『SIGHT』春号、伊藤真弁護士インタビューまとめ

Spica @freie_Herz

SIGHT春号、伊藤真弁護士～「自民党改憲案は、改正草案ではなく実質的には新憲法制定。しかも、野党時代に作ったので遠慮がなく本音丸出し」「現憲法の二つの特長は、1.立憲主義（個人の人権を保障するために国家権力を憲法で縛る）2.積極的非暴力平和主義（これは他国と違う独自性・個性）」

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SIGHT春号、伊藤真弁護士②～「現憲法の前文では『日本国民は』『われらは』と主語は国民だが、改憲案は『日本国は』『我が国は』と国が主語。現憲法では、我々主権者が主体的に国を動かすという思想だが、改憲案ではまず国が先。国民は国を支えるためにあり、憲法はそれをコントロールする道具」

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SIGHT伊藤真弁護士③～「本来、国民は憲法を守る側ではなく、権力にこれを守らせる側にいる。それを全く逆にして、国家が国民に憲法を守らせようとしている。さらに改憲案では、常に公益・公共の秩序が人権より上に来るので、権力にとって都合の悪いことは一切認めない、ということが可能になる」

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SIGHT伊藤真弁護士④～「国防軍という軍隊を持つことは、大きくこの国を変質させてしまう。結局は、自衛権行使の名のもとにあらゆる戦争が肯定される。『自衛隊と国防軍は単なる看板の違いだけ』『外国では軍隊扱いだからその実態に合わせるだけ』と自民党は言っているが、これは全くの嘘です。」

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SIGHT伊藤真弁護士⑤～「日本の自衛隊は外国では軍隊として認められていない。現在海外で肩身が狭いからこそ、国防軍にしたいのです。国防軍と自衛隊のどこが決定的に違うかというと、自衛隊は公務員として警察官の延長線上に位置づけられているので、原則として人を殺すことができない。」

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SIGHT伊藤真弁護士⑥～「自衛官が人を殺すことができるのは正当防衛など例外的な場合だけ。しかし、正規の軍隊というのは、敵国兵士を殺す、すなわち殺人を目的とした集団。民間人の虐殺や捕虜の虐待だけが、例外として禁じられている。つまり、自衛隊と国防軍では、原則と例外が完全に逆のもの」

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SIGHT伊藤真弁護士⑦～「したがって国防軍の創設は、殺人を目的とする、市民社会とは全く異質の集団を日本社会が戦後初めて抱えることを意味するのです。そうすると様々な社会の変化が生まれてきます。」

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SIGHT伊藤真弁護士⑧～「今の自衛官は、災害救助などで感謝されたい、公務員で安定している、などの理由で志願する。しかし国防軍では、人を殺し自らも殺される危険にさらされる。今自衛隊なら志願する若者も、国防軍には志願しない。すると、経済的・社会的弱者だけが志願せざるを得なくなる。」

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SIGHT伊藤真弁護士⑨～「弱者が人殺しの訓練をされ、海外の戦闘で死んだり、身体・精神的被害を受けて帰国する。大勢の傷ついた若者を、日本社会がどう受け入れればよいのか。更に、志願兵が減れば、国家は徴兵制を採用する。現行憲法では違憲だが、国防という公益のために忍べということになる」

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SIGHT伊藤真弁護士⑩～「国防軍には巨費がかかり、増税や社会保障費削減。市民生活は非常に窮屈になり、自己責任がますます強調される。そして、軍隊は国家を守るものであって、国民を守るものではないのが世界の常識。国策に逆らう集会やデモの鎮圧で、国防軍が国民に銃口を向ける時代の到来も」

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SIGHT伊藤真弁護士⑪～「自民党の改憲案はそういう内容だと、私たちはしっかり認識すべき。これが実現したら、自分の日常生活が具体的にどう変わるのかを、想像力を最大限働かせて考えなければならない。アメリカの若者の生活や、治安維持法下の日本などが参考になる。」

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SIGHT伊藤真弁護士⑫～「国防軍を持っても、自分は軍人にならないから関係ない、軍人がどこか遠くの外国で戦って頑張ってくれるのだろう、と思い込んでいる人が多いと思う。国防軍が出来たら、自分の生活に具体的にどんな変化が生じるかを想像する力が欠如してしまっている。」

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SIGHT伊藤真弁護士⑬～「日本人は強いリーダーに従うのが好き。それは『奴隷の幸福』。そんな幸せを維持したいのか。自分たちが主体となって立ち上がり、国・社会を作っていく発想が、やはりこの国には根付いていない。自分たちの力で権力を縛りコントロールするんだ、という自覚が必要です」

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SIGHT伊藤真弁護士⑭～「（世論は改憲への危機感が低いと思うが？→）改憲案の根本部分が国民に正しく伝えられていない。憲法学者などがもっと啓発してほしい。民主党を含め、護憲派の野党も頑張ってほしい。」

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SIGHT伊藤真弁護士⑮～「しかし、結局は私たち自身の主体的な行動に尽きる。これを読んでくれた人は、家族や同僚とどんどん話してみてほしい。改憲には国会の発議の後に、国民投票で過半数の賛成が必要。国民が声を上げれば憲法改悪を阻止することは可能です。今ほど主体性が大切な時期はない」