シャムロックの軍用機講座#8 「EF-2000 タイフーン」

エメリア共和国空軍第8航空団のマーカス・ランパート中尉による航空機のお話であります。 今回はユーロファイター・タイフーンを取り上げています。 共同開発の末になんとか形になったという印象の戦闘機です。 一時期日本のF-X選定候補にも挙がっていて話題となりました。
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マーカス・ランパート @Marcus_AC6

さて、今日は久しぶりついでに、また軍用機の話といこうか。

2013-03-31 22:10:47
マーカス・ランパート @Marcus_AC6

今回は某氏の要望により、現在の欧州戦闘機の代表格であるユーロファイター・タイフーンの解説だ。もっとも例によって、初心者向けに分かりやすく噛み砕いた説明だけどね。

2013-03-31 22:12:22
マーカス・ランパート @Marcus_AC6

最初に言った通り、ユーロファイター・タイフーンはイギリス、ドイツ、イタリア、スペインの四ヵ国が共同開発した、現在の欧州を代表する戦闘機の一つだ。試作機の初飛行は1994年。輸出など商業的な主導権はイギリスのBAEシステムズ社が握っている。

2013-03-31 22:16:44
マーカス・ランパート @Marcus_AC6

ユーロファイター・タイフーンは、開発経緯が少し複雑だ。当初、まだ冷戦が続いている中でソ連が繰り出す新型戦闘機Su-27、MiG-29に欧州の西側各国は脅威を感じていた。

2013-03-31 22:19:55
マーカス・ランパート @Marcus_AC6

最初はイギリスが独力で新型戦闘機の開発を進めようとしたが、一つの航空機にあまりにあらゆる機能を求めすぎたため、計画は見直され、当時の西ドイツと共同開発する案が浮上した。

2013-03-31 22:22:13
マーカス・ランパート @Marcus_AC6

同じように適当な次期戦闘機を欲していたフランスも開発に加わり、さらにイタリア、スペインが参加。ユーロファイターはこの時点ではまさに北欧を除く、欧州の西側各国ほぼ全域をカバーする戦闘機となる予定だった。

2013-03-31 22:24:46
マーカス・ランパート @Marcus_AC6

ところが、共同開発ということは一つの航空機に国によって異なる要求を全て盛り込まなければならない。各国がそれぞれ求めるユーロファイターの姿には違いがあり、それら全てを解決するのはあまりに難しかった。

2013-03-31 22:27:32
マーカス・ランパート @Marcus_AC6

分かりやすく例えれば、金がないから皆で寄せ鍋をやったとする。僕は白菜をたっぷり入れてくれと言うが、鍋の容量には当然限界がある。秋山君が白菜よりもっと肉を、と言えば僕の食べたい白菜の量は減るし、シュテルが魚も入れたい、と言えば白菜や肉の量は減る。

2013-03-31 22:31:29
マーカス・ランパート @Marcus_AC6

ちなみに僕は水炊きで白菜をポン酢にたっぷりつけて食べるのが好きなんだが…これはタイフーンとは関係ないな。

2013-03-31 22:32:31
マーカス・ランパート @Marcus_AC6

という訳で、共同開発というのは各国間の調整が難しい。案の定、フランスが空母艦載機化と自国製エンジンの搭載を主張し、そして受け入れられず、フランスは共同開発から脱退した。

2013-03-31 22:34:52
マーカス・ランパート @Marcus_AC6

その後の開発も、途中でドイツが東西統一されて開発資金を捻出する余裕がなくなるなどトラブルに見舞われ、決して順調にはいかなかった。初飛行後も新型機には付き物の様々な初期不良の改修に追われ、ユーロファイター・タイフーンが実際に運用され始めたのは2003年だ。

2013-03-31 22:37:51
マーカス・ランパート @Marcus_AC6

とは言え、ユーロファイター・タイフーンの性能は決して侮れるものではないんだ。ベルカ公国のエース、ロト隊や後にユージア大陸での平和と治安を担うISAFの後身、UPEOの主力戦闘機の一機になっていることからも分かるだろう。

2013-03-31 22:41:34
マーカス・ランパート @Marcus_AC6

例えば、ユーロファイターは最強戦闘機と名高いF-22のように、アフターバーナーを使わずとも音速が出せる。これをスーパークルーズ、音速巡航という。従来機と同じ燃料費で、ずっと速く飛べるんだ。

2013-03-31 22:44:00
マーカス・ランパート @Marcus_AC6

他にもそれまでの戦闘機では持って数秒しか出来なかった急激な旋回も、ユーロファイターならさらに長く旋回出来る。これはドックファイトになった時、相手を強引に振り切ることも出来るし、逆に追うことも可能だ。

2013-03-31 22:46:06
マーカス・ランパート @Marcus_AC6

輸出を担当するBAEシステムズ社の研究では、仮想敵機であるロシアのSu-27と戦った場合、ユーロファイターはF-22を除けば最高の戦績を残しているそうだ。もっとも身内贔屓はあるだろうけどね。

2013-03-31 22:48:28
マーカス・ランパート @Marcus_AC6

何よりもこの戦闘機で凄いところと言えば、なんとドイツ空軍所属のユーロファイターが米軍との合同演習で、F-22から撃墜判定を取ったことがあることだ。もちろん格闘戦だとは思うが、逆を言えばユーロファイターは格闘にさえ持ち込めば最強戦闘機と名高いF-22も撃墜できるということだ。

2013-03-31 22:51:25
マーカス・ランパート @Marcus_AC6

そういえば秋山君がユーロファイターを「イカちゃん」と言ってたけど、確かにイカっぽく見えるな…(苦笑)

2013-03-31 22:52:29
マーカス・ランパート @Marcus_AC6

イカの耳みたいに見えるのはカナード翼と言って、機体の姿勢制御をサポートする役割がある。これは現代戦闘機だと結構なトレンドだね。Su-27シリーズも搭載しているし。

2013-03-31 22:54:15
マーカス・ランパート @Marcus_AC6

さて、最後にユーロファイターと日本の関わりについて触れておこう。

2013-03-31 22:55:20
マーカス・ランパート @Marcus_AC6

航空自衛隊の次期戦闘機がF-35に決まったのは記憶に新しいが、決定以前ではユーロファイター・タイフーンは非常に大胆な提案で日本に売り込んでいた。

2013-03-31 22:56:47
マーカス・ランパート @Marcus_AC6

その大胆な提案というのは、なんと自分たちが開発した機体の中身を九割も日本に開示して、しかも生産を日本の航空機メーカーに委託してもよい、ということだった。

2013-03-31 22:58:29
ハサマリスト@秋例大祭こ23a @ThatZ_orz

@Marcus_AC6 軍事、航空機誌や各機関誌では、F-2の生産終了に伴う技術継承の途絶を懸念して、そこを推してたんですよねぇ……

2013-03-31 22:59:59
マーカス・ランパート @Marcus_AC6

普通、外国の航空機を導入する際はそのまま輸入か、ライセンス料を支払って設計図だけもらい、自国内で生産する。しかしライセンス生産と言っても、全てが開示される訳ではない。普通はコピーされて技術が流出しないよう、ブラックボックスとされるところがあるんだ。

2013-03-31 23:01:09