恋の改編期

ゆーやちゃんぐむ @iki_yuya_uk

彼女は博多へ行った…その話題が朝から飛び交う。ヅラがバレバレな司会者が偉そうに意見をしてるのは毎回ながら見るに耐えない。コーヒーを飲みながら、リモコンを手に取る。気付くと俺は目が腫れていた。「そりゃ、あれだけ泣けば腫れるよな…」そう呟きながら、家に持ち込んだ仕事に手をつける…

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放送作家に休みはない。深夜ラジオを担当してれば尚更だ。スキャンダル発覚する事は、雑誌に掲載される前日に本人から電話で聞いていた。泣きじゃくる彼女を一生懸命慰めていたのは担当の番組が始まる5分前。「とりあえず話は仕事が終わってから」そう言って、話したのは結局３日後の金曜日だった。

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番組の打ち合わせ。台本を見ると、パーソナリティの所に彼女の名前が。予想はしてたが、いざとなるといつもよりも身が引き締まる。番組内容も勿論、あのスキャンダル。放送が始まる前に会ったら変に緊張しそうだったので、ばったり会うなんて事は避けていた。そして本番前、お互いブースの中へ入る。

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ふと一年前を思い出す。僕は一ファンであり、同じ仕事が出来る事がとても嬉しく緊張していた。そんな僕を見て、彼女は満面な笑みでたくさん話かけてくれた。同じ九州が同郷という事もあり、話も弾み、お互いが惹かれ合うのは時間の問題だった。ふと我に返ると、君が今あの時と同じブースで泣いている。

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博多行きを言い渡された瞬間だった。目の前で大好きな人が泣いてる。でも俺には何も出来ない。そのもどかしさを押し殺しながら、仕事をこなした。放送が終わり、周りが落ち着いた午前５時に二人は会って話をする事にした。二人とも言葉が見つからない。一秒一秒が息苦しい。すると、彼女が口を開いた。

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「ごめんなさい。私本当に何も出来なくて迷惑かけてばかりで。でも私ファンの為に博多に行く。あなたとまた会えるようにいっぱい仕事頑張ってもどってくるから…ってなんで笑ってるんですか！？」いつものネガティブ発言じゃなくて、つい笑ってしまった。落ち着いて、俺も彼女に気持ちを伝えた。

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「君がそうゆうなら止めないよ。俺が東京で頑張って、いつか君をまたあのブースでラジオさせれるぐらい頑張る！だからお前も博多でがむしゃらに頑張ってこい！もし、戻ってくる事が出来たら…その時は一緒に暮らそうな。」泣きながら「こんな私でいいんですか？」と言ってる彼女を俺は優しく抱き寄せた

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それから時が過ぎ、彼女は博多で頑張っているようだ。若い子の間でやるのは難しいと笑いながら言っている。俺も職場で揉みくちゃにされながらも、何とか仕事を頑張ってこなした。45周年の番組の作家もいくつか頼まれるぐらいの地位は獲得出来るようになっていた。

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今日も家に持ち込んだ仕事を一段落させて、番組の収録へとニッポン放送へと向かう。今日の俺は少し上の空になってる。「さて切り替えるか！」そうやって、皆さんからの頂いたメールとHKT48のオールナイトニッポンRと書かれたキューシートを持って、ブースの中へ入った。 ～完～