茂木健一郎氏 @kenichiromogi 【虫屋は、スギ林は生態系の砂漠みたいなものだから嫌いなんだよ】連続ツイート
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むす(1)先日塩尻に行った時、列車が駅に着く直前、窓から山を見ていたら、異様なものが見えた。直線的で三角形の木々の上に、黄色い雲のようなものが漂っていたのだ。数百メートル離れたところからも、はっきりと肉眼でわかった。「あれはナンダ!」と思うと同時に、「あれがクルノカ!」と思った。
2013-03-27 07:53:31むす(2)スギの花粉と言っても、数十ミクロンだから、目に見えない。私は友人の前でふざけてよく「えいっ、えいっ」とスギの花粉つまみをするけど、真剣白刃どりの名人でも、スギ花粉は見えない。それが、発生地では、本当に真っ黄な雲がうわうわしているので、大変驚いた。
2013-03-27 07:55:04むす(3)それで、塩尻の方に、「スギが近くにある人は案外平気だと言いますけど」と言ったら、「塩尻にも花粉症の人はたくさんいますよ!」と言う。私は、あずさの中から見た黄色い雲を思い出して、ぞっとした。IgEが蓄積してしきい値に達することが原因らしいが、あの雲にやられてはきつい。
2013-03-27 07:57:05むす(4)そしたら、堀義人さん(@YoshitoHori)が、「杉の木をバッサリと切って、材木として販売してはどうでしょうか?」とツイートしていた。それで、思い出したことがある。数年前、ボルネオに行った時のことである。ジャングルの生態系を見るのが目的だったが、他のものも見た。
2013-03-27 07:58:32むす(5)左側に原生林が保存されている国立公園があって、それと、道を挟んで、右側にパームやしのプランテーションがあった。同じ地域なのに、左と右で、全く様子が違う。左側は、さまざまな種類の樹木が入り交じってあるのに、右側は、幾何学的にパームやしが並んでいるだけである。
2013-03-27 08:00:17むす(6)これは俗説とか都市伝説なのかもしれないが、何年か前の新聞記事で、ドイツ人と日本人では美しいと感じる森が(統計的に)違うと読んだことがある。日本人は、スギのような針葉樹林が立ち並んだ森を美しい、ドイツ人はさまざな広葉樹の茂った森を美しいと答える(統計的に)というのだ。
2013-03-27 08:01:58むす(7)私のように子どもの頃から野山で蝶を追いかけてきた人間にとっては当たり前のことなのだけれども、スギのような針葉樹林と、広葉樹林では、そこにいる生物の多様性が全く違う。前者は貧弱であり、後者は豊かである。だから、花粉うんぬんの前に、虫屋は、スギ林が嫌いである。
2013-03-27 08:03:38むす(8)クヌギやカシ、ブナなどの広葉樹林には、これらの樹木を「食草」とするさまざまな蝶、昆虫がいる。ギリシャ語で「西風の精」を意味する、ゼフィルスと呼ばれる金属光沢の美しいシジミチョウがいる。一方、スギの林にいる鱗翅目ですぐに思い浮かぶのはスギドクガくらいのものだ。
2013-03-27 08:05:46むす(9)つまり、伐採、用材化しやすいという人間の都合で、ボルネオのパームやしのようなモノカルチャーにしているのがスギ林なのであって、生物多様性という意味からは砂漠のようなものだ。林業政策はいろいろややこしいからこれ以上議論しないが、落葉広葉樹を活かした林業が本筋だし虫屋も喜ぶ。
2013-03-27 08:07:42