2010/09/07 ツイッター小説 お気に入りセレクト

今日読んだついのべの中から独断と偏見で味のある作品をセレクトしてみました。 ※ついのべ #twnovel とは140文字以内で書かれた短い短い物語です。
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ヒデユキッス @hideyukiss

#twnovel 「社会的に成功した者への嫉妬ですよ刑事さん。奴が注文住宅を私の会社に依頼してきた時から、私の復讐は始まってたんですよ。見た目にはわからないように家のあちこちに細工をしました。人の移動する経路、いわゆる動線を利用してね。そこで必ず足の小指がぶつかるようにしました」

2010-09-07 01:38:47
hishamaru @hishamaru

高校卒業おめでとう。そして18年間、毎日予約tweetにつきあってくれたことに感謝する。もう気づいているかもしれないが、君の父親は18年前に死んでいる。大人になった君の姿は見られないのは残念だが、せめて僕の声は届いただろうか。君の幸せを心から祈っている。父より。 #twnovel

2010-09-07 01:47:33
浅葉積木 @tsumiki_a

デートの最中に彼女からクッキーをもらった。クッキーにはチョコレートの文字で“惚れ薬"と書いてあった。…なんだこれ。隙を見て彼女の口にそのクッキーを押し込んだ。彼女はクッキーをかみ砕いて飲み込むと、おもむろに言った。「責任取ってね」 あれ? これどんな罠? #twnovel

2010-09-07 07:06:08
らし🎍 @rashi_catwillow

#twnovel いいことなんて何もない、ため息混じりに軽食をつつく彼女は持ち上げた匙の中に発見する。小さな神様を。出るとこ間違えた、という困惑顔でマカロニの穴からこちらを見ている。この匙を食べたらどうなるだろう? 輝くだろうか、私。新しく、強く。それとも灼かれて息絶えるのかな。

2010-09-07 07:17:54
rime @prhymethyme

残暑の街から地下鉄の階段を降りながら傍らの友人がぼやく。「いつまでも暑いね」象のサトちゃんの着ぐるみを着ている。「そんなの着てちゃ暑いはずだよ」「仕方ないんだ。子象なら象牙を取られずに済む。でも暑いよう」友人は地下鉄の白い艶々した通路に寝転がり、駄々をこね始める #twnovel

2010-09-07 08:44:58
佐木ささめ @sakiandu

#twnovel キスの時は目を瞑るもの。初めて彼とキスをした時緊張のあまり目を見開いていた為、苦笑と共に教えられた。でも目を開けたキスは嫌いじゃない。意外と長い睫毛や艶やかな前髪を至近距離で見るのが好きだから。私は今日もちょっぴり目を開ける。と、彼が笑ったのが唇越しに感じた。

2010-09-07 11:57:15
tokoya @tokoya

#twnovel iPhone使って毎日ツイートしていたら、フォロワーから自宅を留守にしている事がバレて危険ですよ、と注意された。もう何度も侵入されたので、そんな事は分かってるけど、ありがとうと返しておいた。さて、今日は空き巣が何人罠にかかってるかな?どう料理して食べようかな。

2010-09-07 13:19:36
らし🎍 @rashi_catwillow

#twnovel さわぐな黙って言う通りにしろ、有り金全部持ってこい、そいつで花火を買ってこい、小売も問屋も全てまわれ、日没公園に集合し、輪になり静かに点火しろ、一本消えたら次の一本。それは長い会だろうが、いずれ最後の瞬間がくる。線香花火が落ちるのを見届け、夏にさよならを言うんだ

2010-09-07 13:41:34
にゃおっく @_nyaok

#twnovel 胸をちら見される。詰めてるのバレたっぽい。「今日はなんか眼力あるね」カラコンだよ。「…二重だっけ?」アイプチ。「あれ?もっと髪短くなかった?」急に伸びるか、エクだっつーの。「…なんか無口になったね」お前の好みに、合わせてるんだよ!なんでそこだけ気づかないんだよ!

2010-09-07 16:47:05
にゃおっく @_nyaok

#twnovel 博物館ではその夜、肉食恐竜の化石が大暴れ。どうも配置換えで同じフロアに草食恐竜を置いたのが悪かったらしい。そこで館長は配置を戻したのだが、怯えた草食恐竜は翌晩には姿を消し、事態は泥沼化。館長はやむなく肉食恐竜を博物館の表に置いた。狩りの本能に任せ、夜を待つのだ。

2010-09-07 17:09:52
いでゆのまち @ideimachi

#twnovel 街を急ぎ足で歩いていたら、正面から女がツカツカやってくる。道をゆずる気配はない。とうとう突き当たると「いまは夏? それとも秋?」と挑発的に胸を張る。秋…です、僕が答えればにっこり笑い、「じゃ、秋のコイしましょ」まだ暑いのに腕を組む。僕の彼女はそんな人です。

2010-09-07 18:45:54
八本正幸 @nekogamihakase

人間豹は飢えていた。今宵の獲物はSMクラブの女王様だった。「鞭と縄どっちがいい?それとも両方やってやろうか?」答えるより早く縛られてしまった人間豹は、さんざん鞭でしばかれた末、夜明けまで放置ブレイ。でもそんなに悪い気はしなかった。 #twnovel

2010-09-07 20:16:46
@tsujiyosuke

腹減ったので何か食いたいと思って棚の中を漁ったら「レトルト」と書いてあるだけの銀色の袋が出てきた。カレーか何かだろと思ってお湯で温めていたら、中で何かが蠢きだした。ひい、と思って冷ましたら、元通りになった。今、オレはそれを机の上に載せて見つめている。 #twnovel

2010-09-07 20:31:37
添嶋譲 @literaryace

今年も今日でプールは終わりだと言われた。もう君の水着姿でドキドキしなくてすむんだなぁ。「おい、見ろよ。こんなに焼けちまったよ」腰の辺りをめくって見せてきたのでお茶を噴きそうになった。やめろっ。俺を殺す気かっ。 #twnovel

2010-09-07 20:34:04
ひのもと 和義 @khinoxyz

フォロワーが世界一の男がいた。男は世界中にツイートするため、英語、中国語、スペイン語を習得した。男は時間があればひたすらツイートした。日本語で、英語で・・・ある時、男はインタビューで好きな動物を聞かれた。男は答える「鳩と鯨・・・ツイートしないで済むから」 #twnovel

2010-09-07 20:51:28
かぜ虫 @kazemusi

若者「あ、この席どうぞ」老人「若者に席をゆずられた時の絶望感…」「えっ?」「自分が客観的に『老人』にカテゴライズされるという事実を突きつけられ」「…。」「施しを受ける社会のお荷物になってしまったと知るこの無力感…」「…。」「はぁ…早く友人たちのところに逝きたい」 #twnovel

2010-09-07 21:10:10
@halciondaze

#twnovel メロスは殴られて気付いたら王の前で裸だし、王が「俺も仲間に入れろよ」的なこと言い出して怖くなったから走って逃げ、色んな困難乗り越えて家に帰ったんだけど、いざ帰ったら妹が結婚するとか吐かしやがって、さすがにメロスは激怒した。

2010-09-07 21:39:01
しまだゆういち @chimada

「俺の俺によるお前のための恋心です」「ちょっと押し付けがましいかな」「う、ん」「私のためを思ってくれるのはうれしいけれど、あなたの心はあなた自身のもの、だからあなたが大切にして、すこしだけその熱を分けてくれればいいよ」「お願いします」「こちらこそ」 #twnovel

2010-09-07 21:51:56
@K_Ichida

#twnovel 蝋燭の子が生まれた。村人が集まり、火をともそうとするが、母親は子供を抱いて逃げ出した。「この子が死んでしまう」「蝋燭の子は最初から死んでいるのだ」村人は子供を奪い去り、頭に火をつける。あかあかと火がともり。子供は熱い蝋の涙をしたたらせて、夜明けまでに消滅した。

2010-09-07 21:53:35
泥辺五郎 @dorobe56u

#twnovel お住まいはどちらですか。肥後ですか。肥後のどの辺り、ああ熊本ですか。で、熊本の船場と。船場山には狸がおりますね。猟師が狸を撃ちますよね、煮て焼いて食います。あれ美味しいですよね。その後は木の葉を被せて……ああはい、調査は終了です。次の方、お住まいは籠の中ですか。

2010-09-07 21:58:10
ヤマ @ymd77

#twnovel 美容院にて。「大学生っすか?」若い美容師が気安い調子で尋ねてきたので、俺は少しムッとして答えた。「いやいや、君よりずっと年上だよ」「あ、すいません。おいくつなんですか?」「28だけど」「僕は35です」「……失礼しました」なぜか俺が謝る羽目に。どうも釈然としない。

2010-09-07 22:03:29
鈴々@物語る鳥 @re_rhythm

雑居ビル脇の螺旋階段の下で性急に腕を伸ばし合う。誰か通ったらどうするの、と唇が触れ合う寸前やめる気もないのに囁くと彼は片手でビニール傘を開いた。これで平気だろ、と笑う彼に、うん、と答える。透明なバリアの中、貴方となら獣になってもいい。囁く代わりに唇に噛みついた。 #twnovel

2010-09-07 22:07:50
layback @laybacks

ぴしゃり。と空に亀裂が走り、どおんと音が落ちてくる。引き戸のガラスがびりびり震える。どうだ。雷は面白いだろう。父が言う。ぴしゃり。僕は慌てて耳を塞ぐ。どおん。びりびりびり。音も楽しまなきゃ駄目じゃないか。父は笑顔を見せる。いい加減にしなさい。後ろで母の声がした。 #twnovel

2010-09-07 22:22:57
kenji @kmswesing

男があまりに疲れ果てているように見えたので、僕は吊り革から手を離し、至近距離にいる彼のためにそれを譲った。そのとき、いつもながら下手クソな有楽町線の運転手が妙な揺れを社内にもたらし、果たしてその吊り革は、男の広々とした額を直撃したのであった。 #twnovel

2010-09-07 22:33:43
しまだゆういち @chimada

鳥の死骸を見かけた。彼は日に日に体内の水分を涸らして、薄く、薄くなっていった。そのうち彼の姿はどこにも見えなくなってしまった。どこに行ってしまったのか。そして、蒸発した彼の中の水分はいつか、この街に雨となって戻ってくるのだろうか。降りしきる雨に、私は身を委ねた。 #twnovel

2010-09-07 22:53:45