アトリエの童話bot「白鳥」
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馬鹿言ってらんないわ。今からここで羊毛フェルト作りついった実況しまーす! BGMのCDはLAS VEGAS/鬼束ちひろ
2013-03-16 20:50:03湖に氷が張らない日が続くようになった頃、真っ白い大きな鳥が毎年帰ってくるといいます。 http://t.co/e3sCVpmmrb
2013-03-16 21:19:16そうです、白鳥です。少女はその白鳥の群れの中でも一羽の白鳥が帰ってくるのを心待ちにしておりました。 http://t.co/c4ZDsg9gNc
2013-03-16 21:35:49少女の名はアンジェラといいました。アンジェラは小さな頃から街の中心より離れた森の奥でひっそりと乳母と共に暮らしていました。屋根裏部屋から街の灯を見て焦がれることもありますが、森を愛する少女でした。 http://t.co/AKKq4pK1GF
2013-03-16 22:09:17白鳥の羽音を聞いてアンジェラは湖へ急ぎました。迷いもせずに一羽の白鳥を見つけ出し近づきます。白鳥もアンジェラとは顔見知りでしたから、長い首をゆらりと下げて挨拶をして見せました。 http://t.co/v8GR8Hz9zr
2013-03-16 22:41:01「久しぶり、アンジェラ」白鳥が言いました。この白鳥は他の白鳥とは違ってアンジェラだけなら話す事ができました。 そのことに気がついたのはアンジェラがまだ幼い頃、丁度白鳥が湖に帰ってくるような季節のことでした。 http://t.co/xGAtiVuRtq
2013-03-16 22:45:19幼かったアンジェラは無邪気に白鳥に近づいて遊んでいました。白鳥の群れはそのたびばたばたと逃げ回っていたのですが、不思議と逃げずに残った白鳥が一羽、いたのです。不思議に思ったアンジェラが声をかけると、なんと返事をするではありませんか。 http://t.co/T0Vy8V9wwe
2013-03-16 23:07:20それからとアンジェラはこの白鳥と仲良くなったのです。森の中でひっそりと暮らすアンジェラにとって渡り鳥である白鳥の話は面白いものでした。白鳥は色々な話をしましたが、何故アンジェラとだけ話せるのかだけはいくら聞いても答えませんでした。 http://t.co/OEYtmg0q7B
2013-03-16 23:35:53今年の春の白鳥の話も面白いものでした。白鳥が冬を越した国では若い王子がおりました。透ける様な長い金髪の王子は舞踏会の主役を飾っていたといいます。着飾った人々の間、煌びやかな装飾の施された大広間の中心で踊る姿を白鳥は語ってくれました。 http://t.co/su5lh7E14Q
2013-03-17 00:07:47戻ってきて数日、白鳥はその王子がアンジェラの城にいるのを見つけました。白鳥が見聞きした限り、この国の王女様との婚約話のようでしたが王女様は気が乗らないようでした。アンジェラが白鳥からその話を聞いていたときでした。「アンジェラ、何処?」 http://t.co/HInctFpqE4
2013-03-17 00:30:35呼んだのは乳母でした。「お城に行きましょう」「何故?」アンジェラは問いました「私はこんな奥で暮らす身、華やかな場所とは程遠いわ」 驚くアンジェラの腕を引いて乳母は家へ連れて行きました「見て欲しいものがあるの、説明は後にしましょう」http://t.co/6t4enInY5F
2013-03-17 00:46:35家にあったのはアンジェラ宛の求婚の手紙。差出人はあの王子ではありませんか。なんと乳母が言うには、アンジェラは王家と直接ではないが血縁関係があり、王様は結婚するのであれば城にアンジェラを戻そうと考えているそうなのです。 http://t.co/Opmt2vPnU1
2013-03-17 01:10:02答えは三日後のアンジェラの誕生日に合わせて欲しいということでした。裕福な暮らしは約束されるでしょう。屋根裏部屋から見える街の灯が急に近いような気がしました。しかし森を知り尽くしているアンジェラですが、街のことはまるでわかりません。 http://t.co/BJf8FFR5LS
2013-03-17 01:44:00そこでアンジェラは城の周りも飛べる白鳥に、事情を話して城はどんなところか訊ねてみました。「そりゃ美しいところだよ!何も困ることのない場所さ。王子様も優しそうな方だよ」白鳥は言いました。「行くと良いよ、僕にさようならと言って行けばいい」 http://t.co/sPlAGHLg0p
2013-03-17 02:31:37「さようなら? お城からは出られないの?」アンジェラが聞くと白鳥は答えました。「きっとできないね、偉い人になってしまうと世界は危ないものになってしまうんだよ。さようならの代わりに僕の羽を使って結婚式の髪飾りを作るといい」 http://t.co/hGHNMrmCG6
2013-03-17 02:44:45「それなら私、行かないわ!」アンジェラはそう言うと、踵を返して家に戻って、城には行かないと乳母に告げました。「何を言うの」乳母は怒りました。「それならば私は貴方と住まうのを止めましょう、貴方は一人でここに住むといいわ」 http://t.co/gmgMxiCGZX
2013-03-17 02:51:41そうして一人誕生日を迎えたアンジェラは、白鳥に行かなかったと告げに向かいました。すると、見知らぬ若い男の人が白鳥の群れを眺めています。声をかけようとしたアンジェラに気がつくと、その人は黒い瞳を見開きました。「アンジェラ、どうして」 http://t.co/822aw3KrWa
2013-03-17 03:05:38「どういうこと?」アンジェラも驚きました。その声はまさにあの白鳥のものだったからです。「私は遠くでありながらも王家である貴方に届く階級ではありませんでした。だから魔女に相談したのです。魔女は、森に送られたアンジェラの傍にいられるよう白鳥の姿にしてやるから城から逃げろと言いました」
2013-03-17 03:11:14男の人が言うにはこうでした。アンジェラがこの誕生日を迎えるまで白鳥の姿にするから、城に戻ることになるまでは白鳥でいても良い、代わりにアンジェラが城へ戻ったらその日のうちに魔女に白鳥の自分を捧げろという約束だったのだそうです。
2013-03-17 03:40:42また、そうする代わりとして、魔女は男の人と関わった人は残らずその存在を忘れさせるから、今までその身分により手に入れた財産を全て渡せと言ったのだそうです。「だから僕には何も無い」男の人は言いました。「せめて白鳥の真っ白い羽を贈ろうと思っていたのです、結婚式の髪飾りにと」
2013-03-17 04:24:11その時ふわりと一羽の白鳥が舞い上がりました。「ああ、そうだね」男の人は白鳥に声をかけました。不思議そうに見るアンジェラを見て男の人は気がつきました。「そうです、僕には白鳥の仲間がいます、長い旅を共にした仲間が。彼らと話す事ができるのです」
2013-03-17 05:00:23白鳥の群れはいっせいに嘴で東を向けました。黒く光る嘴は男の人の目の色のようでした。「白鳥は行くべき旅路を知っている、僕はしっかりとそれを聞くこともできるし長い旅で僕自身も覚えました。東のあの場所まで行けば、いい手があるはずです」
2013-03-17 05:13:28