03-14 21:24:29
kenjiro hosaka @kenjirohosaka

音楽|様々な言語環境で育った人達が集まってひとつの楽譜を解釈=演奏していく際に、そうした音楽語があることを、美術畑の僕はとてもうらやましく感じた(そしてもちろん指揮者は「たららら〜」じゃなくて「たら、らら〜」だみたいに口=音で演奏していくがここにも言語は介在しない)。

2013-03-14 21:28:08
kenjiro hosaka @kenjirohosaka

音楽|そのようなリハーサルを経て、民族主義的な性格やロマン主義の傾向が色濃いとされる交響曲1番がどう仕上がるのか本当に楽しみ。しかも同日に演奏されるのは5番。ベルグルンド&ヘルシンキ・フィルのCDでずっと聞いていた曲。金曜日の夜、サントリーホールでシベリウスチクルスが始まります。

2013-03-14 21:33:34
日本フィルハーモニー交響楽団 @Japanphil

【サービスセンター/当日券情報】本日3/15(金)開催、第648回東京定期演奏会の当日券は午後6時~サントリーホール当日券売場にて[S席、A席、Ys席]約100枚販売致します。 #Japanphil

2013-03-15 14:37:12
日本フィルハーモニー交響楽団 @Japanphil

【サービスセンター/当日券情報】明日3/16(土)開催、第648回東京定期演奏会の当日券は正午~サントリーホール当日券売場にて[S席、A席、Ys席]約100枚販売致します。 #Japanphil

2013-03-15 14:38:41
日本フィルハーモニー交響楽団 @Japanphil

【サービスセンター/演奏曲目・演奏時間】今週末開催、第648回東京定期演奏会の演奏曲目はシベリウス:交響曲第1番(約38分)/《休憩15分》/シベリウス:交響曲第5番(約30分)です。 #Japanphil

2013-03-15 14:40:52
日本フィルハーモニー交響楽団 @Japanphil

音楽評論家 奥田佳道さんのガイドで和やかに進む記者懇談会です。来年の、九州公演のプログラムについて!「どこまで秘密なのかボクは知らないんだけどね!」第39回九州公演の指揮者は、インキネンさんです。#Japanphil http://t.co/1SPi8CAyqy

2013-03-13 18:16:27
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日本フィルハーモニー交響楽団 @Japanphil

インキネンによるシベリウス/交響曲第5番のリハーサルが開始されました。聴き手を包み込むようなシベリウス作品独特のオーラと、弦楽器に特徴的な「蠢き」はやっぱりライヴで味わってこそ、その醍醐味がわかるというもの。 #Japanphil http://t.co/7ykYSYkyyY

2013-03-12 13:19:30
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kenjiro hosaka @kenjirohosaka

インキネンの振るシベリウス、特に交響曲5番は、僕には、ともすれば早くなりそうな音楽の流れ(力)を、決して無理矢理ではない形で、たとえて言えば川の幅を広げるかたちで(優しく)受け止め変容させていく、そんな演奏のように思えた。だから時には不思議なリズムがそこには生まれていたように思う

2013-03-15 23:12:34
kenjiro hosaka @kenjirohosaka

リズム。この概念はとても難しい。インキネン&日本フィルのシベリウス交響曲5番を聴きながら、僕は、クラーゲスの『リズムの本質』について考えていた(それはまた、直前に、伊東豊雄さんへのインタビューをしていて、「メロディ」のことが出てきた時にその本を思い出したからでもあるのだが)。

2013-03-15 23:15:17
kenjiro hosaka @kenjirohosaka

クラーゲスはこう言っている。「拍子が同一者の反復だとするならば、リズムは類似者の再帰だと言わなければならない。さてまた、類似者の再帰は、過ぎ去ったものとの関係において、その過ぎ去ったものの更新を表すので、単的に「拍子は反復し、リズムは更新する」と言うことができる。(杉浦実訳)

2013-03-15 23:17:23
kenjiro hosaka @kenjirohosaka

あるいはこうもクラーゲスは言っている。「「詩作することは鎖につながれたまま踊ることである」というニーチェのいささか誇張的だが本質を衝いた発言が(中略)ふだんはおそらくだらしなく、しなびたふうに思える言葉から、言葉のリズムの力にそもそも隠されているだろうものを取り出すためには(続)

2013-03-15 23:31:38
kenjiro hosaka @kenjirohosaka

(承前)韻律という鎖が必要とされうる、ことを意味すると推測するに十分な理由がある」 専門外であることをよいことに勝手を言うと、ひょっとしたら今日の日本フィルの演奏者は、インキネンによって鎖につながれたのではないか。演奏終了後に、とりわけ第一ヴァイオリンの見せた表情が気になっている

2013-03-15 23:36:49
kenjiro hosaka @kenjirohosaka

普段からああいう感じなのかもしれないが(そもそも日本のオケは演奏後にあまり笑顔を見せない気がする)、ひょっとしたら何人かは今日はいったいなにが起こったのかと半ば夢心地みたいなところがあったのではないか。クラーゲスが掴もうとしたリズムの本質の一片が今夜、ちらと姿を見せたのではないか

2013-03-15 23:42:01
kenjiro hosaka @kenjirohosaka

ちなみにクラーゲスの『リズムの本質』にはフィンランドのことも次のように少しだけ言及される。「ことのついでに、いまいちど、リズミカルなゆさぶり運動がまたとなく深い快感を与える効果をもつことをあらかじめ理解しておくために、有名なフィンランドの「ルーネ歌」の成立事情を想起してみよう」

2013-03-15 23:46:16
kenjiro hosaka @kenjirohosaka

ここでさらに興味深いのは、フィンランドのルーネ歌を手短に紹介した後でクラーゲスが次のように言っていることだ。「リズムと拍子が、本質的に異なる発生源を持つにもかかわらず、人間の中でたがいに融合しうること」。この時の「人間」は(僕が今日聴いた)「音楽」と置き換えてよいのではないか。

2013-03-15 23:49:16
kenjiro hosaka @kenjirohosaka

つまり僕は今日こう感じたのだろう。インキネンはシベ5が美しくも哀しいことや、協和と不協和の共存が(最後の6つの和音のように)賭けられていることは百も承知。それはあくまでも前提で、彼はその先を、或いはその奥を探ろうとしているのがわかったと。チクルスの続きが楽しみである。次は4&2!

2013-03-15 23:59:30