茂木健一郎氏 @kenichiromogi 【もともと日本の教科書は薄すぎる】連続ツイート
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そき(1)日本の教育のことを考えるために、未来のために根本的な制度設計の変更が必要だと感じる。象徴的なのは「教科書検定」。そもそも、国家が教科書を「検定する」ということ自体が、(昨日の池田信夫さんの言葉を借りれば)発展途上国型で時代遅れだが、より根本的な問題がある。
2013-03-29 09:13:18そき(2)それは、子どもたちのどのような能力を伸ばすか、という「学力観」。現代社会に必要なのは、エビデンスに基づいて論理的に考える「批判的思考」(critical thinking)であり、これが事実であると、有権的に決めつけ、それを丸暗記する能力があっても、全く役に立たない。
2013-03-29 09:14:46そき(3)典型的なのは、領土に関する記述。日本政府の立場としては、竹島、尖閣諸島が日本領であるということは譲りようがない「事実」である。しかし、教育というのは、そのような有権的に決められた「事実」を丸暗記する場所ではない。そんな教育をしていては、現代の世界に適応できぬ。
2013-03-29 09:15:52そき(4)私ならば、こんな授業を望むだろう。例えば竹島の問題について、韓国側の主張、日本側の主張、それぞれを裏付ける歴史資料、まつわる論争を提示する。また、関連する国際法の規定を学習する。その上で、竹島はどちらの領土なのか、どのような解決があるのか、生徒たちに考えさせる。
2013-03-29 09:17:57そき(5)たった数行の記述で、「竹島は日本領です」「尖閣諸島は日本の固有の領土です」と書くことが、教科書のあり方をめぐる論争のタネになるというのは、ほとんどカフカ的ナンセンスであり、そこには教育の本質は一切ない。検定する方も検定する方だが、外向的にかみつく方もかみつく方だ。
2013-03-29 09:18:59そき(6)もともと日本の教科書は薄すぎる。「検定」というプロセスにおいて、検定官の処理能力に限界があって、そこにボトルネックがあるからである。教科書検定は廃止するのが筋だが、もし維持するにせよ、検定官の人数をたとえば10倍くらいにして、処理能力を上げ、教科書を厚くすべきだ。
2013-03-29 09:20:24そき(7)もっとも、検定教科書制度は、教育現場においてそれほど本質的ではなくなっている。私立学校の多くは教科書など使わない。電子教科書が話題になっているが、教科の副読本的なものは現状でも検定はない。だから、薄い検定教科書が占める意味は、今後ますます小さくなっていくだろう。
2013-03-29 09:21:47そき(8)文部科学省の中にも日本の教育の将来について真剣に考えている方は、当然いるだろう。その方々に訴える。教科書検定をめぐる諸問題に、日本の教育を乗っ取らせてはいけない。それは、ほとんど意味のないことだから。安倍さんの成長戦略の「第三の矢」の真ん中に教育改革がなければならない。
2013-03-29 09:23:11そき(9)日本の教育の現状を見ていると、「それは、教育じゃないですから」と言いたくなることが多すぎる。偏差値入試はそのもっとも醜悪な事例だが、それについては別の機会に。今回申し上げたかったことは、「教科書検定」は廃止すべきだし、教育の本質とは全く関係ないという一点である。
2013-03-29 09:24:33